4年ぶりのフィジカル開催となる「AWS Summit Tokyo」。安全なAWS環境下で現実世界の問題解決スキルを競う「AWS GameDay」の他、充実の展示、150超のセッションなど見どころは盛りだくさん。1本目の告知記事に盛り込み切れなかった見どころを紹介する。
Amazon Web Services(AWS)クラウドを学ぶイベント「AWS Summit Tokyo」が2023年4月20〜21日、幕張メッセで開催される。2019年以来、4年ぶりのフィジカル開催となる本イベントは、会場4ホールを使用し、150以上のブレークアウトセッションと180以上のブース展示を予定。参加者規模は延べ3万5000人を見込む。
各日程の特徴をあえて伝えるとするなら、初日がAWSをビジネスで活用している人やAWSを使い始めた人にも分かりやすくAWSの価値を改めて披露する「Business & New To AWS of Just started」。2日目がAWSを一段深く活用したいと考えている人でもより楽しめる内容を提供する「AWS Advance and Experts」。
ポイントは、AWSをビジネスで活用している人が初日に参加すれば新しいベーシックな機能を体験でき、AWSを使い始めた人が2日目に参加すると「AWSでできることの未来像」を理解、体験できる立て付けとしていること。多数のセッションや展示も同様に、参加者属性を制限せず、“参加者それぞれの立場で知りたいことが全て分かる”構成としている点が魅力だ。本稿では本イベントの楽しみ方と役立て方を紹介した記事に続き、AWS Summit Tokyoの目玉の一つである「AWS GameDay」と展示ブースを中心に紹介しよう。
「毎回大好評のAWS GameDay、3年ぶりに開催します」と話すのは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン DevAx チーム シニアソリューションアーキテクトの金森政雄氏だ。
ご存じの通り、AWS GameDayは『re: Invent』でも毎回実施している人気プログラムの1つ。リスクのないAWSの仮想環境下でAWSソリューションを実装し、現実世界での問題解決スキルをゲームとして楽しみながら学べる共同学習プログラムとなっている。
「参加者は4人一組のチームとなり、与えられた問題を協力して解決することで得点を競います。自分たちが持つスキル、ノウハウを発揮してシステムの安定運用を実現できるか否か、楽しみながらスキルを学べる格好の学習環境となっています。特別な参加条件はなく、業務でITの開発や運用に携わっている方なら誰でも楽しむことができます」(金森氏)
それだけに、初心者から上級者までさまざまなレベルの参加者が集う。2013年から開催されており、累計参加者数はグローバルで8万人を超える。企業ごとの専用トレーニングプログラムとしても実施されており、日本でも20社超の開催実績がある。
「ポイントは、AWSによってチームメンバーがランダムに組まれること。企業でのトレーニングプログラムの場合、参加者の中から、AWSを始めたばかりの人、使い慣れている人、開発担当者、運用担当者など、多様な属性の参加者でチームが組まれます。知見もスキルも視点も異なる人同士がどう協働するかが得点に直結するだけに、楽しみも学びも大きくなるわけです」(金森氏)
特に今回のような個人で参加するパブリックイベントでは会社という枠組みもない。このため、本当に全く面識のない人同士でチームが組まれることになる。
「例えば、AWSの基本的な学習を終えたばかりの方、AWSの本番運用が10年を超えるような方、ゲーム系のスタートアップのアプリ開発者、エンタープライズの大規模システム運用者などでワンチームになるわけです。そうしたメンバーで問題解決に向けてどうコラボレーションするのか。これがAWS GameDayの醍醐味(だいごみ)です。お互いの経験、立場の違いやカルチャーの違いを乗り越えてタッグを組むわけですから、普段の業務ではまず得られない体験をしながら、新しい知識やスキルを学ぶことができます」(金森氏)
無論、魅力は“未知の参加者とのコラボレーション”だけではない。金森氏はAWS GameDayがエンジニアを引き付ける理由をこう話す。
「1つは、AWSやITに関する自分のスキルが普段と異なる環境でどこまで通用するのか、腕試しできることでしょう。実際、技術者としてチャレンジしがいのあるプログラムにしています。もう1つは、やはりいろいろな課題に立ち向かうことで新たな知識やスキルを得られること。例えば、普段Webアプリケーションを開発している人がIoTに立ち向かう必要があるかもしれません。新しいサービスやソリューションとの出会いもぜひ楽しんでいただければと思います」(金森氏)
ちなみに、出題内容は多岐にわたり、テーマや内容も毎回異なるが、今回のAWS Summit Tokyoではどんな問題が出るのだろうか。
「それは言えません(笑)。ただ過去の例で言うと『AWS IoTサービスを使って社屋のモニタリングをしている環境のトラブル対応』や『手動でデプロイしてきたWebアプリケーションについて、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインを組むことで開発を高速化する』といったものがありました。チームの中で誰が何を担当するのか、自分のスキルが足りないときにどうヘルプし合うのかが1つのポイントになります。スキルやノウハウはもちろん、エンジニアとしての振る舞いやコミュニケーション力を培う良いきっかけにもなります」(金森氏)
最初は緊張からコミュニケーションがぎこちなくなってしまうことも多いという。解決すべき要素も多岐にわたり、時間内では全てをクリアできないため、何から取り組むか、ヒントをどう使うかといった戦略性も問われるそうだ。
「コロナ禍の影響もあり、パブリックな形でのGameDay開催は2年ぶりになります。その間、開催を希望する声を多数いただいてきました。ぜひ奮って参加いただき、トロフィーを奪取してほしいと思います」(金森氏)
一方、展示ブースも見どころ満載だ。AWSのIoTスペシャリスト ソリューションアーキテクト 三平悠磨氏は「大きなテーマは、AWSをまだ触ったことのない方から、既にAWSを活用しているエンジニアの方まで、楽しみながらクラウド開発を学べること。ぜひAWSやクラウドの魅力を実感いただければと思います」と話す。
展示ブースは大きく分けて3つのコーナーで構成される。
「builders.flash EXPO」ガジェット展示コーナーは、エンジニア向けの実践情報を提供しているAWSのWebマガジン「builders.flash」で紹介された、AWSのサービスを組み合わせて作ったガジェットの実機を展示するもの。
「IoT や機械学習などの AWS のさまざまなサービスとデバイスの連携例を、実機で見られることがポイントです。手順に沿って組み立てることで初心者でも簡単にガジェットを作れるような情報を提供します。その他、AWSサービスやセキュリティを楽しみながら学べる参加型のミニゲームも用意しています」(三平氏)
日本全国で展開しているAWSユーザーグループ「JAWS-UG」との交流コーナー「Community Kiosk」では、これまでの活動やユーザーが実践したベストプラクティスなどが紹介される。さまざまな業種、地域のJAWS-UGキーパーソンと直接交流することで、参加者自身の会社の業種/業界、地域性なども踏まえた、より突っ込んだ相談ができる。
3つ目はクラウドネイティブな開発について短時間で解説するミニセッションだ。「2023年6月に開発者向けイベント『AWS Dev Day』を開催しますが、その開催に先駆けて、2022年のDevDayで好評だった技術領域を10分間に凝縮して解説するセッションを多数ご用意しています」(三平氏)。さらに、ミニセッションのスピーカー陣に質問することもできる。
なお、AWSは東京・目黒のスタートアップ支援施設「AWS Loft Tokyo」や、IoT、AR/VRなどの先端技術に触れられる「AWS Digital Innovation Lab」などでも各種ハンズオンを実施している。AWS Summit Tokyoではそうした取り組みを基に、AWSエキスパートがクラウド最新技術を活用して作成した最新のデモやガジェットを体験できることも魅力の一つだ。
三平氏は、「展示を見るだけではなく、最新のクラウドサービスに対する興味やクラウド活用の悩みなどを基に、ぜひ各ブースにいるAWSエキスパートと気軽に交流する場としていただければ」と話す。
この他、150を超えるセッションにも多くの見どころがある。セッションは、AWSユーザーによる「事例セッション」、AWSのパートナーSI事業者による「パートナーセッション」、AWSのエキスパートが提供する「AWSセッション」という3カテゴリーで構成。インターネットメディアソリューショングループ本部長 千葉悠貴氏は「各業種、業界における非常に実践的な情報を提供します」と話す。
「事例セッションではさまざまな業種、業界から約50の幅広い事例を紹介します。パートナーセッションは、AWS導入支援から、DX実現、クラウド活用法まで、多様なユーザー課題に寄り添う各種ソリューションを幅広く提供します。AWSセッションは、コンピュート、アナリティクス、機械学習、マイグレーションなど、注目のトピックを網羅した計58セッションで構成しました。AWSをこれから導入する方や経験者の方に向けて、レベルや業種別に分類して情報提供します」(千葉氏)
ユーザー事例やパートナーソリューションも見逃せないが、AWSセッションも「われわれソリューションアーキテクトが日々お客さまに接する中で聞いてきた、各種技術課題に応えられる内容にしている」という。
「おすすめのセッションは、クラウド活用のフェーズや参加者の属性に応じて変わってきます。これからクラウドを使う方や調査段階の方なら、技術レベルとしてLevel 100(入門者)、Level 200(初級者)とカテゴライズしているセッションを選んでいただくのがおすすめ。例えばLevel 200のセッションでは『Amazon EC2の使い方』や『コスト最適化の方法』『データ活用のはじめの一歩』といったテーマのセッションを提供します」(千葉氏)。千葉氏おすすめのセッションは記事下部と右部分にある「おすすめセッション」から確認できる。
エンジニアの属性という点では、インフラエンジニア向けの他、データエンジニア向け、アプリ開発者向けなど、各属性に役立つセッションを多数そろえている。
「例えばマシンラーニングエンジニアなら、機械学習モデルを高速に開発・デプロイできるフルマネージドサービス『Amazon SageMaker』のセッションや、DWH(データウェアハウス)サービスの『Amazon Redshift』のセッションなど、個別の関心事に沿ったものが必ず見つかるはずです。プリンシパルエンジニアがアーキテクチャを深掘り解説する『アーキテクチャ道場』もおすすめ。要件をどうアーキテクチャに落とし込むか、対談形式でポイントを解説するもので、楽しみながら実践的な知見が得られます」(千葉氏)
参加者の属性やスキルレベルを問わず、誰もが楽しく学べるよう構成された今回のAWS Summit Tokyo。久々のフィジカル開催ならではの出会いや発見が期待できる点も魅力だ。クラウドやDXに対するAWSと参加者らの熱量を、ぜひ現地で体感いただきたい。
※本記事の内容は取材時点のものとなるため、開催までに内容を変更する可能性があります。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2023年4月19日