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MySQLの高度な管理とチューニングテクニック快速MySQLでデータベースアプリ!(11)(1/2 ページ)

本連載もついに最終回。今回はMySQLサーバの運用・管理に必要な状態監視、チューニング、バックアップ、セキュリティについて解説する。以下のテクニックを駆使すれば、MySQLをさらに安定稼働させられるだろう。

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 前回までは、さまざまな言語やアプリケーション、とりわけWebアプリケーションからMySQLを利用することを主眼に説明してきました。皆さんの中には、それらを応用した実用的なプログラムを考えている方もいるかと思います。そこで、今回は運用上必要となるテクニックをいくつかのトピックに分けてご紹介します。「まだまだ実用は先だ」と思われている方も、いつかくる日のためにこんなこともできるということだけでも知っておいてください。

ロギング機能と動作ステータスの取得

 障害発生を防ぐための一番の方策は日々の運用方法にあります。サーバからの警告をいち早く察知して対処することで、障害を未然に防ぐことが可能になります。MySQLは、起動時に下記のようなオプションを指定することでロギング機能を有効にできます。

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 $logfileはログを出力するファイルの絶対パス(/usr/local/var/mysqld.logなど)です。$logfileを省略して、

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とすることも可能です。その場合、ログファイルはデータディレクトリに“サーバ名.log”という名前で作成されます。

 MySQLをソースからインストールし、ひな型のスタートアップスクリプトを使って起動しているなら、ロギング機能はすでに組み込まれています。しかし、RPMファイルでインストールした場合やOSのインストール時にインストールパッケージの1つとして組み入れている場合は、ロギング機能が外されていることがあります。/etc/rc.d/init.dディレクトリにあるmysqlスタートアップスクリプトファイルを編集し、startセクションの該当個所に上記のオプションを追加します。設定を有効にするためにMySQLを再起動し、試しに

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と入力してMySQLへの問い合わせを行ってみましょう。ログファイルには、

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と追加されているはずです。これで、どこからだれが接続したか、どんな問い合わせを行ったかを調べることができます。もちろん、不正なアクセスに対する調査も可能です。

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という行に覚えがない場合は、何らかの不正アクセスが行われた可能性があります。

 ログファイルはサーバの運用ばかりでなく、アプリケーション構築の際にも有益です。アプリケーションで何らかのエラーが発生した場合、その過程がログファイルに記録されているかどうかで、MySQLへの問い合わせがどこで失敗しているかめどを付けることができます。ログファイルに記録されていれば、問い合わせSQL文そのものにエラーがある場合が考えられますが、ログファイルに記録がなければネットワークの問題やMySQLサーバが起動されているのかを疑う必要があります。しかし、多くのエラーは前出の“Access denied”に起因する場合がほとんどのようです。その場合は本連載第3回に立ち返り、正しく参照権を設定してください。

サーバ稼働状況の調査

 これで、強力なロギング機能で正常なSQL問い合わせが行われているかを確認できるようになりました。しかし、サーバの稼働状況を把握するにはまだ十分とはいえません。MySQLには、サーバの稼働状況をタイムリーに調べる方法が備わっています。一番簡単な調査は、サーバそのものが稼働しているかの確認です。もちろん、

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でも調べることは可能ですが、もっと簡単に

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とする方法もあります。さらに突き詰めて、MySQLの稼働総時間や開かれているテーブルの数を調べる場合は

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とします。すると、例えば下記のようなメッセージが返ってきます。

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 例として挙げたメッセージには、以下のような情報が含まれています。

Uptime: 377976 起動からの総稼働秒数
Threads: 1 MySQLが使用しているスレッドの数。ただし、このほかに表面上表示されない管理用スレッドが3つ動作している
Questions: 91 起動時からの総問い合わせ数
Slow queries: 0 ある想定時間よりも時間を要した問い合わせの数(ある想定時間は設定可能)
Opens: 23 起動してから開かれたテーブルの数
Flush tables: 1 flush、refresh、reloadの実行回数
Open tables: 17 現時点で開かれているテーブルの数
Queries per second avg: 0.000 問い合わせ平均応答秒数

 さらに詳しい稼働状況を知りたい場合は、

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を用います。これらの情報は後述の「最適化」の過程で必要になってくるものです。

データファイルのメンテナンスとチューニング

 サーバ稼働状況の把握とは別に、もう1つ必要なのがデータファイルの検査です。MySQLは指定されたデータディレクトリにデータファイルを作成します(コラム「MySQLのデータファイル構造」参照)。不意なサーバ停止やHDトラブルによるデータファイル破損など、予期せぬトラブルは日ごろのメンテナンスを慎重に重ねても完全に防ぐことは不可能です。まず、データファイルが壊れていないかを確認します。

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 myisamchkコマンドを実行して下記のようなエラーや修復を促すメッセージが表示された場合は、早急に対処する必要があります。

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データファイルの修復と最適化

 myisamchkでエラーや修復を促すメッセージが表示されたら、下記のように対処します。

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 -rオプションでも解決できない場合は-oオプションを用います。

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 -rあるいは-oオプションのどちらかで、ほとんどのエラーから回復できます。ただし、これらのオプションを指定する場合は、修復中にファイルが更新されないように注意する必要があります。具体的には、MySQLサーバのプロセスであるmysqldを停止させた状態で修復作業を行うようにします。

 また、myisamchkコマンドはデータファイルの修復以外にデータの最適化が可能です。まず、下記のようにファイル自体のコンディションを表示します。

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 Deleted blocksの値が大きい場合は、無駄に占有されているディスク領域を開放する必要があります。これは、修復の際に用いた-rオプションで解決できます。この場合も必ずmysqldプロセスを停止させることを忘れないでください。

サーバプロセスのチューニング

 普段の運用方法をサーバのプロセスとデータファイルという2つの側面からとらえたように、最適化もそれぞれで行う必要があります。データファイルの最適化はお分かりいただけたと思います。では、サーバのプロセスを最適化するにはどうすればよいでしょうか。

 サーバプロセスは一度起動してしまうと、途中でパラメータを変更して用途に合わせて調整することはできません。起動パラメータの多くは--logオプションと同様、起動時にのみ指定可能です。しかし、そのすべてをsafe_mysqldのオプションとして記述してしまっては煩雑になってしまいます。

 そこでmy.cnfファイルを使用します。ソースからインストールした場合もRPMなどのパッケージを使ってインストールした場合も、/etc/my.cnfとして保存されているはずです。my.cnfの主要なパラメータには下記のようなものがあります。

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 my.cnfファイルを更新した場合、変更内容を有効にするためにはプロセスの再起動が必要です。

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コラム MySQLのデータファイル構造

 MySQL 3.23.XXより前まではデータファイルの形式に「ISAM」と呼ばれるものが使われていました。そのため、MySQLに用意されているコマンドの中には「ism」で始まるコマンドがいくつかあります。3.23.XX以降、データファイルは「MyISAM」に変更されており、データファイルの互換性や最大サイズが改善されています。少し前ならISAMからMyISAMへの変換方法も紹介する必要がありましたが、ほとんどの方は無意識のうちにMyISAMを使用していると思います。

 MyISAMはデータディレクトリ(/usr/local/varや/va/lib/mysqlなど)に次のようなファイルを作ります。

データベース名/

テーブル名.frm テーブル構造
テーブル名.MYD データファイル
テーブル名.MYI インデックスデータファイル

 データベース中にテーブルを1つ作るたびに、上記の3ファイルが1組になって増えていきます。

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