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「AIコーディングブーム」が去ったUSで、エンジニアに求められる「本体の強さ」Go AbekawaのGo Global! 牛尾剛さん AI vs.人間編(前編)(1/2 ページ)

米国MS開発の最前線では「コーディングエージェントブーム」は既に終息し、AIは日常の文房具に。AI時代に本当に求められる「人間の本体の強さ」と、思考を手放さない新たなAI活用術について、シニアソフトウェアエンジニアの牛尾剛さんに聞いた。

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 「マイクロソフト本社では、コーディングエージェントブームは数カ月前に去っていて、いまは違うことに興味がある感じですね」

 こう語るのは、米マイクロソフト Azure Functions プロダクトチームでシニアソフトウェアエンジニアを務める牛尾剛さんだ。牛尾さんは、大手SIerでITエンジニアのキャリアをスタートし、アジャイル、DevOpsのコンサルタントを経て2015年にマイクロソフトに入社。

 エバンジェリストとして活躍後、2019年より米国本社でAzure Functionsの開発に従事し、ソフトウェア開発の最前線での学びを伝えるnoteが人気を博している。2026年6月には新著『部下としてのAI』(文藝春秋刊)を上梓した。

 2年前に本連載で「自分が幸せか否かっていうのが重要やと思う」と語った牛尾さんは、AI浸透後にどのような葛藤を経て、どこに行き着いたのだろうか。今回は、これからの時代を生き抜くための「本体の強さ」と「思考を手放さないAI活用術」について聞いた。


米マイクロソフト Azure Functions プロダクトチーム シニアソフトウェアエンジニア 牛尾剛さん

USで「コーディングエージェントブーム」が去った理由

 生成AIがプログラミングコードを自動生成する「コーディングエージェント」の登場は、世界中のエンジニアに衝撃を与えた。しかし、米マイクロソフトの最前線で働く牛尾さんの周囲では、既にそのブームは過去のものになっているという。

 「使ってないという意味じゃなくて、別にそこまで興味持ってないというか当たり前になってる。定着したので。言うたらね、WordやExcelと同じように当然使うものになった感じです」

 もはやコーディングエージェントは、エンジニアにとって特別な「魔法」ではなく、日常的な「文房具」になったのだ。そして、現場で使い倒していく中で、ローカルで動かすコーディングエージェントの限界も見えてきたという。

 「コーディングエージェントってもともと、プログラマーがコードを書くのをAIが支援してくれるために誕生したじゃないですか。それで何でもやるという方向性は、十徳ナイフで何でもこなそうとしている感じに思います。だから実際に使い倒していくと、いろいろ面倒くさいことが出てくるんですよね。例えば自動化とか思いっきりしたいときに、何で僕のPCを使わなあかんねんて思いません? 勝手にやってほしいですよね。他にもさまざまな懸念があります。例えば、さまざまなシステムのアクセスに使われるユーザートークンはユーザーが使うときにリスクがないように設計されてるわけですよ。だから途中でエクスパイア(失効)するとか、ブラウザにログイン画面が上がってきてもう1回プスっと押さなあかんとかね。あれは明らかに自動化したいときの設計じゃないんですよ」


「Juke Joint Festival」でTerry “Harmonica” Beanと

 開発者を支援する目的で作られたツールは、完全な自動化には向かない。そのため、米国の開発現場の最前線ではクラウドネイティブなAIシステムによる「ヘッドレス(全自動化)」への移行が進んでいる。例えば、牛尾さんのチームが取り組むシステムのインシデント(障害)対応では、以下のような世界が既に実現している。

 「インシデントがプスっと来ると、インシデントを受けてクラウドのエージェントが勝手に動いて、いろんなクエリをアドホック(その場限り)にうまいこと投げてくれて、僕らの内部のドキュメントを呼んだりしながらバッサーっと動いて分析して、RCA(Root Cause Analysis:根本原因分析)を提供してくれるんですよね。で、ミティゲート(緩和、応急処置)って言えるコンフィデンス(確証)があれば自動でミティゲートしますし、分析の途中でここは間違ったチームにルーティングされたからこっちに渡してあげないけませんっていうのが分かったら、自動で他のチームに転送されます。で、インシデントがリゾルブ(解決)の状態になったときは別のエバリュエーションエージェント(評価用AIエージェント)が勝手に走って、これを評価しますし、問題があれば定義を改善してプルリクエストを作ります」

 AIが障害を検知し、原因を分析してコードを修正し、さらに別のAIがその対応を評価する。コーディングはAIに任せ、人間はより高度なシステムのアーキテクチャ設計や、自動化の仕組み作りに注力する時代が到来しているのだ。

参考リンク

From Coding Agents to Cloud Automation: AI-Assisted Customer Related Incidents in Azure Functions:牛尾さんのマイクロソフト テックブログ


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