Android Market配布を目指しEclipseでHelloWorld!:Androidで動く携帯Javaアプリ作成入門(1)(1/3 ページ)
本連載で、SDKとEclipseを使ってAndroidの携帯端末で動くJavaアプリを作成し、Android Marketでの配布を目指しましょう。ドコモやauでも端末が発売されるAndroid。その前に自分が作ったアプリを配布できるようにしておくと大きなチャンスです!
Android Marketでアプリを配布しよう
2008年7月、日本のケータイ市場(本連載では、携帯電話/PHS/スマートフォンなどの端末をまとめて「ケータイ」と表記します)に黒船として来航し、巻き起こされたiPhone旋風は記憶に新しいと思います。これまでになかったスタイリッシュなデザインと操作性で、新しい物好きが飛び付いたわけですが、それとは別の旋風がIT業界でも起こっています。
Android版App Store「Android Market」
iPhoneは世界中で同一機種が販売されるという、これまでになかったケータイの展開方法を取っています。ケータイアプリベンダやケータイアプリ開発者にとっては、国内の単一キャリアではなく世界をターゲット・マーケットにできること、それにもかかわらず開発へのハードルが技術的にもコスト的にも低いことがとても魅力的なのです。
そして、「App Store」というオンラインの販売代理店が用意されていることも大きな魅力でしょう。App Storeの成功を見て、Windows Mobileでも同様のサービスが開始されます。そして今回の連載のテーマであるAndroidでも「Android Market」というサービスが提供されています(参考:Androidアプリ配布サイト提供へ、米グーグル)。
あなたの力でAndroidはブレイクする?
本連載では、統合開発環境Eclipseを使って、Androidで動くJavaアプリケーション(以降、本連載では「Androidアプリ」と略す)を開発する手法のイロハを習得し、Android MarketでAndroidアプリを配布することを目標とします。AndroidがiPhoneのようにブレイクするかどうかは、開発者の皆さんにかかっているといっても過言ではありません。
なお、本稿ではJava言語の文法が一通り分かっている方を読者対象にします。Java言語の文法に加え、NTT ドコモのiアプリやauのオープンアプリ、SoftBankのS!アプリ、さらにWILLCOMやイーモバイルのJavaアプリの作り方について詳しく知りたい読者は下記連載を参考にしてください。
いまさら聞けない「Android」
グーグルが主体になって開発し、無償で使用可能なオープンソースのプラットフォーム、Androidをご存じでしょうか。Androidを理解するにはまず、「OHA」を知らないといけません。
OHAとは?
OHAとは、グーグルが主体となって2007年11月に33社のベンダとともに発足した「Open Handset Alliance」の略称です。日本のキャリアではNTTドコモとKDDIが参画していて、そのNTTドコモとKDDIは「2009年度にAndroidケータイを発売する」とアナウンスしています(参考:Androidのオープン性でガラパゴスから脱出しよう)。
Androidアプリでできること
上図はOHAのトップページの抜粋です。OHAのロゴマークのケータイには、地図(Google Maps)、動画(YouTube)、メール(Gmail、SMS、MMS)、写真、音楽などの機能が搭載されているイメージですが、Androidの特徴をよく表せていると思います。もちろん、Webブラウザや電話帳なども搭載できますし、チャット(Google Talk)やデータベースなども使用できます。デバイスがサポートするなら、GPS、カメラ(ビデオ)、Bluetooth、Wi-Fi、タッチスクリーンなども使用可能です。
そして、そうした機能がJavaのAPIとして提供されていて、組み合わせて利用可能なのです。電話機能もJavaから使用できるので、タッチスクリーンと組み合わせてダイヤル式電話発信なんてジョークアプリが作れますね。
JavaであってJavaでない
AndroidはアプリをJava、それもJava MEではなくJava SEで開発できるのが開発者にとっての最大の特徴です。その一方、AndroidにはJava VMは搭載されていません。いったいどういうことでしょうか?
AndroidにはJava VMの代わりに「Dalvik」というケータイなどの制限された環境で効率的に動作するVMが用意されています。
開発者はJavaでアプリを作成し、いったんJavaコンパイラでクラスファイルにコンパイルします。この段階までは完全にJavaでの開発です。コンパイルしたクラスファイルをDalvik実行形式にリコンパイルすることでDalvik VMで動作するようになります。
なお、AndroidでDalvik実行形式を動作させるためにはパッケージングする必要があります。
実際にはJavaのコードが動作するわけではないですが、開発言語がJavaなので、Androidアプリ開発ではこれまで培ったJavaのノウハウが最大限に生かせるわけです。
Androidケータイが日本でも発売されるということで、開発モチベーションが高まったところで、次ページでは、早速Androidアプリの開発環境を準備することにしましょう。
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