「Eclipse Babel 翻訳プロジェクト日本チーム」誕生
このような経緯から、Eclipse Japan Working GroupのメンバーであるNECソフトの森素樹氏の呼びかけの下、Eclipse日本語化に関与しているPleiades、blanco Framework、そしてEclipse Japan Working Groupのメンバーは「Eclipse Babel 翻訳プロジェクト日本チーム」として活動することになりました。
Eclipse Babel翻訳プロジェクト日本チームは、Eclipseのランゲージパック開発のコミュニティプロジェクト「Babelプロジェクト」の日本語翻訳のための作業を行っています。コミュニティの主導によって作成されるEclipse 3.3以降の日本語ランゲージパックのための作業を行い、Eclipseコミュニティへ貢献しています。
Pleiades、blanco Frameworkが「Eclipse Babel 翻訳プロジェクト日本チーム」に参画することによって、以下のような効果が期待できます。
- 既存のPleiades翻訳およびPleiades翻訳ノウハウをスタート地点にできる
→初期労力の低減化 - Eclipseの翻訳にかかわる労力を集約することにより、PleiadesおよびEclipse 言語パックの日本語翻訳のスピードアップを図れる
- Eclipse Babelの初期データを早期に提供できる
「Eclipse Babel翻訳者メーリングリスト [ja]」で活動中
Eclipse Babel翻訳プロジェクト日本チームは、「Eclipse Babel翻訳者メーリングリスト」上のオンラインによる共同作業と、不定期のオフライン・ミーティングにより活動しています(Subjectに[ja]を含めることにより、ほかの言語と共存しています。)。
「Eclipse Babel 翻訳プロジェクト日本チーム」では、皆さんからのフィードバックをお待ちしております。Eclipse 言語パックがコミュニティ主導で作成されることに変わったことをプラスに考え、翻訳や不具合報告などを通じてEclipse翻訳に参画してみませんか? フィードバックは「Eclipse Babel翻訳者メーリングリスト [ja]」にお寄せください(その際には、メールのSubjectに「[ja]」を含めるようにしてください)。
翻訳や不具合報告への参加によって、皆さんがよく利用する機能の翻訳優先度を高め、また不具合を解消できるなどのメリットを得ることが期待できます。
コラム 「先人の努力に敬意」
実は日本では、Eclipse 2.1〜3.0のころにも、コミュニティベースによるEclipse日本語化言語パック作成という取り組みが行われていました。
歴史の重みを感じるとともに、先人の努力に敬意を表します。
翻訳成果のフロー
2008年7月の原稿執筆時点の「Eclipse Babel 翻訳プロジェクト日本チーム」によるEclipse日本語翻訳作業は、以下のようなフローで行っています。
これは、以下のような理由によります。
- Pleiadesを利用することによる翻訳作業の効率化
→Pleiades を起点に翻訳作業を行うと、1つの翻訳をプロパティファイル上の複数の個所の翻訳へと横展開できる(専門的な視点では、「Pleiadesは“翻訳メモリ”である」と見なしていることになります) - 既存のPleiadesコミュニティの有効活用
- 現時点のEclipse Babelのユーザーインターフェイスは大量翻訳に不向き
実際の翻訳作業は、以下の2つの形式が、翻訳作業の中心となっています。
- Pleiades辞書形式
Pleiades独自のプロパティー・ファイル形式。Pleiadesで採用しているPleiades独自のプロパティー・ファイル形式。Pleiadesで採用している - OASIS XLIFF形式
「OASIS」という標準化団体によって策定された、翻訳リソースを扱うためのXML形式、blancoNLpackGeneratorで採用している
このような翻訳フローを採用することにより、1カ所で行われた翻訳が3カ所で有効活用されることを実現しています。
現時点での注意点
2008年7月の原稿執筆時点では、残念なことに「Eclipse日本語化言語パック(サードパーティ版)」で出来上がった訳がEclipse Babelに反映されるまでに一定のタイムラグが発生しています(Pleiadesと「Eclipse日本語化言語パック(サードパーティ版)」との間にタイムラグはほとんど存在していません)。
加えて、「Eclipse日本語化言語パック(サードパーティ版)」の翻訳成果がEclipse Babelに適切に反映されない不都合が発生してしまう事例もあります。Eclipse Babelに適切に反映されないことは、Eclipse更新サイトから入手できる言語パックが不適切な状態になるということにつながります(最悪の場合、更新サイトから適用した言語パックが原因となりEclipse が適切に起動しなくなる場合すらあります)。
「Eclipse Babel翻訳プロジェクト日本チーム」では、このようなEclipse Babelにまつわる不都合・不具合を解消する取り組みも行っています。一方で、Eclipse Babelおよび更新サイトで、そのような不都合・不具合に遭遇した場合には、現時点ではPleiadesおよびEclipse 日本語化言語パック(サードパーティ版)の利用を検討することを提案します。
Eclipse日本語化のコミュニティに参加しませんか?
Eclipse日本語化事情をお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。Eclipse言語パックの提供は2008年7月現在で滞っている状態ですが、この状況をPleiadesや「Eclipse 日本語化言語パック(サードパーティ版)」、そしてEclipse Babelが解決していくものと期待しています。また、興味を持たれた方は、これらコミュニティ活動に参加してみてはいかがでしょうか。
この記事、そして「Eclipse Babel翻訳プロジェクト日本チーム」の活動が、皆さんのお役に立てれば幸いです。
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プロフィール
伊賀 敏樹(いが としき)
ハンドル:いがぴょん
1968年生まれ。現在、NTTデータ ビジネスブレインズ 第一SI事業部 ソリューショングループ所属。システム開発の技術支援などに従事する。仕事におけるJava言語とのかかわりは1998年から。現在、blanco Frameworkというオープンソースによるソースコード自動生成タイプの開発フレームワーク提供に取り組んでいる。趣味はヴァイオリン演奏。アマチュアオーケストラで演奏することもある。
ホームページ
いがぴょんの日記ウェブページv2(1996年から続けているWeb日記)
所属団体
blanco Framework(コミッタ)
主な著書
「やさしく学ぶ基礎からのJDBC」
「Javaプログラミング[アプリケーション編]ステップアップラーニング」
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