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日本人のためのEclipseプロジェクトを知ってますか?すぐに日本語で使えるEclipse 3.4大特集(後編)(2/3 ページ)

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そして、「Eclipse日本語化言語パック(サードパーティ版)」

 「Pleiadesで日本語化は実現できるが、やっぱり言語パック形式の日本語化方式が使いたいなぁ」という方もいらっしゃると思います。筆者もそのように思っていた1人でした。

 そんなある日、ふと「PleiadesではEclipseの翻訳がすでに良い感じに実現できているのだから、この翻訳をプロパティファイルに封じ込めたら、「メニュー/画面(ダイアログ)/メッセージ」の範囲の言語パックはできてしまうのでは?」と思い付きました。幸か不幸か、筆者にはEclipseの開発言語であるJavaのプログラミングスキルがあり、3時間ほどで以下のような仕様のプログラムを書き下ろしました。

1.Eclipse内のすべてのプロパティファイルを読み込む
2.読み込んだ英文字列をPleiadesで翻訳する
3.翻訳結果をプロパティファイルに書き込む
4.必要最低限のプラグイン関連XMLファイルを書き込む

 これをEclipseの「plugins」フォルダに書き戻すと、ほとんど完ぺきな「メニュー/画面(ダイアログ)/メッセージ」の日本語化が実現できていました(これにはびっくりしました)。

図4 「Eclipse日本語化言語パック(サードパーティ版)」を適用したEclipse 3.3の画面
図4 「Eclipse日本語化言語パック(サードパーティ版)」を適用したEclipse 3.3の画面

 これらの成果物は、筆者が従事している「blanco Framework」というオープンソースプロジェクトを通じて公開されています(当然のことですが、現在公開しているものは、3時間で作ったプロトタイプとはかなり異なり、大きく進化したものとなっています)。「blanco Framework」について詳しく知りたい読者は以下の記事を参照してください。

 公開されている成果物は以下の2つになります。

  1. Eclipse 日本語化言語パック(サードパーティ版)
    言語パックそのもの。2008年7月の原稿執筆時点では、Eclipse 3.3および3.4のための日本語化言語パック(マイルストーン版)を公開済み
  2. blancoNLpackGenerator
    言語パックを自動生成するためのソフトウェア

 これらのことをきっかけに、blanco Frameworkプロジェクト(そして、筆者)は英日翻訳の世界に引き込まれていくことになりました。

図5 2008年7月の原稿執筆時点のblancoNLpackGeneratorシステム構成
図5 2008年7月の原稿執筆時点のblancoNLpackGeneratorシステム構成

 このようなきっかけで作られた言語パック自動生成ツール「blancoNLpackGenerator」はEclipse本体はもちろんのこと、Eclipse本体以外の未知のプラグインについてもPleiadesの翻訳能力を使って言語パックを自動生成できます。新たに言語パックの作成が必要な方は、せひご活用ください。

Eclipse本体による「Babel」プロジェクトとは?

 それでは、再びEclipse 3.3以降の言語パックに話題を戻します。繰り返しますが、3.3以降の言語パックは、それまでとは異なり「コミュニティ主導で作成する」ように変わっていきました。

図6 インキュベーション・フェイズ
図6 インキュベーション・フェイズ

 Eclipse本体では、Eclipse Babelプロジェクトが2007年後半ごろより始動しました。Eclipse BabelはEclipseの国際化を簡易化するためのツールを開発するテクノロジー・プロジェクトです。

 2008年7月の原稿執筆時点では、まだ「インキュベーション」フェイズの位置付けとなっています。インキュベーションとは孵化(ふ化)=「卵がかえる」という意味です。そういえば、プロジェクトの右側に卵の絵が描いてあります。

 このため、Eclipse Babelツールの利用は、現時点では不都合や不具合に遭遇する可能性が少し高いものと考えられます。2008年7月現在、「メニュー/画面(ダイアログ)/メッセージ」の翻訳を支援するツールが提供および運用されています。

図7 Eclipse Babelプロジェクトの翻訳ツール画面
図7 Eclipse Babelプロジェクトの翻訳ツール画面

 そして、この画面における翻訳結果は言語パックとして更新サイトから取得できます。Eclipse Babelプロジェクトは、今後成熟して、(インキュベーションではない)一人前のプロジェクトに成長することを期待されています。

日本のEclipseユーザーのためのワーキンググループ

 「Eclipse 3.3以降の言語パックがいままでのようにはリリースされなくなり、また言語パックの作成がコミュニティに委ねられた」という状況に対応するため、日本では「Eclipse Japan Working Group」が活動をしています。

図8 Eclipse Japan Working Groupのホームページ
図8 Eclipse Japan Working Groupのホームページ

 Eclipse Japan Working Groupとは何かについてホームページより以下に転載します。

「Eclipse Foundation に加盟している日本企業が、日本でのEclipseの普及・啓蒙と、企業レベルでの導入・普及に必要な要件の議論を目的としたワーキンググループです。2005年に発足しました」

 Eclipse Japan Working Groupは、Eclipse Babelの初期データとしてセットできる日本語翻訳を探していました。そして、先行してEclipse日本語化に取り組んでいた Pleiadesとblanco Frameworkにたどり着きました。

 これらが融合することによって、どんな効果が生まれたのでしょうか? 次ページでお話しましょう。

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