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5分で絶対に分かるSIP5分で絶対に分かる(4/5 ページ)

SIP(Session Initiation Protocol)という言葉を聞いて、IP電話やVoIPといったものを思い浮かべる読者も多いのではないでしょうか? 確かにSIPは「IP電話のプロトコルである」といえますが、クライアントとサーバ間の通信が中心のインターネット上で、「クライアント同士の直接通信を実現」するという大きな機能と可能性を持つ技術なのです。VoIP/IP電話といったアプリケーションを基に、このSIP技術をひもといてみましょう。

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SIPがいま抱える問題

 クライアント対サーバだけであったこれまでのインターネット通信のありようを変え、多くの可能性を秘めるSIPですが、弱点もあります。

 その1つが相互接続性という問題です。SIPの特徴である柔軟性・拡張性の高さ故に、あいまい性があり、多くの拡張が存在しメーカーや製品が異なると正常に機能しない場合があります。SIPを規定したIETFでは現在、草案段階のものを含めると約190もの拡張規格が存在する状況となっています。業界ではこのような状況に対応するために、海外ではSIPitや日本においてはVoIP推進協議会での相互接続試験といった活動により、SIPベンダが集まって製品の相互試験を行い、問題の解決に努めています。

 また、SIPはNATとの相性が良くないという問題もあります。SIPは、RTPのIPアドレス情報などをSDPとしてメッセージ・ボディに含めて送信しますが、NATルータはパケットのIPヘッダのみを変換するので、このSDP情報の中身までは変換されません。従って、NAT環境下でSIPを使用すると、“自分の音は相手に聞こえるが相手の声は聞こえない”や“音がまったく聞こえない”、そもそも“着信できない”など、ネットワーク構成によってさまざまな問題が発生します。

 現状ではすべてのNAT構成に100%対応できる技術は存在せず、UPnPやSTUN、TURNといった“NAT越え”の技術や、RTPの“中継装置”をインターネット上に設置するなどの対応を組み合わせて、NAT問題を回避しています。

NAT環境ではまだ課題が残る
NAT環境ではまだ課題が残る

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