ソニーは11月26日、VPNとサーバ仮想化を活用した中堅・中小企業向けホスティング/管理サービス「マネージドイントラネット」を発表した。12月下旬に提供を開始する。VPNと仮想サーバホスティングを組み合わせたサービスを提供している例は他社ですでに見られるが、同サービスでは仮想サーバホスティングは提供しない。コンセプトのまったく異なるサービスといえる。
マネージドイントラネットは同社の専用ルータを設置した顧客拠点と同社のデータセンター、そしてデータセンターで稼働する仮想サーバまでをVPNで結び、イントラネットサービスを月額料金制で提供するもの。
サービス用の仮想インフラはヴイエムウェアのサーバ仮想化技術とネットアップのストレージ仮想化技術を使って構築。基本サービスとしてはWebサーバのシェアドホスティングのほか、メールサーバ、プロキシサーバ、DNSサーバを1つの仮想サーバ上で運用するサービスを提供する。オプションサービスとしてコンテンツフィルタリング、ウィルスチェック、メールアーカイブ、リモートアクセスも提供する。今後基幹系パッケージ、PC資産管理、グループウェアなどのアプリケーションもオプション提供する計画という。これらのアプリケーションは各顧客用の仮想サーバ上で1インスタンスずつ稼働させることになる。
マネージドイントラネットは少なくとも当初の段階で、仮想サーバリソース自体を顧客に提供するサービスは提供しない。この点で仮想サーバホスティング・サービスとは異なる。また、SaaSやWebホスティングの場合はインターネット経由でアクセスするのが一般的だが、マネージドイントラネットはVPNでアクセスできるとともに、中小企業が必要とするアプリケーションの一括提供を目指している点でこれらとも異なっている。「Webベースのものだけでなく、クライアント/サーバ型のアプリケーションも提供していく」と、ソニー B2Bソリューション事業本部 bit-drive企画管理部 企画課 小笠原康貴氏は話した。
さらに大きな特徴は、データセンターの仮想サーバと顧客拠点のIT環境を一体のものとして扱い、統合的に管理できる点。1つの管理ツールで仮想サーバやルータ、ネットワークの監視、ユーザー情報の作成・変更、ユーザー認証設定やアクセスログの管理などが可能。顧客拠点内のサーバについても死活監視を行う。このサービスに複数拠点をつなげば、全拠点におけるログをデータセンター側に集約し、一括して保管できる。
同サービスは同社が新たに開発したVPNルータ「Digital Gate DG-X1000」を顧客拠点に設置して提供する。複数拠点のDG-X1000を1拠点で一括管理することができる。同ルータは回線冗長やVPN冗長に対応するほか、未登録PCのイントラネット接続を防止する機能や、トラフィックが突然異常に発生している拠点からのトラフィックを制限するとともに、管理者に通知する機能も備えている。
マネージドイントラネットは、中堅・中小の課題に応えるため、2年をかけて開発してきたサービスだという。今回のサービスのベースは、2000年に同社が提供開始した「DigitalGateネットワークサーバパック」。ネットワークサーバパックは中小企業が簡単にインターネットを活用できるように、顧客拠点に置くサーバ上でファイアウォール、VPN、DNS、DHCP、NAT、Web、FTP、電子メールなどの機能をまとめて月額料金制のサービスとして提供している。現在1000社が利用しているという。
しかし、中小企業は、アプリケーションの拡張性をどう確保するか、セキュリティ対策の複雑化に伴うコストと手間の増加、管理者が不在の拠点の管理など、インターネット接続以外にもさまざまなIT運用上の課題を抱えていることから、これらの問題に総合的に対応できるソリューションとしてマネージドイントラネットを企画したという。
マネージドイントラネットの月額料金はWebサーバ、メールサーバ、プロキシサーバ、DNSサーバ、拠点の一括管理といった基本サービスのみで3万円。拠点追加料は7000円。初期費用としては、サーバ設定が6万円から、ルータ設定は5万3000円からとなっている。
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