検索
連載

Cygwin/XFree86最新事情と日本語化ゼロ円でできるXサーバ(5)(2/2 ページ)

Cygwin環境はいまも進化し続けている。多くのパッケージが標準インストーラでインストールできるようになり、日本語化も可能になった。今回は日本語化を中心に、Cygwin環境の構築方法を解説する。(編集局)

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

X Window Systemの起動

 Cygwinのプロンプトが表示されたら、startxwin.shというシェルスクリプトを実行してみましょう。startxwin.shは/usr/X11R6/binにありますが、現在のCygwinはデフォルトで/usr/X11R6/binにパスが通っているので、そのまま実行できます。すると、1024×768ドットでX Window System(以下、Cygwinで動作するX Window SystemをCygwin/XFree86と表記)が起動します(画面5)。

画面5 startxwin.shの実行画面。1024×768ドットでウィンドウが開く。ウィンドウマネージャはtwmで、xtermが実行される
画面5 startxwin.shの実行画面。1024×768ドットでウィンドウが開く。ウィンドウマネージャはtwmで、xtermが実行される(画像をクリックすると拡大表示します)

Window Makerを使う

 前述したように、Cygwin/XFree86をインストールすると、Window Makerも利用できるようになります。Window Makerを使用するために、startxwin.shを変更してみましょう。テキストエディタで/usr/X11R6/bin/startxwin.shを開いて、twmを起動している部分を以下のように変更します。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 ファイルを保存・終了して、再度startxwin.shを実行してください。ウィンドウマネージャがWindow Makerに変わります(画面6)。

画面6 ウィンドウマネージャがWindow Makerになった(画像をクリックすると拡大表示します)
画面6 ウィンドウマネージャがWindow Makerになった(画像をクリックすると拡大表示します)

 Window Makerの場合、起動はもたつきますが、起動してしまえば何とか使える速度で動きます()。ただし、Cygwin/XFree86のWindow Makerは日本語化されていませんし、この時点では日本語入力などもできませんから、Xサーバとして使うにはちょっと無理があります。

注:テスト環境は、CPUがCeleron 1GHz、グラフィックはチップセット(VIA PL133)内蔵のS3 ProSavageです。


コラム:X Window System実行時の「&」の入力

 前回(設定・運用編)でも紹介しましたが、Cygwin/XFree86を起動すると、キー配列が101キーボードになってしまいます。この点に関しては、現在でも同じです。この問題は、106キー配列の定義ファイルを読み込めば解決できます。後述する「日本語入出力の環境設定」でも同じ手法で106キーボード配列を実現しています。

 この時点では、「&」を入力するためには[Shift]キーを押しながら[7]キーを押してください。


X Window Systemでの日本語入力≫X Window Systemでの日本語入力

 市販のWindows対応Xサーバ(ASTEC-Xなど)の場合、WindowsのIMEで日本語を入力できますが、残念ながら現在のCygwin/XFree86では、WindowsのIMEによる日本語入力はできません(Cygwinのコンソールでは使えます)。

日本語用パッケージの入手

 しかし、Cygwin上でCannaサーバを動かせば、Cygwin/XFree86で日本語入力を行うことが可能です。これを実現するには、日本語関連の修正を施したプログラムが必要となります。Koji Nakamaru氏のWebサイト(http://www.on.ics.keio.ac.jp/~maru/cygwin-xfree-jp-supplement/?05171600)で、これらのプログラムをダウンロードできます。

 最初に、日本語入力に必要なパッケージをダウンロードします。ダウンロードするファイルは以下のとおりです。ダウンロードには、Internet ExplorerなどのWindowsのWebブラウザを使えばいいでしょう。ここでは、自分のホームディレクトリ(c:\cygwin\home\<ユーザー名>)にダウンロードします。

  • startup.tgz
  • kterm.tgz
  • canna.tgz
  • kinput2.tgz
  • libX11.tgz

 また、md5.sumをダウンロードしておけば、ファイルが正常にダウンロードされたかどうかを確認することができます。下記の例では、日本語入力に必要なファイルしかダウンロードしていないため、「ファイルが見つからない」というエラーが表示されていますが、上記の5ファイルに関しては正常にダウンロードできたことが分かります。md5sumコマンドについては、Linux TipsのFTPサイトに置かれているmd5sumとはを参照してください。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 ダウンロードできたら、startup.tgz以外のファイルを展開します。必要なサブディレクトリに展開するために、以下のコマンドを忠実に実行してください。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

日本語入出力の環境設定

 次に、各種設定を行います。startup.tgzには、Cannaをはじめとする日本語入力関係の設定ファイルや106キーボードの定義ファイルなどが入っているので、これを展開します。すると、ホームディレクトリにstartupというサブディレクトリが作成されます。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 これらのファイルをホームディレクトリにドットファイルとしてコピーします。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 続いて、フォント関連の設定を行います。ここで行うのは、WindowsにインストールされているTrueTypeフォントをCygwinで使用するための設定です。

コラム:Windows用TrueTypeフォントの使用

 WindowsのTrueTypeフォントをLinuxで使用すると、使用許諾契約に違反する場合がありますが、Windows上で動作する1プログラムであるCygwinでWindowsのTrueTypeフォントを使うのは問題ないと思われます。


 手法としては、Cygwin上にTrueType用のディレクトリを作成し、そこにstartup.tgzに入っているフォントの設定ファイル(fonts.dirとfonts.alias)をコピーします。そして、WindowsにインストールされたTrueTypeフォントファイルのリンクを作成します。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 以上で日本語入力の設定はすべて終了です。startxコマンドでX Window Systemを起動します(画面7)。

画面7 startxコマンドで起動したX Window System(画像をクリックすると拡大表示します)
画面7 startxコマンドで起動したX Window System(画像をクリックすると拡大表示します)

 日本語を入力するには、[Ctrl]+[\]キーを押します。すると、ktermのカーソルの下に[あ]という表示が現れて日本語入力モードになります。もう一度[Ctrl]+[\]キーを押すと、日本語入力モードがオフになります(画面8)。

画面8 Cannaで日本語を入力。商用のかな漢字変換プログラムに比べると変換効率は落ちるが、普通に使う分には速度も申し分ない
画面8 Cannaで日本語を入力。商用のかな漢字変換プログラムに比べると変換効率は落ちるが、普通に使う分には速度も申し分ない

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る