スマホカメラを使った現場の業務効率化アイデアを現実のものにした7つの事例事故/物件/設備調査、試作品設計、ペーパーレス化、営業活用……

働き方改革に向け“モバイル活用”に着目する企業は数多い。ただし、そこで課題となるのがスマートデバイスの情報漏えいリスクである。その対応なくしてはモバイル活用の現実化は望みにくいが、対策徹底はコストや手間の面で難しいのも事実である。こうした中、状況の打開に向け注目を集めているスマートデバイス向けセキュリティソリューションがある。その魅力に迫る。

» 2018年03月14日 10時00分 公開
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【編集長】内野の視点

デジタルトランスフォーメーション(DX)のトレンドが進展し、今多くの企業が新たなビジネス価値の追求に取り組んでいます。しかしながら、新たな価値といわれても具体的に何をしていいか分からず、取り組みに挫折してしまう、もしくは足を踏み出すことすらできないケースも多いようです。

ただ、最大の問題は新たな価値を生み出そうとせんばかりに取り組みに対する心理的ハードルを自ら高めてしまっていることではないでしょうか。「イノベーションを生み出せ」とさかんに言われていますが、最も大切なのは日常の気付きです。まずは自社ビジネスの在り方やプロセス、日常的な問題意識を見直してみるとイノベーションのヒントは意外に身近なところに転がっているものです。

今回、取材したKAITOセキュアカメラはまさしくそうした“気付き”に目を向けさせてくれるソリューションということです。では、具体的にセキュアカメラはわれわれにどのような観点を与えてくれるのでしょうか。既に多数あるという事例を通じてイノベーションのヒントをつかむ1つのアプローチを探ってみたいと思います。

“モバイル活用”に潜むこれだけのリスク

 業務効率化、ひいては働き方改革の“切り札”として、今、多くの企業で注目を集める「モバイル活用」。そのメリットは明白だ。スマホやモバイルPCなどのスマートデバイスは携行性の高さと多機能さから、さまざまな業務改善に役立てることが可能だ。手軽に証跡を残せるとあって、社外でのメール確認の他、各種書類や定期巡回先の撮影なども広く行われるようになっている。

 ただし、便利さには往々にしてリスクも付き物だ。それはモバイル活用も例外ではない。中でも企業にとって悩ましいのが「情報漏えい」の問題である。

 モバイル活用の手法はさまざまだが、何も策を講じていなければ利用データは端末内に残り続ける。では、この状況で端末を紛失したらどうなるか。場合によっては信頼の失墜のみならず、経済面で大きな痛手を被る可能性もある。しかも、モバイル端末は携行しやすいだけに紛失の恐れも大きい。

 これらに対応できなければ、いくら便利とはいえモバイル活用を断念、もしくはごく限られた範囲だけの利用に止めざるを得ないのだ。

500社に利用されるモバイル活用の“現実解”

 対策として従来、用いられてきたのがシンクライアントなどだが、それらに共通する問題が、利用に少なからぬ手間とコスト負担が求められることだ。そのため、IT予算などに乏しい中堅・中小企業などでは、モバイル活用を諦めたり、リスクを承知で利用したりといったこともしばしばであった。

 だが、状況は大きく変わりつつある。背景にはモバイル活用の広がりを受け、安価かつ手軽に導入できる対策が相次いでいることがある。そして、それらの先駆けに位置付けられ、大手金融機関を中心に累計500社に利用されているのが、ジェーエムエーシステムズ(JMAS)のスマートデバイス向けセキュリティソリューション「KAITOシリーズ」だ。

 KAITOシリーズは「KAITOセキュアブラウザ」「KAITOセキュアレコーダ」「KAITOセキュアカメラ」の3製品から成る。中でも現在、利用者が急増しているのがKAITOセキュアカメラだ。その一番の特長は独自開発の通信基盤上に、業務利用を織り込んだアプリケーションを用意することで、“セキュリティ”と“効率性”を高いレベルで両立していることだ。

“セキュリティ”と“効率性”のための仕掛け

 KAITOセキュアカメラの通信基盤は非同期通信によって、途中でデータの転送が中断した場合にも、通信復旧後に残るデータの送信を再開して確実に送り届ける役割を担う。画像データや映像データをメモリ上にのみ格納し、圧縮・分割・暗号化するとともに、転送操作を行った後には人手を介すことなくデータ消去まで自動的に実行するよう設計されている。

 これにより、例えば一般的なメールのような、再送信のための手間が不要となり、効率的かつ確実なデータ転送を実現する。

ジェーエムエーシステムズ 事業企画部 プロダクト営業グループ マネジャー 上村武弘氏

 JMASの事業企画部 プロダクト営業グループでマネジャーを務める上村武弘氏は、「KAITOセキュアカメラの一番の利点は、データを端末側に一切残さないこと。データの消去を自動で行うため、利用者の手を煩わせることもありません」と話す。

 KAITOセキュアカメラは簡単に利用に乗り出せるのもポイントだ。必要な作業はクラウド版であればモバイル端末に専用アプリをインストールするだけ。Windows、iOS、Androidのいずれにも対応している。利用料金については、100ユーザー1カ月当たりで10万円からと非常に安価だ。

 加えて「KAITOセキュアカメラは無駄な機能をできる限り省いています」と上村氏。それだけに、操作も極めて簡単で、導入研修も最低限に抑えられる。前述の利用実績も、KAITOセキュアカメラのセキュリティと利便性、さらに導入の容易さや低コストといった総合力があればこそだ。

業種業態、企業規模を問わない高い活用性―活用事例7選

ジェーエムエーシステムズ 事業企画部 プロダクト営業グループ 小澤祐一氏

 JMASで事業企画部 プロダクト営業グループに所属する小澤祐一氏は、「KAITOセキュアカメラは機能がシンプルなだけに活用法はアイデアの数だけ存在します。画像は用途開拓の余地が豊富に残されており、セキュリティにシビアな金融機関に加え、メーカーや流通などでも業務改善の新手法として活用機運が盛り上がっています」と説明する。

 成果を上げている企業は業種業態や企業規模を問わず数多いが、ここからは厳選してお届けしよう。

  • 【1】自動車メーカーの試作品設計

 KAITOセキュアカメラは、とある自動車メーカーでの設計開発業務にも活用されている。メーカーにとって設計開発の過程で撮影された写真は極めて重要な機密情報だ。

 同社では、カメラの利用申請から、撮影後のPCへのデータ転送、データ消去後の返却までを厳格なルールで運用していたが、保有するカメラの台数が限られるため、ルールの順守がおろそかにされがちだった。こうした問題も、写真を確実に送信した後端末から消去するKAITOセキュアカメラを採用して既存申請業務を簡略化、必要な時に撮影業務が簡単に行えるようにすることで、抜本的に解決されたのである。

自動車メーカーにおける導入効果
  • 【2】発電施設の設備管理、点検

 設備管理に活用している電力会社もある。発電施設は大規模で、点検すべき対象も無数に存在する。それらの記録を細かく残すのは骨の折れる作業である。対して写真を使えば、ひと目で状況を確認でき、それだけ書面に残す記録を削減できる。

電力会社における導入効果
  • 【3】ペーパーレス化

 仕事に“紙”は付き物だが、KAITOセキュアカメラによりペーパーレス化を実現した例もある

 とある小売業ではポイントカード申し込みに当たり、委託業者に申込書を送付し、入会に際しての入力業務を行っていた。だが、この手法では各店舗から申込書の送付が必要で、そのコストも個人情報保護の観点から割高なことが問題視されていた。そこで同社では申込書を撮影して、委託業者に直接送付することで紙のやりとりが一掃されたのだ。

 もちろんペーパレス化は申込書に限った話ではない。某小売業では新規スタッフ採用において拠点から本部へ送付していた履歴書のペーパレス化、某金融機関では控除対象となる各種申請における領収書のペーパレス化にも利用されており、KAITOセキュアカメラによってペーパレス化することで、さまざまな申請シーンでも業務が効率化できるのは容易に想像できる。

  • 【4】タイムスタンプとGPSによる真正性の担保――担保物件の評価や監査業務、在宅医療

 KAITOセキュアカメラのメリットの1つに、データの転送時に、サーバ側の時刻を取得し、クライアント側でデータにタイムスタンプを付加してから転送することがある。加えてGPSによる位置情報も付加できるのだ。そのため、撮影日時や転送時刻、位置情報などと照らし合わせることで、真正性を高いレベルで担保できる。

 「この点に着目して担保となる物件の評価や監査業務に採用する金融機関も多くなっています」(小澤氏)

  • 【5】事故現場の調査――テクノ・セイフティ

 KAITOセキュアカメラの代表的な活用事例の1社が、保険会社からの依頼を受けて事故現場の調査を行うテクノ・セイフティである。

 調査過程で現場検証や確認用に何枚もの写真を撮影する同社では、それらを基に報告用レポートを作成していた。レポートを保険会社に提出後、不備が指摘されることで再度の撮影を余儀なくされることもしばしばだった。この点を踏まえ、テクノ・セイフティはオンプレミス版でKAITOセキュアカメラを導入。社内のKAITOセキュアカメラ用サーバとテクノ・セイフティのシステムとを連携させた。レポート作成までの時間を削減して、問題点が迅速に保険会社に通知されるように環境を整備した。

 「社員が70人ぐらいの規模の企業でもKAITOセキュアカメラのオンプレミス版を連携させることで安価に業務効率化を実現できます」(小澤氏)

  • 【6】営業活用――住友生命保険、【7】物件調査――ヒューリック

 他にも、住友生命保険では営業活用を目的に、不動産会社のヒューリックでは物件の調査確認のために活用されている。

住友生命保険における導入効果
ヒューリックにおける導入効果

 これらの詳細は下記で確認できる。

2018年3月には安価な新版もリリース

 JMASではより多くのユーザー獲得に向けた商品展開を計画中だ。第1弾は2018年3月にリリース予定の「KAITOセキュアカメラ メール送信版」である。これはKAITOセキュアカメラのデータ自動削除機能による安全性はそのままに、撮影者が指定したメールアドレス宛てに添付ファイルとして撮影データを送信でき、利用料を安価に抑えたものである。

 「スモールスタートで始めて効果を見ながら利用規模を大きくしたい」「会議の板書や商談時のメモなどを撮影し、素早く共有したい」という企業には最適だ。もちろん、これら以外にも用途は多様に広がるだろう。

 併せて、近い将来には、独自の通信基盤をSDKとして提供することも視野に入れているという。

 「データのやりとりにおいて通信基盤は必須機能です。当社のSDKを利用すれば、通信におけるエラー処理などの作り込みが不要となり、それだけ早く簡単にアプリケーションを開発できるようになります。現場のニーズへいち早く対応したい開発者には、このメリットは見逃せないはずです」(上村氏)

 モバイル活用の今後のさらなる広がりに異論を挟む向きはないだろう。JMASのKAITOセキュアカメラは、“安全”と“効率性”を両輪に、さらなる進化を遂げるはずである。

【編集長】内野の視点

DXというと、AI、IoT、AR/VRなど最新のテクノロジーを使って誰もが思いつかなかったような機能やサービスを開発すること、といったイメージが強いようです。しかし、DXで一番大切なのは、ビジネス価値やユーザー体験価値です。業務部門のエンドユーザーやその取引先の担当者、ひいてはその最終消費者まで含めて、全てのステークホルダーを幸せにすること。最新の技術を使ったり、奇抜な発想で人を驚かせたりすることではないのです。

KAITOセキュアカメラは独自の通信基盤を採用しているものの、決して目新しい技術を採用しているわけではありません。しかし、多様な業種、多様な立場の人たちに「これがあったら」「これができたら」という業務改善のヒントをごく自然な形で発想させてくれます。そして何より大切なのが、業務に対する自らの問題意識をスピーディーに解決できること。これが現場の1人1人に多大な実効感とモチベーションを与えてくれるのです。

特に一般的な企業においては、「セキュリティ、ガバナンス・コンプライアンスを確実に担保しなければならない」という大前提が、新たな取り組みの阻害要因になることが珍しくありません。まさしくその点に配慮したKAITOセキュアカメラは、多様な現場で働く人たちの問題意識、ひいてはクリエイティビティを一気に解放してくれるアプリケーションだといえるのではないでしょうか。技術の世界だけに目を向け、技術の世界に閉じこもることがDXではない――KAITOセキュアカメラのシンプルなアーキテクチャは、そうした誤解にあらためて気付かせてくれるとともに、正しいDXの在り方を示唆してくれているかのようです。

ただ何より印象的なのは、こうしたアプリケーションを開発したJMASの発想力でしょう。多数のサービス開発、SI経験から、一般企業のペインポイントを知り抜いた設計・開発陣でなければ、現場の人の気持ちにまで踏み込んだアプリケーションなど到底発想することはできなかったのではないでしょうか。DX推進の上ではテクノロジーパートナーとの緊密な連携が重要といわれています。もしかしたら、JMASの本領が発揮されるのは、KAITOセキュアカメラの導入後こそなのかもしれません。ぜひ皆さんも本稿を1つの参考に、「今目の前にある課題や疑問」を見直してみてはいかがでしょうか。

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提供:株式会社ジェーエムエーシステムズ
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年3月31日

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