JMeterによるWebサーバ性能評価の勘所:実用 Apache 2.0運用・管理術(2)(1/3 ページ)
サーバのボトルネックを見極めるには、適切な性能評価が必要。ApacheBenchとJMeterによる、効果的な性能評価のポイントを紹介する。(編集部)
Apacheはそのままでも十分なパフォーマンスを発揮しますが、設定値や構成の見直しを行うことで、さらに高い性能を得ることができます。しかし、適切な値を設定しなければ、サーバの潜在能力や許容量をオーバーし、かえってパフォーマンス低下を招く可能性もあります。経験やノウハウの蓄積が少ない状態では、チェック&トライの繰り返しが必要です。
今回は、チェックのための道具であるベンチマークソフトの使い方とその結果の見方を紹介します。
Webサーバの性能評価とは
性能評価の基礎
性能評価の方法は、
- ホワイトボックステスト
サーバやネットワーク構成など、評価対象となるWebシステムの構造を理解したうえで、ボトルネックの当たりを付けて試験を行う - ブラックボックステスト
構造がどうあれ全体を1つのシステムとして性能評価を行う
の2つに大別できます。ブラックボックステストからホワイトボックステストへと進めるのがセオリーです。しかし、短納期などの理由で性能評価に使える時間が短かったり、十分な試験項目を準備できなかったり、要求仕様があいまいで満たすべきパフォーマンスが不明などの理由で、満足に実施されないこともしばしばです。
性能評価を行う際は、以下の要件を確定しておくべきです。
- 通常時の平均利用ユーザー数
- ピーク時の最大利用ユーザー数
- 単位時間当たりの処理リクエスト数
- 単位ユーザー当たりのリクエスト数
上記の値から、次の値が導き出されます。
- 通常時の平均リクエスト数
- ピーク時の最大リクエスト数
これらの値を定めずにベンチマークを実施しても、単なる数字に一喜一憂して自己満足を得るだけのことです。
要件を定義したら、次のパターンでテストを行います。
- 経験的に平均的なユーザー数、リクエスト数で行う性能テスト
- 最大ユーザー数、リクエスト数で行う負荷テスト
- システムの限界までユーザー数やリクエスト数を上げ続ける破壊テスト
ベンチマークの実施に当たっては、意図的に劣悪なネットワークやマシンを使う場合もありますが、一般的には高性能のクライアントとネットワーク環境を用意し、Webシステム以外の部分でボトルネックが発生しないようにします。また、運用中のシステムに対して性能評価を行う際は、実施する日時を十分検討し、サービスに支障が発生しても問題ない時間帯を選択します。
ベンチマークソフトは、無償のものから商用製品までさまざまなものがあります。ここでは、2つのオープンソース系ベンチマークソフトを取り上げます。1つは定番のApacheBench、もう1つはより高機能なJMeterです。
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