プログラミングの知識は不要? 話題の「Claude Code」で非エンジニアが「欲しかったあのツール」を作る:Tech TIPS
AnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」が注目を集めている。プログラマー向けの製品と思われがちだが、自然言語の指示で実際の成果物を出力する特性は、IT管理者やマーケティング担当者といった非開発者にこそ大きな価値がある。本Tech TIPSでは、コマンドライン不要で手軽に導入できるWindows 11向けのデスクトップアプリを活用し、環境構築から実際の簡易ツール作成、知っておくべき運用のコツまでを分かりやすく解説する。
対象:Claude Code+Windows 11
非エンジニアのためのClaude Code入門
AnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」が注目を集めている。プログラマー向けの製品と思われがちだが、自然言語の指示で実際の成果物を出力する特性は、IT管理者やマーケティング担当者といった非開発者にこそ大きな価値がある。本Tech TIPSでは、コマンドライン不要で手軽に導入できるWindows 11向けのデスクトップアプリを活用し、環境構築から実際の簡易ツール作成、知っておくべき運用のコツまでを分かりやすく解説する。
AnthropicのAI(人工知能)コーディングツール「Claude Code」の登場でソフトウェア開発の現場が大きく変わりつつあるというニュースを読んだ人も多いのではないだろうか。
しかし、Claude Codeはソフトウェア開発者だけでなく、実はIT管理者やマーケティング担当者にとっても非常に有用なツールとなり得る可能性を秘めている。
例えば、「コードは書けないが、ちょっとした業務ツールは自分で作りたい」「開発部門に依頼するほどでもない小さなアプリを、手元でサッと用意したい」と感じる場面は日常的に存在するはずだ。これまでは、プログラミングのハードルが高く、プログラムを書けば一瞬で終わる作業を、手作業で地道にこなしたり、開発部門の手を煩わせたりしていたことだろう。
しかし、Claude Codeを使えば、どのような業務ツールがほしいのかをプロンプトとして入力するだけでプログラムが完成する。もちろん、本格的なシステムを構築するとなればプログラミングや実行環境の知識が必要となるが、単一のスクリプトや簡単なWebページで済むようなものであれば、プログラミングの知識がなくても作成可能になっている。
そこで本Tech TIPSでは、AnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」をWindows 11向けデスクトップアプリで使うことを前提に、インストールから初回利用、簡単なアプリ作成までを解説する。
Claude Codeにはターミナル(コマンドライン)で動かす方法もあるが、普段からGUIのアプリケーションに慣れているIT管理者やマーケティング担当者にとっては、デスクトップアプリから始めるのが分かりやすいだろう。コマンドライン特有のメリットが必要になったときに、あらためてそちらへ移ればよい。両者の違いと制限は記事後半でまとめる。
なお、本記事の手順や仕様は変わることがある。最新の正式な情報はAnthropicの「公式ドキュメント」を確認してほしい。
Claude Codeとは
Claude Codeは、自分のPC上のファイルを読み、コードを書き、変更を加えてくれるAIエージェントだ。一般的なチャットAIとは異なり、「指示を出すと、実際に手を動かして作業を進めてくれる」点が特徴だ。
ソフトウェア開発者向けの製品ではあるが、「自然な言葉で指示すれば、AIが実際の成果物を作ってくれる」というメリットは非開発者にこそ享受できる。HTMLやJavaScriptを一行も書けなくても、「キャンペーン用のURL生成ツールを作って」と日本語で頼めば、動くツールが出来上がる。この手軽さこそ、非開発者にとっての価値となる。
動作環境と利用に必要なプラン
Windows 11を搭載したPCであれば、基本的な動作環境の条件は十分に満たしている。処理はAnthropic側のサーバで実行されるため、NPU(Neural Processing Unit)や高価なGPU(Graphic Processing Unit)を用意する必要はない。4GB以上のメモリとインターネット接続環境、そして生成したプログラムを保存するためのストレージの空き容量があればよい。
Anthropicが提供するClaudeアプリ(デスクトップアプリ)には、一般的なAIチャットのClaudeだけでなく、Claude Codeの実行環境も同梱されているため、Node.jsやコマンドラインツールを別途インストールする必要はない。アプリを入れるだけで使い始められる点は、非開発者にとって大きな利点である。ただしWindows 11では、「Git for Windows」が別途必要になる(詳細は後述)。
Claude Codeを使うには、有料のPro/Max/Team/Enterpriseプラン、またはConsole(API)アカウントのいずれかが必要となる。無料のClaude.aiプランでは、Claude Codeが利用できないので注意してほしい。社内で複数人に展開する場合は、TeamやEnterpriseプランが管理面で適している。
デスクトップアプリのセットアップ手順
Claude Codeを使うには、Claudeのデスクトップアプリをインストールするのが手軽だ。
まずは、Anthropicの「公式サイト」から、Windows版のインストーラーをダウンロードする。この際、ダウンロードは必ず公式サイトから行うこと。検索結果やSNSで見かける非公式の「インストールコマンド」や、公式とは別のドメインのダウンロードリンクは、マルウェアの危険があるため使ってはいけない。
ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従ってインストールを進める。完了したら、[スタート]メニューから「Claude」を起動する。アプリが起動したら、Anthropicアカウントでサインインする。これで認証は完了する。
無事にサインインできたら、画面上部中央の[Code]タブをクリックする。ここで有料プランへのアップグレードを促された場合は、有料プランへの加入が必要である。サインインを求められた場合は手続きを済ませ、アプリを再起動する。
デスクトップアプリをインストールする(1)
WebブラウザでAnthropicの「公式サイト」を開き、Windows版のインストーラーをダウンロードする。この際、ダウンロードは必ず公式サイトから使うこと。
デスクトップアプリをインストールする(2)
ダウンロードしたインストーラー「Claude Setup.exe」を実行すると、UAC(ユーザーアカウント制御)の確認後、このウィザードが起動する。[始める]ボタンをクリックして、指示に従いウィザードを進める。
デスクトップアプリをインストールする(5)
有料アカウントでない場合、この画面が表示されるので、[Claude Codeを入手する]ボタンをクリックして有料アカウントを契約する。または、一度サインアウトして有料アカウントでサインインし直す。
画面構成と基本的な使い方
これでClaude Codeが利用できる環境が整ったので、実際にプログラムを作成する手順を説明しておこう。
プロジェクトフォルダを開く
[Code]タブでは、作業対象のフォルダ(プロジェクトフォルダ)を開いて作業する。入力ボックス上部にある[フォルダを選択]ボタンをクリックし、[ドキュメント]フォルダの下やC:ドライブの直下に作業フォルダを選択する。「このワークスペースを信頼しますか?」というダイアログが表示されたら、[ワークスペースを信頼する]ボタンをクリックする。
Git for Windowsをインストールする
前述の通り、デスクトップアプリでClaude Codeを使う場合、Git for Windowsのインストールが必要となる。Git for Windowsがインストールされていない場合、プロジェクトフォルダの選択で[ワークスペースを信頼する]ボタンをクリックすると、続けて「Gitをインストールする」ダイアログが表示される。
[Gitをダウンロード]ボタンをクリックすると、Webブラウザが開き、Git for Windowsのダウンロードページが開く。ここで[Click here to download]をクリックすれば、Git for Windowsのインストーラーがダウンロードできる。
インストーラーを実行し、起動したウィザードの指示に従いGit for Windowsをインストールする。ウィザードではさまざまな設定が選択可能となっているが、基本的にデフォルトのまま進めればよい。
Git for Windowsをインストールする(1)
Git for Windowsがインストールされていないと、「Gitをインストールする」というダイアログが表示される。ここで[Gitをダウンロードする]ボタンをクリックする。
Git for Windowsをインストールする(2)
WebブラウザでGitのダウンロードページが開くので、[Click here to download]をクリックして、Git for Windowsのインストーラーをダウンロードする。
Git for Windowsをインストールする(3)
ダウンロードしたインストーラーを実行すると、インストールウィザードが起動する。[Next]ボタンをクリックして、ウィザードを進める。以降、既定のままウィザードを進めればよい。
Git for Windowsをインストールする(4)
「Completing the Git Setup Wizard」画面になったら、[Finish]ボタンをクリックする。Windows 11を再起動して、Gitの設定(パスなど)をClaude Codeに反映させる。
AIモデルを選ぶ
ウィンドウ右下隅にあるドロップダウンから、使用するAIモデル(Fable/Opus/Sonnet/Haiku)が選択可能だ。AIモデルは、いつでも同じドロップダウンで切り替えることができる。迷ったら標準のままにしておけばよい。
AIモデルを選択する
入力ボックスの右下にあるモデル名をクリックすると、使用可能なAIモデルの一覧が表示される。用途などに合わせてAIモデルを選択するとよい。どれを選択すべきか分からない場合は、既定のままにしておく。
日本語で指示する
AIモデルを選択したら、入力ボックスに日本語でやりたいことを入力する。例えば、次のように入力する。
- このフォルダにあるファイルの一覧を見せて
- 売上データのCSVを読んで、月別の合計を出して
- 変更内容を確認して承認する(「許可を確認」モード)
セッションという考え方
AIとのやりとりは「セッション」という単位で管理される。セッションごとに文脈や変更が独立して記録されるため、複数の作業を並行して進めても互いに干渉しない。話題が大きく変わるときは新しいセッションを開いて始めるとよい。
【実践】ノンプログラマー向け社内ツールの作成
ここからは、Claude Codeを使って実際にツールを作成させてみよう。
例として、マーケティング担当者にとって身近な「キャンペーン用URL(UTMパラメーター付きURL)を生成するツール」を作ってみよう。広告やメール配信で流入経路を計測するために、「utm_source」や「utm_medium」「utm_campaign」といったパラメーターを付けたURLを毎回手作業で組み立てている人は多いだろう。これを、Webブラウザで開いて使える簡単なツールにする。
なお、ここで指定する3つのパラメーターは、Googleアナリティクスなどによるアクセス解析で「どの施策から流入したか」を判別するための、広く使われる目印である。それぞれの意味は次の通りだ。
| パラメーター | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| utm_source(流入元) | どこから来たアクセスかを示す。媒体やサービスの名前を入れる | google、yahoo、mail_magazine(メールマガジン)、x(旧 Twitter) |
| utm_medium(メディア/手段) | どんな手段による流入かを示す | cpc(クリック課金広告)、email(メール)、social(SNS)、banner(バナー広告) |
| utm_campaign(キャンペーン名) | どの施策・キャンペーンかを示す。任意の名前を付けてよい | summer_sale_2026(夏のセール)、new_product_launch(新商品発売) |
| 設定するパラメーターの内容 | ||
例えば、夏のセールを告知するメールマガジンに載せるリンクなら、utm_sourceを「mail_magazine」、utm_mediumを「email」、utm_campaignを「summer_sale_2026」のように設定する。こうしておくと、解析ツール上で「夏のセールのメルマガ経由で何件流入したか」を切り分けて確認できるようになる。
ステップ1 ― 空のフォルダを用意して開く
エクスプローラーで作業用の空フォルダ(例:utm-builder)を作る。デスクトップアプリの[Code]タブで、そのフォルダを開く。
ステップ2 ― 作りたいものを日本語で伝える
入力欄に次のように入力する。
- UTMパラメーター付きのキャンペーンURLを生成するツールを作って。
- 1つのHTMLファイルだけで完結させて、ブラウザで開けばすぐ使えるようにして。
- 入力欄は、ベースとなるURL、utm_source、utm_medium、utm_campaignの4つ。
- [URLを生成]ボタンを押すと完成したURLが表示され、ワンクリックでコピーできるようにして。日本語のラベルで、見た目もシンプルで分かりやすくして。
このように、機能や見た目、使い勝手を箇条書きで具体的に伝えるのがコツである。曖昧な指示より、要件を細かく書いたほうが意図通りの成果物になりやすい。
ステップ3 ― 変更を確認して承認する
AIが要件を読み取り、「「utm-builder.html」(「index.html」になる場合もある)のようなファイルを作成しようとする。差分表示で内容を確認し、問題なければ承認する。サイドバーのファイルツリーに新しいファイルが現れるのが見えるはずだ。
Claude Codeでツールを作ってみる(3)
許可が求められるので[一度だけ許可]ボタンをクリックする。後述のモードによっては許可が求められずに実行されてしまうので、事前に権限モードを[許可の確認]に設定しておくとよい。
ステップ4 ― 動かして確認する
出来上がった「utm-builder.html」をエクスプローラーからダブルクリックしてWebブラウザで開けば、すぐに使える。ベースURLとパラメーターを入れて[URLを生成]ボタンを押すと、計測用URLが組み立てられるという具合だ。
ステップ5 ― 気に入らない点は会話で直す
ここからClaude Codeの真価が発揮される。修正したいときは、コードをいじらずに、以下のような指示を日本語ですればよい。
- 生成したURLの履歴を画面の下に残しておけるようにして
- スマホでも見やすいように、ボタンを大きくして余白を整えて
- utm_termとutm_contentの入力欄も追加して
その都度、差分が示されるので、確認して承認すればツールが更新されていく。「作る → 試す → 言葉で直す」を繰り返すだけで、自分専用のツールが作れるわけだ。
同じ要領で、問い合わせフォーム付きのランディングページ、社内向けの簡易アンケート集計ページ、定型メールの文面ジェネレーターなども作成可能だ。「やりたいこと」を言葉にできれば、たいていの小さなツールは作れると考えてよい。
もし、箇条書きで入力するための「仕様」を自分で決めるのが難しいと感じる場合は、その使用策定自体もClaudeに依頼するとよい。[Chat]タブを開き、希望するツールの概要を入力した上で、「これをClaude Codeで実現するための具体的なプロンプトを作成して」と依頼する。主力されたプロンプトをコピーして、Claude Codeに貼り付けて実行すればよい(プロンプトの内容を変更してもよい)。重要なのは、自分のほしいツールがどのような機能を持つものなのかを具体的にイメージできるかという点である。
デスクトップアプリとコマンドライン(CLI)の違い
Claude Codeには、デスクトップアプリの他に、ターミナルで動かすコマンドライン版(CLI)がある。どちらを使っても裏で動くAIモデルは同じであり、必要なアカウント(有料プラン)も共通である。違いは「操作性」と「自動化のしやすさ」にある。
デスクトップアプリは、視覚的で分かりやすいというメリットがある。ファイルツリーや変更内容の差分表示、複数ペインのレイアウトなど、何が起きているかを目で確認しながら進められる。GUIに慣れた人にとって学習コストが低い。
また、アプリをインストールして、サインインすればすぐ使えるという点も大きなメリットだ。Node.jsなどのインストールが不要なので、使い始めるまでのハードルが低い。
さらにGUIがあるため、AIが複数手順の作業を進める際、計画(プラン)を示すサイドバーや差分レビューによって、途中経過を把握しやすいのもデスクトップアプリを使うメリットとして挙げられるだろう。
一方、コマンドラインでは、ターミナル操作に慣れた人向けの、より自動化に強い使い方ができる。別のコマンドが出力するログの内容をそのままAIに渡して分析させる、といったように、既存のコマンドと組み合わせて使えるメリットがある。
定型処理をスクリプトにまとめたり、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)の一部として組み込んだりすることも可能だ。人手を介さず一括実行する用途に向く。
デスクトップアプリ側の制限
デスクトップアプリは「人手を介さない自動化」や「他のコマンドとの連携」には不向きである。バッチ処理やCI/CDへの組み込みといった用途では、CLIの方が適している。
また、プロジェクトの前提を覚えさせる説明書ファイル「CLAUDE.md(後述)」は、テキストエディタで編集すれば両方で使えるが、デスクトップアプリ上では中心的な設定項目として前面には出てこない。「CLAUDE.md」を作業の核として頻繁に書き換える運用をするなら、その点は意識しておくとよい。
まとめると、手元で対話しながら小さなツールや成果物を作るなら、分かりやすいデスクトップアプリが第一候補である。一方、定型作業を自動化したい、他のコマンドや仕組みと連携させたいという段階に来たら、コマンドラインへの移行を検討するとよい。多くの場合、まずデスクトップアプリで感触をつかみ、必要に応じてコマンドラインを併用する、という流れが現実的だ。
コマンドライン版のインストール手順
コマンドラインを使うには、デスクトップアプリとは別に、コマンドライン版を導入する必要がある。Windows 11にインストールするには、PowerShellを開き、次のコマンドを実行すればよい。
irm https://claude.ai/install.ps1 | iex
インストール後、画面に表示された指示通りに「C:\Users\<ユーザー名>\.local\bin」をPATH環境変数に加えてから、PowerShell/コマンドプロンプトを新たに開き、「claude」と入力すると、対話セッションが始まる。
なおインストールコマンドは「公式ドキュメント」に記載のものだけを使うこと。出どころの不確かなコマンドは実行してはいけない。
トークンの仕組みと消費を抑える運用のコツ
Claude Codeを使う上で知っておきたいのが「トークン」という概念である。利用枠や費用、そして快適さに直結するため、ここで整理しておく。
トークンとは、AIが文章を処理するときの最小単位である。単語そのものではなく、単語や記号を細かく区切った「かけら」とイメージするとよい。英語ではおおよそ1トークンが0.75語程度に相当する。日本語は文字当たりのトークン消費が多くなる傾向があり、同じ内容でも英語より多くのトークンを使いやすい。
AIへの入力(指示や読み込んだファイル、これまでの会話)と、AIからの出力(返答や生成したコード)の両方がトークンとして数えられる。
ここが誤解されやすい点だ。画面に打ち込んだ短い文章=消費トークン、ではない。Claude Codeは依頼に答えるために、裏側で次のものを全て「文脈」として読み込む。
- これまでの会話のやりとり
- AIが読み込んだファイルの中身
- 実行したコマンドやその結果
- AIが生成した返答
そのため、たった一言の指示でも、実際には数千〜数万トークンを消費することがある。特にファイルを何枚も読み込んだり、複数の手順を自動でこなしたりする作業では、1回のやりとりで数万トークンに達することも珍しくない。逆に、すでに文脈が読み込まれている状態での短い追加指示なら、消費は小さく済む。
会話を続けるほど文脈は積み上がっていき、消費トークンは増えていく。これが「セッションが長くなると重く・割高になる」理由である。
トークンがどう費用や利用上の上限に結び付くかは、どのアカウントで使っているかで変わる。
サブスクリプション(Pro/ Max/Team/Enterprise)の場合、トークン単位の課金ではなく、一定時間ごとの利用枠で管理される(おおむね数時間単位の枠と、週単位の枠がある)。枠に達するまでは、基本的にトークンを細かく気にする必要はない。
一方、API(Console)アカウントの場合は、使ったトークンに応じた従量課金になる。コマンドライン版で「/cost」と入力すると、そのセッションの利用状況を確認できる。
つまり、サブスクリプションで使っている多くのIT管理者やマーケティング担当者にとっては、「課金額」よりも「利用枠を使い切らないこと」と「セッションを軽快に保つこと」が重要なポイントとなる。
無駄なトークン消費を抑えると、利用枠を長持ちさせられる上、AIの動作も的確になる。すぐ実践できるコツは次の通りだ。
- 依頼は具体的にする:
「バグを直して」ではなく「このファイルのこの部分のチェックがおかしいので直して」のように対象を絞ると、AIがあちこち探し回らずに済み、消費が減る。 - 作業の区切りでセッションを切り替える:
話題が大きく変わったら、デスクトップアプリでは新しいセッションを始める(コマンドライン版なら「/clear」コマンドを実行)。不要な過去の文脈を引きずらずに済む。 - 長くなったら整理する:
コマンドライン版では「/compact」コマンドでそれまでのやりとりを要約し、文脈を圧縮できる。デスクトップアプリでは、区切りのよいところで新しいセッションに移るのが同様の効果を持つ。 - 関連する作業はまとめて行う:
同じファイル群を扱う作業は、文脈が読み込まれた1つのセッション内でまとめて頼む方が、毎回読み直すより効率がよい。 - CLAUDE.mdは簡潔に保つ:
後述の「CLAUDE.md」は毎回読み込まれるため、書きすぎると常にトークンを消費する。本当に必要なルールだけを簡潔に書く。 - 作業に合ったモデルを選ぶ:
単純な作業に最上位モデルを使う必要はない。標準の「Sonnet」は多くの作業に十分で、より軽い作業なら「Haiku」も選択肢になる。デスクトップアプリではモデルのドロップダウンで切り替えられる。
安全な利用と「CLAUDE.md」による指示の最適化
Claude Codeを安全に利用するためのポイントを延べておく。
CLAUDE.mdでプロジェクトの前提を覚えさせる
プロジェクトフォルダに「CLAUDE.md」というテキストベースの説明書ファイルを置くと、AIが毎回その内容を踏まえて動いてくれる。目的や守ってほしいルール(「コメントは日本語で」「このフォルダのファイルは触らない」など)を書いておき、チームで共有すれば、誰が使っても一貫した結果が得やすくなる。デスクトップアプリとCLIのどちらでも有効である。
「CLAUDE.md」は主に2つの置き場所があり、適用範囲が異なる。
- プロジェクト直下:
Claude Codeで開いている作業フォルダの直下に置く。本稿の例なら、「utm-builder」フォルダの中に保存する。そのプロジェクトでの作業にだけ適用される。 - 対象ユーザー全体:
ホーム(ユーザープロファイル)ディレクトリ内の「.claude」フォルダに置くと、どのプロジェクトでも共通して読み込まれる。Windows 11では「C:\Users\<ユーザー名>\.claude」フォルダになる。「説明は日本語で」「全プロジェクトで共通のルール」など、毎回適用したい個人的な好みを書くのに向く。
両方が存在する場合、Claude Codeはそれらをまとめて読み込む。まずはプロジェクト直下の1つだけで十分である。
なお、ファイル名は大文字で「CLAUDE」、拡張子は小文字で「.md」とする。「md」は「マークダウン」を表していて、メモ帳などのテキストエディタでそのまま編集できる。
何を書けばよいか迷ったら、次のような項目を押さえるとよい。
- プロジェクトの目的:
このフォルダで何を作っているのか。例)「社内マーケティング担当者向けの、UTMパラメーター付きURLを生成する単一HTMLツール」 - 使う技術・形式の指定:
例)「外部ライブラリは使わず、HTML/CSS/JavaScriptだけで完結させること」「ファイルは1枚のHTMLにまとめること」 - 表記やスタイルのルール:
例)「画面のラベル・コメントは全て日本語にすること」「日付はYYYY-MM-DD形式で統一すること」 - 触ってよい/触ってはいけない範囲:
例)「assetsフォルダ内の画像は変更・削除しないこと」「設定ファイルは確認なしに書き換えないこと」 - 守るべき制約:
例)「個人情報や社外秘の値をコードに直接書き込まないこと」「外部にデータを送信する処理は追加しないこと」 - 完了の基準:
例)「変更後はWebブラウザで開いて動作することを確認できる状態にすること」
ポイントは簡潔に保つことである。前章で触れた通り、「CLAUDE.md」は毎回読み込まれるため、書き過ぎるとトークンを無駄に消費する。プロジェクトの土台として「毎回必ず守ってほしいこと」だけに絞り、細かな一回限りの指示は、その都度入力欄で伝えればよい。
「CLAUDE.md」を設定する
プロジェクトフォルダまたは「C:\Users\<ユーザー名>\.claude」フォルダに「CLAUDE.md」としてClaude Codeに反映したい指示を書いておく。この内容はプロジェクトに反映されるため、毎回、プロンプトで指示する必要がなくなる。
CLAUDE.mdを最初から作成するのが面倒なら、デスクトップアプリで「CLAUDE.mdを作って、このプロジェクトの前提を書いておいて」と日本語で頼めば、たたき台を自動で作ってもらえる(CLIでは「/init」コマンドが同じ役割を持つ)。出来上がった内容を確認し、必要に応じて手直しすればよい。
権限モードの管理
Claude Codeでは、入力ボックスの下にあるボタンで「権限モード」が選択可能だ。ボタン名は現在選択されているモード名となっており、[編集を承認]が選択されていた場合は[編集を承認]ボタンとなる。このボタンをクリックすると、モードの選択メニューが表示される。「許可を確認」「編集を承認」「プランモード」「自動モード」「許可をバイパス」から選択可能だ(設定によっては、「自動モード」と「許可をバイパス」は表示されない)。
権限モードを選択する
入力ボックスの左下にある[許可を確認(設定されている権限モード名)]をクリックすると、権限モードの選択が可能になる。[許可を確認]を選択すると、ファイルの変更前に差分の確認と承認が求められる。
最初のうちはファイルの変更前に差分の確認と承認が求められる「許可を確認」にしておくとよい。慣れるまでは確認を多めにしておくと安心だ。作業に慣れてきたら、どこまで自動で承認するかを調整できる。ただし、「自動モード」と「許可をバイパス」を選択するのは、データが失われてしまう危険性があるので推奨しない。
Claude Codeは、本来プログラマー向けのツールだが、「自然な言葉で指示すれば実際に動く成果物が手に入る」という性質は、IT管理者やマーケティング担当者にとっても十分に価値がある。
まずは、本稿で紹介したUTM URL生成ツールのような小さなものから試してみるのがよい。1回試してみれば、AIに「何をどこまで頼めるか」の感覚がつかめるはずだ。
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