災害が相次ぎ、テレワーク需要も高まる中、災害対策やバックアップの仕組みの在り方があらためて問われている。だが、対策そのものを用意していない、万一の際にデータを戻せないといった課題を抱える企業がある。今すぐリスクを回避する策とは。
地震、水害、台風など、自然災害への対応の重要性が増している。事業継続計画(BCP)や災害対策(DR)はITシステム運用において長年重要なテーマだったものの、想定を超える事態が頻発する近年、取り組みやそれを支える仕組みそのものを見直す必要に迫られている。
従来、事業継続に関わる重要なシステムやデータはテープバックアップなどを活用した対策が広く行われてきた。しかし、テープバックアップだけでは素早いシステム復旧が難しい、メディア管理が煩雑である、さらには物理的な搬送時にデータ紛失のリスクがあるといった課題を抱えていた。
昨今はテレワークが広がり、働き方が見直されている中で、事業継続に対する企業の向き合い方も変わりつつある。一例として、今まで人力のオペレーションに頼っていた運用をできる限りなくすこと、つまり出社できない場合を想定した無人運用も検討されつつある。これを受けて、ディスクバックアップやクラウドバックアップを含め、「常に災害に備えながら、かつ、昨今のワークスタイルに適した効率的な事業継続計画を検討すること」の重要性が、あらためて認識されるようになった。
日本企業のITシステム運用を長年にわたって支援しているNECの大西健太氏(プラットフォームソリューション事業部 クラウドプラットフォーム販売推進グループ マネージャ)は、昨今の災害対策の現状について次のように話す。
「自然災害の頻発や経営環境変化に対して、バックアップや災害対策の取り組みが十分だとは言いがたい状況です。例えばバックアップでは、データやシステムの一部をローカルだけで保存し、遠隔保存までは行っていないケースがまだまだあります。一方で、クラウド利用も限られており、データのバックアップ先として利用していても、ローカルに一次バックアップがなかったり、復旧する際の手間や時間を考慮した十分なバックアップシステムが構築できていなかったりするケースが目立ちます」
冒頭に触れた通り、出社前提の働き方に変わり、在宅勤務のための環境整備に追われ、災害対策の見直しにまで手が回っていない例もある。大西氏は「ビジネスの在り方が大きく変わろうとしているこのタイミングで、災害対策やバックアップの見直しを積極的に進めていくことが重要です」と指摘する。
だが取り組みを進めようにも、そうできない事情もある。特に、バックアップのような守りの投資については予算を確保しにくい傾向が強い。
「バックアップや災害対策には“保険”としての意味合いがあります。予算が限られる中、積極的な投資を避ける傾向があると思います。また、システム運用に当たる人材が減少している事情もあります。これを受けて、バックアップや災害対策の仕組みがブラックボックス化し始める企業も出てきています」(大西氏)
従来の仕組みを維持するどころか、ブラックボックスとなってしまった場合や、いざというときに機能しないとなれば、企業は常に多大なリスクを背負っていることになる。実際、災害やセキュリティ脅威による侵害を受け、仕組みはあっても復旧できずに事業が止まってしまう事故やインシデントが起きている。
では、どうすればバックアップと災害対策の見直しを着実に進められるのか。NECの伊東有里子氏(パートナーソリューション事業部 ソリューションコーディネートグループ)は「今、企業が抱えている課題は大きく3つに整理できます」と説明する。
1つ目は「拡張性」。データが爆発的に増える中、企業が持つストレージ容量が急拡大している。「ただ、データとストレージが増えても、バックアップの仕組みは従来のままのため、容量不足に陥ったり、性能が不足してバックアップ時間が膨大にかかったりするようになっています。その結果、バックアップするデータ量や分野を制限する事態にも至っています」
2つ目は「コスト」。近年はデータやシステムをクラウド上にバックアップしやすくなった。しかし、「クラウドにバックアップを置いて安心してしまい、ローカルにデータを保存していないケースが増えています。そのため、クラウドからデータを再ダウンロードする際に、思わぬ転送コストが生じたり、帯域確保のためのシステム変更が必要になったりするなど、復旧までに思わぬコストがかかります」。
3つ目は「新たな運用体系への対応」。バックアップ先としてクラウドを使うにしても、新たなスキルが求められるため、教育コストや運用工数が増大する。システム運用担当者が減少する中で、新しい役割を担う人材を見つけ、配置すること自体もますます難しくなっている。逆にいえば、こうした「拡張性」「コスト」「運用」という課題に着目すれば、“今求められている現実的な対策”が浮かび上がってくる。
では、NECが考える“現実的な対策”とは何か。それが「iStorage HSクラウド遠隔バックアップサービス」だ。
「データ量が増える中、バックアップや災害対策は高額なコストと、転送により多くの時間がかかるようになり、運用の手間も増えました。iStorage HSクラウド遠隔バックアップサービスは、お客さまのメインサイトにあるバックアップストレージ『iStorage HS』に格納されたバックアップデータを自動的にAmazon Web Services(AWS)のクラウド上に転送・複製します。これにより、クラウドを利用した拡張性の高さ、運用負担軽減を実現する災害対策ソリューションとなっています。さらに、一次バックアップデータはローカルのiStorage HSに保存され、重複排除済みのデータのみをクラウドに転送するため、バックアップ時間は最小限で済みます」(大西氏)
クラウドバックアップというと、「クラウドのみにバックアップを保管する」方式と、「オンプレミスとクラウド双方に保管する」方式が一般的だ。
クラウドへ完全移行するケースでは、オンプレミスでの管理は不要になる。だが、手元にバックアップデータがないため、いざというとき迅速に戻せないことが課題になりやすい。一方、オンプレミスとクラウドの両方でバックアップデータを管理する場合、管理が二重になる他、クラウド管理が負担になりやすい。
iStorage HSクラウド遠隔バックアップサービスは、前述の2方式のいいとこどりをしたサービスだという。具体的には、「オンプレミスとクラウド双方に保管する」方式を採用するが、AWSクラウド環境の構築・運用は基本的に全てNECが担う。そのため、企業はオンプレミスのiStorage HSを運用するだけでよい。それも簡単な設定だけでバックアップ運用ができる仕組みが用意されている。さらに重複排除機能によってバックアップデータとバックアップ時間を短縮。そのため、バックアップ装置に搭載するディスク容量も抑えられ、必要に応じて拡張も可能だ。つまり「初期投資を最適化し、スモールスタートできる」(大西氏)というわけだ。
ネットワーク面でも、拡張性を高め、コストを軽減する仕組みを用意している。iStorage HSクラウド遠隔バックアップサービスは、クラウドとのプライベート接続を工夫した。コストが高くなりやすい閉域網接続(AWS Direct Connect)ではなく、NECのインターネットVPN接続サービス「Clovernetクラウドネットワーク エントリーパック」(Clovernet)を推奨している。
「Clovernetは仮想閉域網でセキュリティを確保し、かつインターネット接続の手軽さと柔軟性を備えたインターネットVPN接続サービスです。専用線よりも安価に接続でき、セキュリティとコストパフォーマンスを両立させます」(伊東氏)
もちろん、iStorage HSクラウド遠隔バックアップサービス以外の用途にも利用できる。テレワーク環境を考慮したリモートアクセス構成や、拠点間ネットワークの接続構成など、企業がすぐに利用できる標準導入パターンも用意している。多様な要件にワンストップで対応できることは、SIerとして豊富な実績を持つNECならではと言えるだろう。
「iStorage HSクラウド遠隔バックアップサービス」は、実効容量1TBで月額3万7000円(税別)からスタートし、1TB刻みで容量を拡張、最大16TBで月額15万1000円まで対応する。必要に応じて細かく段階的に拡張しやすい料金体系という点もポイントだ。回線については、顧客の既存の回線に「Clovernetクラウドネットワーク エントリーパック」(月額1万7100円、税別)を組み合わせることで、セキュアなVPN通信環境を実現することが可能だ。
「こうしたサービスを多くの企業にとって扱いやすい月額料金体系で提供します。必要なときに必要な投資を行えることで、予算取りの難しさも解消しやすくなると考えます」(大西氏)
国内事例もある。「すでに災害対策システムを構築していたある企業が、運用も含めたトータルコストを重視して、iStorage HSクラウド遠隔バックアップサービスに切り替えた事例」や、「1TBからスモールスタートできることを重視して、採用した事例」などがあるという。
大西氏は次のようにまとめる。「対策見直しの必要性を認識しながらも、課題に直面して取り組みを進められずにいる企業は多くいらっしゃいます。ストレージやクラウドの初期構築、その運用、ネットワーク回線の提供まで含めてNECが担うことで、お客さまはバックアップと災害対策に取り組みやすくなり、導入後も運用負荷とコストを抑えることができます。今回ご紹介したサービスに限らず、NECにご相談いただければ、お客さまにとってどのような方法が最適か、それを実現するためのソリューションは何かを一緒に検討させていただきます」
コロナ禍を受けて、働き方が変わりつつある今だからこそ、あらためてバックアップや災害対策への取り組みを見つめ直してみてはいかがだろうか。
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