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Samba 3.0のインストールと国際化の現状Samba 3.0の全貌 改訂版(1)(2/3 ページ)

Samba 3.0.0のリリースから約8カ月が過ぎ、2.2.xからの移行も始まりつつある。ここであらためて、Samba 3.0系列の新機能や移行時の注意点を解説する。(編集局)

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Samba 3.0系列のインストール

 Samba 3.0系列のインストールについて、簡単に説明します。

 最近は、OSやディストリビューションのパッケージとしてSamba 3.0系列がインストールされる場合も増えてきているので、まずは確認してみてください。例えば、RHEL 3.0やFedora Coreに付属するSambaのパッケージはSamba 3.0系列になっており、後述する日本語ファイル名サポートの問題もありません。しかし、ディストリビューションによっては日本語サポートの問題のため、パッケージがあってもそのまま使用できるとは限りません。

 少なくとも、後述するunix charsetパラメータの値としてeucJP-msを指定して日本語ファイル名がEUCで書き込まれるようであれば、日本語ファイル名サポートは問題なしと考えてよいでしょう。

■非公式パッケージからのインストール

 ディストリビューション付属のパッケージが使えない環境で、手軽にSamba 3.0系列を試してみたい場合、Linuxには以下のような方法があります。

●Red Hat系ディストリビューション

 Red Hat系のLinuxディストリビューションについては、以下のURLから入手できる日本Sambaユーザ会提供の非公式なRPMパッケージを利用することが可能です。

 ここからSRPMファイルを入手し、リビルドしてRPMパッケージを作成して使用するのがよいでしょう。

 なお、パッケージは

  • glibcを入れ替えるもの
  • GNU libiconvをインストールする(もしくは置き換える)もの

の2種類あります。glibcの入れ替えはほかへの影響が大きいので、取りあえず試したい場合はGNU libiconvをインストールするパッケージがよいでしょう。

 SRPMファイルからのパッケージのリビルドは、以下のようなコマンドで行います。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 リビルドに成功すると、/usr/src/redhat/RPM/RPMS/i386以下にRPMファイルが作成されるので、これを用いてインストールを行ってください。なお、リビルド時にSambaのコンパイルが行われるので、GCCをはじめとする一般的な開発環境に加え、LDAP、Kerberosなどの開発環境がインストールされている必要があります。

●Debian

 Debian GNU/Linux 3.0などを使用している場合は、斉藤氏が提供しているパッケージを使用することができます。インターネットと通信が可能な環境であれば、/etc/apt/sources.listファイルに、

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

のような記述を追加したうえで、以下のようにしてインストールを行ってください。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

■ソースからのインストール

 上記の方法が使えない、あるいは最新版を使用したい場合などは、ソースからのインストールとなります。この場合、通常はSambaのインストールに先立ってGNU libiconvのインストールが必要です。また、LDAP認証データベースやADドメインのサポート機能を有効にする場合は、LDAPやKerberosの開発環境もインストールしておく必要があります。

●GNU libiconvのインストール

 Samba 3.0系列における日本語を含む文字コード変換は、後述するように、Samba外部のiconv()関数によって実現します。iconv()関数は、各種UNIXやLinuxディストリビューションのglibcに存在するのですが、ほとんどのiconv()関数は、

  • 機種依存文字などがサポートされていない
  • Unicodeとの文字コードの変換テーブルがWindows完全互換でない

といった問題があり、Sambaで使用するには問題があります。

 森山氏の尽力により、この点はglibc-2.3.3以降では解消されました。またglibc-2.2.5以降とGNU libiconv-1.8以降でも、同じく森山氏の作成した日本語ロケールサポートパッチを適用することで対処可能です。ただし、glibcの置き換えは影響が大きいため、基本的には日本語ロケールパッチを適用したGNU libiconvをインストールした方がよいでしょう。

 原稿執筆時点におけるGNU libiconvの最新版は1.9.2ですが、日本語ロケールパッチの最新版は、ミラクル・リナックス社のSamba 3.0国際化プロジェクトのIssues in iconvページで公開されているGNU libiconv-1.9.1用の日本語ロケールパッチlibiconv-1.9.1-cp932.patch.gzになります。

 別途libiconv-1.9.1.tar.gzを取得したうえで、以下のようにしてインストールを行ってください。Samba 3.0系列をインストールするうえでは、configureオプションの指定は不要です。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 GNU libiconvのインストールが完了したら、

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を実行して、パッチによって追加されるEUCJP-MSロケールが認識されていることを確認しておくとよいでしょう。

 また、Linuxの場合は/usr/local/libを共有ライブラリの参照パスに含めるため、/etc/ld.so.confに、

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という1行を追加して、ldconfigコマンドを実行しておいてください。

●Samba 3.0系列のインストール

 GNU libiconvをインストールしたら、いよいよSamba本体のインストールです。

 Samba 3.0系列からは、多くの機能がsmb.conf内のパラメータで設定できるようになったり、configure時に環境を自動検出して機能を有効にするようになりました。そのため、考慮が必要なconfigureオプションはそれほど多くありません。Samba固有のconfigureオプションのうち、意識した方がよいと思われるものを表1に示します。

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 先ほど作成したlibiconvを使用するため、--with-libiconvオプションは必ず指定しなければなりません。システムがPAMをサポートしている場合は、--with-pamも付けた方がよいでしょう。

 --with-adsのデフォルトは、autoとなっています。このため、LDAPやKerberosの開発環境がインストールされていれば、自動的にActive Directory対応機能が有効になります。ただし、それ以外の場合は警告なしにActive Directory対応機能が無効になってしまいます。

 明示的にこのオプションを指定しておけば、LDAPやKerberosの開発環境がインストールされていないとconfigureエラーになるので、「知らないうちにこの機能が無効になっていた」というトラブルを回避できます。

 これ以外のオプションについては、必要に応じて適宜設定してください。筆者が検証時などに用いる、主要な機能をすべてサポートさせるconfigureオプションを以下に示します。

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 特にインストール先の指定を行わない場合は、make installを行うと/usr/local/samba以下にSambaがインストールされます。configureからインストールまでの流れを以下に示します。

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