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オープンソースのEclipseは仕事に使える開発環境Eclipseを使おう!(1)(1/2 ページ)

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本記事は2002年に執筆されたものです。環境構築についての最新情報は「バージョン別セットアップマニュアル一覧」の「Eclipse」をご参照ください。Eclipse全般の最新情報は@IT キーワードINDEXの「Eclipse」をご参照ください。


連載のはじめに

 最近、あちこちの雑誌などで、オープンソースでフリーのIDE(統合開発環境)、「Eclipse」の文字を見掛けるようになりました。初めからJavaの開発環境が同梱されていることから、フリーのJava IDEという認識も多いようです。

 無料で使えるJava IDEには、ほかにも、オープンソースとして開発された「NetBeans」や、それをベースとしたサン・マイクロシステムズ社の「Sun ONE Studio(旧、Forte for Java)」などが存在します。しかし、Eclipseのインパクトの強さは頭一つ抜け出ている感じがあります。

 本連載は、Eclipseのセットアップと基本操作、プラグインの活用にわたって紹介していきます。なぜ、いまこれほどまでにEclipseが騒がれているのか、実際の現場での活用方法も織り交ぜてその理由を解明していき、その素晴らしさを、読者の方にも体験していただきたいと思います。

Eclipseとは何か?

 Eclipseは、もともとIBMが自社のアプリケーション・サーバ用の開発環境として1999年4月に開発を開始したものですが、2001年11月にオープンソースコミュニティにソースが寄付され、Eclipseプロジェクトで開発が続けられています。当時、「IBMからのソースの寄付は4000万ドル相当」と報道されたことは、記憶に新しいところでしょう(*1)。原稿執筆時(2002年12月)では安定版として2.0.2がリリースされています。概要については、Java Solutionフォーラムの記事に簡単な紹介が載っていますので、ご覧ください(*2)。最近のニュースでは、Oracleも参入を発表するなど、ベンダの注目も集めつつあるようです(*3)。

開発者のニーズに応じて柔軟に活用できる

 Eclipseの特徴はいくつもありますが、筆者は以下の4つがポイントであると考えています。

  1. 製品版IDEと同等の充実した開発機能
  2. プラグイン・アーキテクチャ
  3. 動作の速さ、充実したヘルプ
  4. 柔軟なライセンス内容

 以下に、それぞれについて説明しましょう。

(1)製品版IDEと同等の充実した開発機能

 コード生成(補完)機能、ステップ実行によるデバッグ機能、検索機能、ビルド、テスト機能など、IDEに必要な機能はほぼ網羅されています。さらに、コードのリファクタリング機能、バージョン管理システムCVSとの連携機能など、至れり尽くせりの環境がそろっています。

(2)プラグイン・アーキテクチャ

 冒頭に述べたように、EclipseはJava開発環境のイメージがありますが、実際には、それはEclipseの機能の一部でしかありません。Java開発環境が「機能」と表現されることに違和感がある方もいらっしゃるかもしれませんが、これは、Eclipseの特徴の1つであるプラグイン機能を使って実現されているものになります。

 Javaの開発環境は、JDT(Java Development Tool)プラグインとして初めから提供されています。ほかにも、C/C++プラグインや、PHPプラグインなどを導入することで、各種言語の開発環境になります。開発言語にとどまらず、XMLエディタデータベースメンテナンス用のプラグインなども存在するため、それらを導入することで、多彩な開発作業環境を自由に構築することが可能になっています。

 また、欲しいプラグインがなければ、自分で作ることができる環境(Plug-in Development Environment)も存在するため、パワーユーザーにとっては魅力的です。プラグインはJavaを用いて開発します。作り方については後述するヘルプに詳細な記述があります。

 なお、現在開発されているプラグインの情報を集めて公開しているサイトもありますので、興味があればのぞいてみてください(*4)。

(3)動作の速さ、充実したヘルプ

 Eclipseは、独自のネイティブコンポーネントSWT(Standard Widget Toolkit)を利用しているため、Swingを利用したGUIを使っているIDEより、かなり軽快に動作します。また、充実したヘルプが付属しているほか、日本語化キットで日本語になるため非常に重宝します。

(4)柔軟なライセンス内容

 Eclipseは、CPL(Common Public License)と呼ばれるライセンスで配布されています。これは、以前IBMが利用していたIPL(IBM Public License)を、一般的に利用できるように書き直したライセンスで、OSI(Open Source Initiative)にも、オープンソースライセンスであると認定されています。

 このCPLは、LGPL(GNU Lesser Gereral Public License)と似た形式を取っており、Eclipse自身を改造した場合はその部分のコードを公開する必要がありますが、プラグインとして機能追加を行う場合は、プラグインの部分のソースを公開する必要はなく、ライセンス上の制限(商用利用不可など)もありません。そのため、IBMはもちろんのこと、Rational、QNX など、さまざまなベンダからEclipseに独自のプラグインを追加した商用 の開発ツールが出ています。

 また、製品開発者は、第三者に特許侵害を主張されたとしても、それに対する一切の責任を放棄している、といった特許に対する免責事項が含まれていることにも注目すべきでしょう。

 このように、さまざまな長所を備えたIDEのように見えますが、現状では、「GUIビルダが付属していない」「J2EEアプリケーションの開発支援ツールが付いていない」といった短所も挙げられます。しかし、これらを可能にするオープンソースのツールも出始めていますので、近いうちにこれらも欠点とはならなくなるでしょう。

実際にダウンロードして使ってみよう!

 さて、長い前置きはこのくらいにして、早速動作させてみようと思います。Eclipseを動作させるには、バージョン1.3.0以上のJava実行環境が必要になるので、前もってインストールしておきます。

 準備ができたら、ダウンロードページを開き「Latest Release」の中から最新バージョン(執筆時は2.0.2)をクリックして、「Eclipse SDK」の中から、自分の使うプラットフォームに合うものをダウンロードします(これ以降の説明はWindowsを前提とします)。

 同時にメニューやヘルプを日本語化するために、先ほどのダウンロードページから「2.0.1」をクリックし、「Eclipse SDK Translations」から、「NLS-SDK-2.0.1-Translations.zip」(国際化キット)をダウンロードします。

 インストール自体は、ダウンロードしたファイルを解凍して、適当な場所に配置するだけで完了します。「eclipse-SDK-2.0.2-***.zip」を解凍し、続いて国際化キットを解凍し(Windowsならば自動的に上書き追加される)、インストールしたい場所にフォルダごと移動して(例えば、C:\Eclipse)、最後にeclipseを実行することで、インストールが完全に終了し、Eclipseが起動します。

画面1 クリックすると拡大します
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 なお、国際化キットは、「Windowsのみでテストされている」という記述がありますが、Linuxでも、Windowsの場合と同様、ディレクトリをそのまま上書きするだけで、メニューやヘルプが日本語化されます。

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