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5分で絶対に分かるSIP5分で絶対に分かる(5/5 ページ)

SIP(Session Initiation Protocol)という言葉を聞いて、IP電話やVoIPといったものを思い浮かべる読者も多いのではないでしょうか? 確かにSIPは「IP電話のプロトコルである」といえますが、クライアントとサーバ間の通信が中心のインターネット上で、「クライアント同士の直接通信を実現」するという大きな機能と可能性を持つ技術なのです。VoIP/IP電話といったアプリケーションを基に、このSIP技術をひもといてみましょう。

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SIPのこれから

 SIPには、音声などのマルチメディアセッションの制御以外にも、ユーザーのオンライン・オフラインの状態情報を交換する「プレゼンス」や「インスタントメッセージ」の機能もあり、Windows Messengerといったメッセンジャーサービスでも多く利用されています。また、IPネットワークで端末間のエンドtoエンド通信を実現するSIPは、IP技術の広まりとともに、インターネット以外の分野でも活用され始めています。その大きな動きが、IMS(IP Multimedia Subsystem)とNGN(Next Generation Network)です。

SIPのこれから
SIPのこれから

 IMSは、第三世代携帯電話の規格団体である3GPPによって策定された、携帯電話コアネットワークをIP化し、マルチメディアサービスを実現するシステムです。SIPを基本として、異なる携帯事業者間でも通話できるようにする事業者間相互接続と、出張先の海外でも携帯電話を利用できるようにする事業者ローミングを実現するために、いくつかの拡張を施した規格となっています。IMSは多くの携帯事業者で導入が進んでおり、複製しやすいIPパケットの特徴を生かしてトランシーバーのように、音声を複数の端末へ同報するPoC(Push to talk Over Cellular)といった新たなサービスも開始されています。

 さらに、電話網のオールIP化として計画が進んでいるNGNは、大規模ネットワークにおける呼制御を実現するためにSIPを基本としたIMSの仕組みをそのまま採用しています。NGNは固定電話網の置き換えのほかに、IPTVやホームネットワークへの対応も検討されており、SIPは電話以外のアプリケーションでも活用が始まっているのです。

 スロースターターだったSIPですが、今後はより注目を集める技術となるでしょう。

Profile

佐藤 和紀(さとう かずのり)

株式会社ソフトフロント
取締役 研究開発担当兼BD事業部部長

通信機器メーカー、ソフトメーカーを経て、2000年ソフトフロントに入社。
SIP/VoIPミドルウェアのOEM提供、SIP製品の開発支援に携わる。
2005年に同社取締役就任。2007年から研究開発担当として開発を取り仕切る。


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