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ストレージを性能から理解するストレージとは何か(3)(1/3 ページ)

ストレージを利用する者にとっての最大の関心事は、その性能だ。今回はストレージの仕組みに由来するパフォーマンスへの影響要因と、これを考慮したパフォーマンス確保のための考え方を紹介する

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 前回の「ストレージをデータ保護から理解する」では、ストレージの内部アーキテクチャ、データ保護、可用性、信頼性について解説した。今回は、ストレージの性能の考え方を解説する。

ハードディスクドライブの仕組みと性能の考え方

 まず、ストレージの性能を理解するため、多くのストレージで記録媒体として採用されているハードディスクドライブ(HDD)の仕組みと性能の考え方について解説する。HDDは磁性体を塗布したディスク(プラッタ)を回転させ、移動するアームの先端に取り付けた磁気ヘッドによりデータを記録する(または読み取る)。プラッタは同心円状のトラックに区切られ、各トラックを回転方向に分割したセクタで構成される。なお、最近のHDDはプラッタの内周から外周にかけてトラックをいくつかのゾーンに分け、セクタ数を段階的に多く配置していくZBR(Zoned Bit Recording)方式を採用している。そのため、ディスクの外周部は、内周部に比べ多くのデータを記録できることから、1回転あたりの転送効率が高い。

 一般的にHDDの性能は以下のポイントで評価される。

  • スループット 秒間のデータ転送速度(MB/s) 秒間のデータ転送速度(MB/s)
  • IOPS 秒間のI/O数 秒間のI/O数
  • 応答時間 I/O要求を受けてから応えるまでに要する時間(ms) I/O要求を受けてから応えるまでに要する時間(ms)

 ここで、データアクセスに要する平均時間と、ディスクが対応可能な秒間I/O数(IOPS)は下記の式によって算出することができる。

 応答時間 = 平均シークタイム + 平均回転待ち時間 + データ転送時間

 IOPS = 1 / 応答時間

平均シークタイム 磁気ヘッドが目的のセクタのあるトラックまで平行移動し、位置決めを完了 するまでの時間の平均値
平均回転待ち時間 回転待ち時間は位置決め完了後トラック上のセクタがヘッド位置に来るまで の時間、平均回転待ち時間はディスクが半回転する時間を表す
データ転送時間 データ量を内部データ転送速度で除した数値

 また、HDDは内部にデータを一時的に蓄えるバッファやI/O順序を制御し、効率的にデータアクセスするロジックを組み込むことで性能向上を図っている。

ストレージの仕組みと性能の考え方

 現在販売されているHDDの回転数の主流は、ファイバチャネル(FC)およびSASでは10,000rpmと15,000rpm、SATAでは5,400rpmと7,200rpmである。HDDのIOPSの向上には、ディスク回転数の高速化が効果的だが、信頼性の確保とコストのバランスの観点から、これ以上の高速化は望めない。そこで、ストレージはRAID技術やキャッシュの採用によりHDD単体に対して速度・可用性を大幅に向上し、各種I/Oの処理速度を改善している。

 一般にメーカーの発表するスペックには以下のようなものがある。

最大 xxxxxx IOPS、xxxMB/s
内部帯域  yyGbit/s
コントローラ  xxCPU yyGHz
キャッシュ容量  xxxGB

 しかし、そのままうのみにして性能を評価してよいのであろうか? 次ページ以降では、ストレージ内部のデータ処理における性能改善の工夫を中心に、システムのI/O傾向に合わせた設計指針について解説する。RAID技術の詳細については、前回の「ストレージをデータ保護から理解する」を参照してほしい。

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