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PMの意図がチームに伝わらない理由メンバーに贈るプロマネ基礎講座(8)(1/3 ページ)

本連載は、これからプロジェクトマネージャへの転身を考えている方、現在PMBOKベースでマネジメントされているプロジェクトに参加しているメンバーの方などを対象にしています。『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド第3版(日本語版)』(以下、PMBOKガイド)の解説を行いながら、プロジェクトマネジメントの基本を解説していきます。なお、各小見出しの横には、対応するPMBOKガイドの章を記載していますので、PMBOKガイドを学習する際の参考にご利用ください。記事の最後には演習問題を用意しました。復習にご利用ください。

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はじめに

 今回は、「プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント」の知識エリアです。

 コミュニケーションというと、アクティブ・リスニングや、アサーティブな表現といったヒューマンスキルとしてのコミュニケーション・スキルをイメージしやすいと思います。これらはプロジェクトマネージャにとっても必要なスキルですが、PMBOKでは、チーム内の会議をどのような頻度で実施するか、参加メンバーは誰なのか、顧客にはどのような情報をどのような形で提供するのかなど、どのようなコミュニケーションを取るべきかをマネジメントの側面から規定しています。この知識エリアも、人的資源マネジメントと同様に、実行プロセス群や監視コントロールプロセス群のプロセスが多いのが特徴です(表1)。

立ち上げプロセス群

 なし

計画プロセス群

 コミュニケーション計画

実行プロセス群

 情報配布

監視コントロールプロセス群

 実績報告

 ステークホルダー・マネジメント

終結プロセス群

 なし


表1 プロジェクト・コミュニケーション・マネジメントのプロセス

 今回は、個々のプロセスを見ていく前に、コミュニケーションの特徴から見ていきます。

コミュニケーションとプロジェクト

 プロジェクトマネージャは円滑にプロジェクトを進めていくために、メンバーやステークホルダーとのコミュニケーションに多大な時間を費やします。それだけに、コミュニケーションの良しあしがプロジェクトの成功に大きな影響を与えます。図1は、コミュニケーションの基本モデルを模式的に表したものです。

図1コミュニケーションの基本モデル
図1 コミュニケーションの基本モデル

 まず、発信者は自分の考えやアイデアなど伝えたい事柄を伝達可能な言語(メッセージ)に変換します。これをコード化といいます。コード化されたメッセージは、電子メール、口頭、電話などさまざまなメディアを用いて、受信者に届けられます。受信者は発信者からのメッセージを再度、発信者の考えやアイデアに変換し、内容を理解します。ただし、メッセージの伝達や解読の段階で、さまざまな原因によって、受信者の理解が妨げられることがあります。これをノイズといいます。ノイズには、発信者と受信者の距離や、文化的背景の相違、受信者の気分などさまざまなものが考えられます。

 プロジェクトマネージャは、上記のようなコミュニケーションの構造を理解したうえで、メッセージを正しく伝達するために適切な手段を選択しなければなりません。

コミュニケーション・チャネルとは

 コミュニケーション・チャネルとは、コミュニケーションの経路のことです。例えば3人(Aさん、Bさん、Cさん)でコミュニケーションをする場合、「AさんとBさん」「BさんとCさん」「AさんとCさん」の3つの経路が考えられます。このコミュニケーション・チャネルはメンバーが増えると等比級数的に増えていき、より複雑になっていきます。(図2)。

図2 コミュニケーションの基本モデル
図2 コミュニケーションの基本モデル

 一般に、コミュニケーションを取るメンバーが全体でn人になった場合、コミュニケーション・チャネルの数は、

n × (n−1) / 2

で計算されます。

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