ステートフルなコンテナ環境に適用できる「データ保護」、その仕組みとは?クラウドネイティブ時代の「最後の砦」

アプリケーション開発でコンテナ活用が進む中、エンタープライズでも利用のニーズが増えている。コンテナのシンプルさ、柔軟さと、エンタープライズで求められる要件を両立させる方法とはどのようなものなのか。

» 2021年11月15日 10時00分 公開
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コンテナの「ステートフル」化が進んでいる

 アプリケーション開発の基盤として注目を集めている「コンテナ」。エンタープライズでもコンテナに対するニーズが高まっている。SB C&Sの加藤 学氏(ICT事業本部 販売推進本部 技術統括部 テクニカルマーケティングセンター テクニカルフェロー)は現状をこう話す。

SB C&Sの加藤 学氏 SB C&Sの加藤 学氏

 「アプリケーションも『所有から利用へ』という考え方に強くシフトしてきており、コンパクトでリスクの少ない環境のニーズが高まっています。その代表例がコンテナであり、Dockerのコンテナダウンロード数が倍々で増えていることからも明らかです。管理の効率性を考えてもコンテナが利用されるのはもはや必然でしょう。今後は、DockerやKubernetesなどの環境を活用し、クラウドネイティブの世界観に追随していくことがビジネスでも重要になるはずです」(加藤氏)

 しかし、DockerやKubernetesを利用していく上で課題となるのが、コンテナの運用だ。

 「従来のITインフラ運用とコンテナ運用のギャップが見えないままコンテナ活用の方針だけ決まっているケースも見受けられます。このギャップをどう解消するかは大きな課題です」(加藤氏)

 また非構造化データの活用が進み、データベースの在り方も大きく変わりつつある。「クラウドネイティブのアプリケーションが増え、データベースも多様化しています。データベースのデータを参照するだけでなく、分析し、インサイトを得るアプリケーションが増え、それに対応した『Apache Cassandra』などのデータベースも登場しました」と話すのは、ピュア・ストレージ・ジャパンの溝口 修氏(クラウドアーキテクト)だ。

 「コンテナ活用においても、ステートレスな環境だけでなく、ステートフルな環境を整備する動きが出ています。ステートフル化したコンテナは、Apache CassandraやMySQLといったデータベースや『Apache Kafka』のようなストリーミングサービスに活用でき、用途が大きく広がります」(溝口氏)

コンテナ環境でデータ保護を実現する「Portworx」

 コンテナに手を加えることでステートフル化できれば、既存のアプリケーションを移行したいというニーズが出てくる。SB C&Sの小川正一氏(ICT事業本部 販売推進・技術本部 技術統括部 第1技術部 2課)は「既存アプリケーションをコンテナに移行させるにはステートレスなコンテナのように『ポイ捨て』するわけにはいかず、データを永続化しなければなりません。リストアまで考慮したバックアップなどデータ保護を実現する必要があります」と話す。

 つまり、コンテナのシンプルさ、柔軟さと、エンタープライズで求められる強固なデータ保護の仕組みをいかに両立させるかが大きな課題となる。その解決策として注目されるのが、ピュア・ストレージが提供するKubernetes向け統合データプラットフォーム「Portworx」だ。

 PortworxはあらゆるKubernetesディストリビューションに対応し、そのコンテナとしてSDS(Software Defined Storage)機能を提供。ストレージ環境も、オンプレミスの物理ストレージから、クラウドのブロックストレージまで幅広く対応し、バックアップやDR(災害対策)、マイグレーション、セキュリティ、オートスケールといった各種機能でデータ保護を実現する。

Portworxの特長(提供:SB C&S) Portworxの特長(提供:SB C&S)

監視サービス、オートスケール機能などで運用を効率化

ピュア・ストレージ・ジャパンの溝口 修氏 ピュア・ストレージ・ジャパンの溝口 修氏

 Portworxはクラスタ当たり1000ノード、10万仮想ボリュームに及ぶ大規模な環境も構築できることが特長だ。すでに稼働している事例もあり、米国では7億ユーザーが利用するゲームのプラットフォームで活用されている他、中国では自動運転のIoT基盤として活用されているという。

 「コンテナのスピード感、柔軟性を生かしながら、データ保護を合わせて実現できる点が評価され、エンタープライズでの導入実績も増えています」(溝口氏)

 エンタープライズでは運用や監視も重視されるが、ピュア・ストレージが提供するストレージ管理プラットフォーム「Pure1」がPortworxでも利用可能だ。クラスタが出力するテレメトリーのログを収集し、クラウド上でチェック、異常時に通知するSaaS型の運用監視システムを利用できる。

 「エンタープライズ向けの運用監視、サポートの仕組みをKubernetes環境にも適用できます。既存のピュア・ストレージと同じプロセスで運用できる点はメリットです」(溝口氏)

 また、特徴的な機能としてオートパイロットがある。いわばストレージのオートスケールを実現する機能で、特にクラウド環境で有効だ。

 「最初に用意した容量に対し、使用率が一定を超えたら追加します。クラウドで用意されたAPIと連携して自動化するため、大規模環境における運用効率化の観点で評価いただいています」(溝口氏)

 また、Portworxがコンテナと実ストレージの間に入ることで、コンピュートノードにアタッチするストレージの数などクラウド側の制限に縛られなくなる。これにより、コンピュートノード当たりに乗せることのできるコンテナ数が増え、コスト削減にも貢献する。

クラウド間、オンプレミスとのデータモビリティに寄与

SB C&Sの小川正一氏 SB C&Sの小川正一氏

 Portworxはデータモビリティの観点でも有効だ。企業はもはやクラウド活用を避けては通れないが、ずっとパブリッククラウドを利用し続けるかといえば、決してそうとは限らない。

 「最近ではクラウド環境のDR対策としてマルチクラウドを検討するケースも増えています。しかしマルチクラウドでコンテナを横展開しようとしても、そのままでは難しいのが現状でした。クラウド基盤とコンテナの間にPortworxを取り入れることで、バックアップとしての分散や、マルチクラウド展開が容易になり、認証なども含めて一気通貫で運用できるようになります。クラウドからオンプレミスへの移行手段としても利用でき、クラウド、オンプレミス間の違いやストレージ間の違いを吸収して、データを自由に動かせる点は大きなメリットです」(小川氏)

 こういった仕組みを活用することで、定期メンテナンス時の一時的な退避先としてのクラウド利用も可能になるという。

データベースを簡単にデプロイできるDBaaSもリリース

 また2021年9月末には、「Portworx Data Services」を発表した。これはいわば「DB as a Service」(DBaaS)であり、PortworxのSDS機能からバックアップ、レプリケーションなどデータ保護の仕組みをテンプレート化して提供する。OSS(オープンソースソフトウェア)のデータベースごとにテンプレートを用意し、開発者はデータベースやサイズなどを指定、最後に自社クラスタのIPアドレスを入れるだけで簡単にデータベースをデプロイできる。

 「以前はOracleなど特定のデータベーススペシャリストが社内にいましたが、クラウドネイティブのアプリケーションが増え、データベースサービスも乱立する状況下でそれぞれのエキスパートをそろえるのは困難です。Portworx Data Servicesをご利用いただくことで、データベースのデプロイやデータ保護に時間を割く必要がなくなります。開発者はいきなり開発からスタートでき、よりイノベーティブな仕事に専念できます」(溝口氏)

 さらに、エッジコンピューティングへの対応も進めていく。「エッジの限られたコンピュートリソースでKubernetes基盤を動かしたいというニーズが増えています。そういったケースでは、エッジからコア側にデータ連携し、コア側で機械学習などを用いた分析をするため、Portworxのレプリケーション機能やデータ連携機能をエッジ側で使えるよう強化する予定です」(溝口氏)

さまざまな選択肢を提示し、CI/CDの実現を支援

ピュア・ストレージ・ジャパンの生駒俊佑氏 ピュア・ストレージ・ジャパンの生駒俊佑氏

 クラウドネイティブが注目される中、CI(継続的インテグレーション)やCD(継続的デリバリー)を意識する企業が増えているが、実現できているかというと難しいのが現状だ。

 「CIの重要性は2000年ごろから言われていることもあり、多くの開発者がすでに取り組んでいますが、インフラの要素が絡むCDは難しく実践できている例は少ない印象です。運用とのギャップを減らすPortworxのような製品やテクノロジーを利用することで、CIからCDまでスムーズに進められれば、アプリケーションをデリバリーする速度を高められるはずです」(加藤氏)

 SB C&Sでは2015年から開発者向け製品の取り扱いを強化し、DevOps事業を立ち上げている。PortworxもDevOpsを支える製品群の一つだ。PortworxについてはSB C&Sが日本語による個別のサービスを提供予定だ。「欧米では、OSSファーストや内製化、オートメーションなどをやるべきという意識が進んでいますが、そのまま日本に持ってくるにはまだギャップがあります。そのギャップを埋めるために、Portworxなどさまざまな製品の提案、販売を通して、多くの選択肢を提示するのがわれわれの役割ではないかと考えています」(加藤氏)

 ピュア・ストレージ・ジャパンの生駒俊佑氏(シニアパートナーテクニカルマネージャー)は「コンテナやクラウド活用が進んでいるものの、データ管理の視点が抜けてしまいがちです。Portworxはデータ保護の一つの解になります。コンテナ移行に当たってデータ保護が課題になるならば、まずはPortworxでデータの安全性を確保していただくのがよいでしょう。SB C&Sにはそういったコンサルティングや提案も期待しています」と話す。

 ストレージベンダーのイメージが強いピュア・ストレージだが、データプラットフォーマーとして場所を選ばず、最適な製品の提供を目指しており、幅広いプラットフォームを対象にするPortworxはその中核ともいえるだろう。クラウド、コンテナ活用が進む今、Portworxが活躍する場は広がりそうだ。

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提供:SB C&S株式会社、ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2021年11月28日

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