第2回 Exchange Server 2003のインストール:基礎から学ぶExchange Server 2003運用管理(1/4 ページ)
Active Directoryとの統合など事前準備は必要だが、ポイントさえ押さえれば、Exchangeのインストールはそれほど難しくない。
前回はExchange Server 2003(以下Exchange Server)の概要について説明した。今回はExchange Serverのインストールについて説明していく。インストール自体は簡単なので、理解を深めるためにも実際に検証マシンを使って試しながら読み進めてほしい。検証マシンがない場合は、Virtual PC(Virtual Server)やVMwareといった仮想PC環境でもインストールを試せるので、ぜひチャレンジしてほしい。
また、Exchange ServerやWindows Server 2003の製品版を持っていない場合は、次のサイトから評価版を入手するとよいだろう。
- Exchange Server 2003 120日間限定評価版のダウンロード(マイクロソフト)
- Windows Server 2003, Enterprise Edition 180日限定評価版の申し込みページ(マイクロソフト)
インストール前の考慮事項
まずはインストールを行う前の考慮事項として、次の5点を確認していく。
- Exchange Server 2003のエディション
- システム要件
- Windows 2000利用時の制限
- Active Directory要件
- Active Directory設計時の考慮事項
Exchange Server 2003のエディション
Exchange Server 2003には「Standard Edition」と「Enterprise Edition」の2つのエディションがある。どちらも中核となる機能は同じで、違いはエンタープライズ向けの機能が提供されるかどうかである。
Standard Edition | Enterprise Edition | |
---|---|---|
対象規模 | 小・中規模 | 大規模 |
最大データベース・サイズ | 16Gbytes | 16Tbytes(ハードウェア的な制限のみ) |
ストレージ・グループ数 | 1個 | 最大4個 |
ストレージ・グループ内へ含められるデータベース数 | 最大2個 | 最大5個 |
MSCS(Microsoft Cluster Service)によるクラスタリング | ×(未対応) | ○(対応) |
X.400コネクタ | × | ○ |
SMTPサーバ | ○ | ○ |
OWA(Outlook Web Access) | ○ | ○ |
OMA(Outlook Mobile Access) | ○ | ○ |
フロントエンド/バックエンド構成 | ○ | ○ |
ISA Serverのリバース・プロキシ | ○ | ○ |
Exchange Server 2003のエディションとその機能 |
このようにEnterprise Editionでは、大規模環境には必須といえる障害対策機能(クラスタリングと複数ストレージ・グループへの対応)が提供される。一方Standard Editionでは、そういった機能を省略し、データベースの最大サイズを16Gbytesに制限することで安価な価格設定になっている。クラスタリングやストレージ・グループ、フロントエンド/バックエンド構成、リバース・プロキシ機能の概要については、前回の記事を参照してほしい。
システム要件
Exchange Serverをインストールするに当たって、最低限必要となるハードウェアとOSは次のとおりである。検証マシンを用意する際に参考になるだろう。
Standard Edition | Enterprise Edition | |
---|---|---|
CPU | Pentium 133MHz以上(550MHz以上を推奨) | Pentium 133MHz以上(733MHz以上を推奨) |
メモリ | 256Mbytes以上(512Mbytes以上を推奨) | |
ハードディスク | 500Mbytes以上(Exchange Serverのインストール用)200Mbytes以上(システム・ドライブ上) | |
OS | Windows Server 2003 Standard Edition/Enterprise Edition/Datacenter EditionWindows 2000 Server/Advanced Server/Datacenter ServerのService Pack 3以上 | |
ファイル・システム | NTFS | |
Exchange Serverのシステム要件 |
さらに詳細なシステム要件については、マイクロソフトの以下のWebページを参照されたい。
実際の本番環境におけるハードウェア構成については、次のページが参考になる。
ここでは、ハードウェア・メーカー各社がExchange Serverの利用ユーザー数に合わせた推奨ハードウェア構成(CPU数、メモリ・サイズなど)を掲載しているので、大いに役立つだろう。
Windows 2000 Server利用時の注意点
Exchange Serverのインストール先OSとして、Windows Server 2003ではなくWindows 2000 Serverを利用する場合は、次のような機能が利用できなくなる。
- HTTPプロトコル上でOutlook 2003の使用を可能にする「RPC over HTTP」機能
- Exchange Serverのデータベース・バックアップとして利用可能な「ボリューム・シャドウ・コピー」機能
- フロントエンド/バックエンド構成時のIPSecサポート
- 8ノード・クラスタリング
従って、これらの機能を利用したい場合はWindows Server 2003を選択する必要がある。なお、これらの機能の詳細については今後解説予定である。また、そのほかの機能制限については次のページに一覧されている。
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