アフターコロナ。IT業界は、エンジニアの働き方は、どう変わる?キャリアビジョンを明確にする1日

プロジェクトをハブとしたプロ集団、全国規模のリモートチーム――アフターコロナのエンジニアの働き方はどう変わるのか、そしてエンジニアはどう変わらねばならないのか、仲間たちと共に考えてみよう。

» 2021年07月26日 10時00分 公開
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 2021年6月19日、フリーランスエンジニア専門エージェントの「PE-BANK」が、「プロエンジニアフォーラム2021」を開催した。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により開催を見送った同イベントは、オンラインという形で2年ぶりの再開にこぎ着けた。

 今回のテーマは「プロエンジニアがキャリアビジョンを明確にする1日」。アフター/ウィズコロナで大きな変革期を迎えている社会情勢の中で、フリーランスエンジニアはどのようなキャリアを歩むべきか、さまざまな視点から考察した。

フリーランスエンジニアがもっと働きやすくなるための取り組み続々誕生

 イベントは、PE-BANK 代表取締役 高田幹也氏(※)のあいさつからスタート。続いて、元大阪府知事 元大阪市長の橋下徹氏が、「異端のすすめ 強みを武器にする生き方」と題する特別講演で、弁護士として、政治家として、前例のない取り組みを次々と行ってきた自身の経験にからめながら、自分の価値を高め、他との差別化を図るためにどのような思考や行動が必要かを説き、エンジニアたちにエールを送った。

※高はハシゴダカ

元大阪府知事 元大阪市長 橋下徹氏

 続いて、「ITフリーランス支援機構」代表理事 高山典久氏が、団体設立の目的と、行動計画を報告した。

 ITフリーランス支援機構は、PE-BANK、レバテック、三井住友海上火災保険の3社が会社の垣根を越えて立ち上げたITフリーランス業界の健全化を目指す団体である。最初の活動として、厚生労働省 労働政策審議会に対し、ITフリーランスの労災特別加入の適用を求めて働き掛けを行い、イベントの前日にITフリーランスにも労災特別加入が認められた。これにより、ITフリーランスは、省令改正を経て労働災害保険に加入できるようになる。

 省令の改正施行は2021年9月改正見込み。同団体は、フリーランスエンジニアがより安心して仕事に専念できるように、今後もさまざまな施策を行っていくという。

ITフリーランス支援機構 代表理事 高山典久氏

 4人目の登壇者は、「リース」代表取締役 中道康徳氏。フリーランスのエンジニアだった中道氏は、なぜ起業を決意したのだろうか。

 「フリーランス時代は、銀行口座を開設できない、クレジットカードを作れない、ローンを組めない、賃貸住宅を借りられない(家賃債務保証会社による入居審査落ち)など、いろいろなハードルにぶつかりました」(中道氏)

 金融機関や不動産業会の与信は、年収や保有するキャッシュの多寡ではなく、勤務先、勤続年数、給与所得で限度額が決まる。こうした“属性”に起因するハードルを乗り越えられなかった経験から中道氏は、特定の属性を持つ人々が不当な不利益を受けるという負を解消するべく、まずは不動産における信用の壁を解決しようと個人の与信を見える化するサービス「smeta」を開発した。

 ヒントになったのは国外(主に米国)だ。米国ではビジネスパーソンの2人に1人がフリーランスおよび個人事業主で、自分の与信は自分で証明する文化が確立している。smetaは、アプリを通じた集客/与信付与/物件紹介/家賃滞納保証を提供するフルラインサービスで、収入や貯蓄などを基に、smeta独自の与信を提供する。また、smetaを介して賃貸契約を結んでいれば、その間の家賃支払い実績も与信に加味されていく。

 「現在は賃貸のみですが、ゆくゆくは、賃貸で蓄積した与信情報を不動産の購入の際にも活用できるようにしたいと考えています」(中道氏)

リース 代表取締役 中道康徳氏

 サービスのアイデアもさることながら、同社そのものも面白さに満ちあふれている。中道氏は「雇用形態にとらわれず社外の優秀な人材とコラボレーションできるかどうかが企業の成長の鍵になる」と考えており、戦略的人事を画期的な方法で実践している。

 「smetaのサービスは、ネイティブアプリの裏側で、AI、SFA(Sales Force Automation)、RPA(Robotic Process Automation)などのシステムが動いていて、入居者募集/入居審査/契約管理/督促など、不動産業のさまざまなプロセスを自動化しています」(中道氏)

 こうした専門知識の伴う各領域に、相応に知識や技術を持つ人材をアサインするとなると、一から育てる場合は言うまでもないが、他社から引き抜くにしても相当なコストがかかる。また、従来の採用方法だと、どんなに優れた人でも戦力になるまでに一定の時間を要する。

 そこで同社が採用したのが副業のエンジニアである。

 「AI領域では、誰もが知る有名な企業のエンジニア4人が活躍しています。他にも、某大手IT企業のマーケティング責任者や東京大学の博士課程で言語学習アルゴリズムを研究されている方、元大手不動産営業なども活躍しています」(中道氏)

 普段別々の会社や学校で本業を持つエキスパートたちが、smetaというプロジェクトをハブにして協業する姿は、副業やリモートワークが認められるようになった今だからこそ実現できる新しい形態だろう。今後は、こうしたエンジニアの働き方が当たり前になっていくのかもしれない。

2021年、フリーランスITエンジニアが考えること、行うべきことは何か

 イベント後半は、進行役に作家でジャーナリストの佐々木俊尚氏を迎え、PE-BANK所属のフリーランスエンジニアたちによるパネルディスカッションが行われた。

 パネリストは、共にフリーランス歴5年となる岡山支店所属の中村寿志氏と東京本社所属の大畑直幸氏、イタリア出身でフリーランス歴3年目の東京本社所属 エルコリ・ミケーレ氏の計3人。中村氏と大畑氏はZoomで登壇し、視聴者もアンケートやコメントを通して話し合いに参加できる全員参加型パネルディスカッションとなった。

 では、テーマごとに交わされた意見を見ていこう。

左上から時計回りに、佐々木俊尚氏、中村寿志氏、エルコリ・ミケーレ氏、大畑直幸氏

これからの働き方はこう変わる

 コロナ禍で働き方がどう変わったのか、そしてコロナ終息後には何が残り、何が残らないのか。パネリストは3人ともリモートワークで仕事をしており、「働き方、仕事の進め方がコロナを転換点として変わったと感じている」(中村氏)という。「リモートワークはコロナ終息後も残る」と考えている点も3人に共通している。大畑氏は「それを踏まえて、東京から千葉に引っ越した」と、実際に行動に移している。また、IT企業に1年勤務してからフリーランスになったミケーレ氏は、「人間関係が良くて(会社を)辞められなかったけれど、リモートワークで人間関係が薄まり、フリーランスになる人が増えていくのではないか?」と、新鮮な視点から語ってくれた。

将来を見据えて行っていること、行おうとしていること

 将来がどうなるかは誰にも分からない。それゆえに不安が生じてしまう。大畑氏は「通勤時間が減った分で、プログラミングや英語の勉強、運動を始めた。技術の進化スピードに遅れないよう、不安解消のためにもキャッチアップするようにしている」という。中村氏は「Web系の技術は避けて通れないので、極めていきたい」という。ミケーレ氏は「プログラミング以外のことができれば、それが強みになる。マーケティングの知識もその一つ。そして、フロントエンド、サーバサイドに加え、インフラまで、全てを一人で手掛けられるように勉強していきたい」と話した。

みんなはどうなの? フリーランスエンジニアのリアル

イベントは登壇者のみ。完全無観客で行われた

 後半は、休憩時間中に行われた視聴者アンケートの結果を基に意見が交わされた。幾つか抜粋して紹介しよう。

設問:現在の業務形態について教えてください

回答:「コロナ後からリモート」44%/「常駐とリモートの両方」27%/「常駐メイン」29%/「コロナ以前からリモート」1%


 アンケート結果を踏まえると、コロナ以前は100人に1人だったリモートワーカーが70人に増えた計算になる。この形態は終息後も戻らない、というのが3人に共通する意見だった。

設問:新型コロナウイルスにより業務に変化は起きていますか?

回答:「大きく変わった」45%/「変わった」34%/「変わらない」21%


 リモートワーク以外で、変わったことはあるのだろうか? ミケーレ氏は「単価が上がった」という。コロナで企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、開発ニーズが増えているのかもしれないという分析だ。中村氏の周囲では「会社全体の業務が変わった」という。業務プロセスそのものを見直そうという機運が高まっているのではないかと推測している。大畑氏は業務において「ビジュアルデザインの確認がリモート環境ではやりにくくなり、工程として省かれることが増えた」という。自身が携わるプロジェクトで認識の食い違いが生じたため、チェックリストを提案して、活用しているという。

設問:今後もエンジニアを続けていきたいですか?

回答:「とても思う」45%/「思う」48%/「思わない」10%


 90%以上が続けたいという意見なのが心強い。ミケーレ氏のように「辞めたいと思ったことはないです(笑)」という意見もあれば、大畑氏のように「かつて、辞めたいと思ったことはある。疲れてしまったことがあった」という意見も出た。しかし大畑氏も今では、「技術が変わるからこそ、それに飛び乗ればチャンスにできるのかな、と思っている」と、かなり前向きになっているようだ。

 IT分野は次々と変革が起きるからこそ、途中から参入してきた人でも最先端に立てたり、大きな案件に携われたりする。変革があるからこそ、面白さややりがいを感じられる世界だといえるだろう。

交流イベントの新しい形態を模索中

PE-BANK 代表取締役 高田幹也氏

 イベント終了後、高田氏にお話を伺った。

 まずは、イベントの今後について。実はPE-BANKがオンラインイベントを開催するのは、今回が初めてではない。2020年末には、お酒と食べ物を参加者の自宅に郵送(!)してオンラインで親睦会を開催するという新たな試みにチャレンジしたそうだ。

 同じメニューのお酒と食事を楽しみながらオンラインで交流するという仕掛けに、「これおいしい」「あ、本当だ」と、遠隔地にいながら経験を共有できたことが画期的で、参加エンジニアからの評判が良かったという。また、月1回の割合でウェビナーを利用したエンジニア向けのセミナーも開催し、技術情報を介した交流の場も設けている。

 今後は、双方向のイベントは時期を見てオフラインを復活させつつ、セミナーなど一方向のイベントはオンラインも継続し、オン/オフのハイブリッドで開催していきたい意向だという。

 今後のエンジニアの働き方については、「良い方向に変わっていくだろう」と予測する。

 フルリモート案件が増えつつあり、大阪の案件にさまざまな地域のエンジニアがチームを組んで取り組んでいるケースもあるという。地方在住のエンジニアは、居住地にいながら都市部の単価で仕事を取れるため、好ましい環境が整ったといえる。

 地方の企業は都市部の案件にエンジニアを取られてしまうのではないかという懸念も生じるが、逆に都市部の優秀なエンジニアを副業&リモートで雇える可能性も出てきたと考えられる。新型コロナウイルスの流行で進んだ新しい働き方は、今後の社会を、働き方を、大きく変革していくことになるのは間違いがない。

 「いずれにしても、エンジニアにとって、今後のキャリアを明確にしていく絶好の機会だと思います。私たちPE-BANKも、エンジニアの皆さんをこれまで以上にバックアップしていきます」(高田氏)

PE-BANKとは

 さまざまな企業のシステム開発の現場に、多様な要望に応えられるプロエンジニアをコーディネイトするフリーエンジニア(個人事業主)のブランド化プラットフォームを展開、ITエンジニアにとってハードルの高い“独立”という選択肢を提供して、現在約2000人以上のITエンジニアとプロ契約を結んでいます。ITエンジニアの最適な働き方と、開発現場の深刻な人材不足の解消に取り組んでいます。

株式会社PE-BANK 会社概要

会社名:PE-BANK

代表者:代表取締役社長 高田幹也

本社所在地:東京都港区高輪2丁目15番8号 グレイスビル泉岳寺前

設立年月日:1989年5月1日(協同組合として)

資本金:3億1295万円

事業内容:ITフリーランスのブランド化プラットフォーム事業


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提供:株式会社PE-BANK
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2021年8月25日

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