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新 情報処理技術者試験、全試験科目をまとめて解説新・情報処理技術者試験はこう変わる(2)(1/4 ページ)

1969年に開始して以来、40年ぶりの大改訂を迎える情報処理技術者試験。本連載では2回にわたり、制度改定の背景、情報処理技術者試験の目指す方向、新試験制度の出題分野などについて解説する

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新・情報処理技術者試験はこう変わる バックナンバー


 秋試験の合格発表が終わり、来春の新試験制度実施に向けいよいよ慌ただしくなってきました。IPA(情報処理推進機構)のWebサイトに新しい基本情報技術者試験や応用情報技術者試験のシラバス、ITパスポート試験の紹介ページが公開されるなど、新試験関連の情報公開が急ピッチで進んでいます。

 秋試験直後の10月21日には「共通キャリア・スキルフレームワーク第一版」が公表されました。人材類型やレベル設定などは、これまで公表されてきた案と大きな違いは見られないようですが、情報処理技術者試験の出題内容にもかかわる知識体系については、3つのスキル標準(ITSS、UISS、ETSS)との整合性を図るため修正が施され、共通キャリア・スキルフレームワークのBOK (Body of Knowledge)として定義されました。これを受ける形で、情報処理試験についても「ITパスポート試験出題範囲」(レベル1)、「午前の出題範囲」(レベル2〜4)が一部変更されています(10月27日公開)。同時に、公開された「試験要綱」には、新試験の体系、対象人材像、試験実施方法、出題範囲などの正式な内容がまとめられています。詳細については、これら公開資料を参照いただくとして、今回は、新試験科目の概要をご紹介します。

試験の実施時期

 新試験の試験実施日は、年2回(4月、10月の第3日曜日)と旧試験から変更はありません。各試験区分の実施時期は、表1のとおりです。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

表1 各試験区分の試験実施時期

 ITパスポート、基本情報技術者、応用技術者、情報セキュリティスペシャリストの4区分は、春期・秋期とも実施されます。プロジェクトマネージャ試験が秋期→春期、ITサービスマネージャ(旧システム管理)が春期→秋期と実施時期が変更されていますので、当該試験を目指す方は注意してください。

試験時間、出題形式、出題数、解答数

 各試験区分の試験時間、出題形式などは表2のとおりです。試験時間は旧試験と大差ありませんが、一部試験区分で出題数などに変更があります。

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表2 各試験区分の試験時間、出題形式、出題数、解答数

 試験形式など主な変更点は、次のようなものがあります。

(1)ITパスポート試験(新規) ⇒ 基本系試験の問題数の増加

 旧試験の初級システムアドミニストレータ試験など、基本系試験(注1)の問題数は80問でしたが、新試験では四肢択一形式の100問出題(100問解答)に増加しました。出題分野が広がったこと、ITユーザー・ITベンダの垣根なく最低限必要なIT基礎知識を習得するという観点から、広く知識を問う趣旨と思われます。

(注1)レベル1〜3の試験を高度試験と対比する都合上で基本系試験と呼んでいます。IPAによる正式な呼称ではありません。

(2)応用情報技術者試験 ⇒ 午後試験の見直し

 旧試験のソフトウェア開発技術者試験(SW)は、午後I、午後II試験の2本立てでしたが、応用情報技術者試験は午後試験のみとなります。またSW午後Iが6問出題(6問解答)であったのに対し、12問出題(6問解答)と出題数が倍増しています。

(3)高度午前試験 ⇒ 午前?試験、午前II試験に分割

 レベル4の高度試験は、午前試験が午前I(30問出題)と午前II(25問出題)の2つに分けられます。旧試験の午前の問題数は55問出題でしたから、ちょうど共通知識と専門知識に分けて試験を実施する格好となりました。

●午前I試験:共通基礎知識の出題

 高度試験のすべての区分での共通試験です。出題範囲はテクノロジ、マネジメント、ストラテジの全分野。レベル3の内容となります(レベル1、2は包含)。

●午前II試験:専門分野知識の出題

 試験区分ごとの試験です。出題範囲とレベルは、各区分で出題範囲が異なります。内容は、レベル3ないし4で、午前Iが共通知識を問うのに対し、午前IIは専門知識が問われます。

(4)高度午後I試験:解答問題数の減少

 旧試験の午後I試験は、90分で4問中3問を選択解答しましたが、新試験では解答時間が同じで4問(区分によって3問)中2問の選択解答になりました。サンプル問題を見る限り1問のボリュームがそれほど多いようには見えないので、解答時間に多少の余裕が生じるかもしれません。

採点方式と合格判定について

 最大の特徴は、午前試験のIRT方式による採点がなくなり、午後II試験(論述式試験)を除くすべての試験が素点方式の採点となったことです。合格基準点はすべて満点の60%と定められています。例外としてITパスポート試験では、さらに3つの分野(テクノロジ、ストラテジ、マネジメント)すべてで分野別満点の30%の得点を得ることが合格基準となっています(表3)。

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表3 各試験区分の配点および基準点

 論述式試験については、設問要求に従った論文であるかどうかを所定の評価視点に基づいて評価するとともに、問題に示された「解答に当たっての指示」に従っているかどうかも考慮して、表4に示す評価ランクが定められます。

評価ランク 内容 合否
A 合格水準にある 合格
B 合格水準まであと一歩である 不合格
C 内容が不十分である
D 出題の要求から厳しく逸脱している
表4 午後II(論述式)試験の評価ランクと合否の関係

 午前・午後すべての試験の得点が基準点以上であれば合格となりますが、応用情報技術者試験と高度試験では、「多段階選抜方式」を採用します。これは、午前から順に採点し、基準点に達しないと以降の試験が採点されないという仕組みです。

●応用情報技術者試験

午前試験が基準点に達しない  ⇒ 午後試験を採点しない (不合格)

●高度試験試験

午前I試験が基準点に達しない ⇒ 午前II試験以降を採点しない (不合格)
午前II試験が基準点に達しない ⇒ 午後I試験以降を採点しない (不合格)
午後I試験が基準点に達しない ⇒ 午前II試験を採点しない (不合格)

午前I試験の免除

 高度試験の午前I試験には、免除制度が用意されています。その要件は、

(1)応用情報技術者試験に合格

(2)高度試験に合格

(3)高度試験の午前I試験で基準点以上の成績 (当該試験が不合格でも)

です。これらのうちどれか1つを満たせば、以後2年間は高度試験の午前I試験が受験免除されます。また旧試験での高度午前試験免除の該当者についても経過措置が用意されており、以下の試験の合格者の方は、平成21年春期、秋期の高度試験で午前I試験免除が適用されますので、覚えておいてください。

● 旧試験合格者に対する午前I試験免除の経過措置

平成20年春期 ソフトウェア開発技術者試験
平成20年秋期 ソフトウェア開発技術者試験、アプリケーションエンジニア試験、システムアナリスト試験、プロジェクトマネージャ試験
※午前I試験免除で受験する際には、新試験の願書などでその出願方法を確認してください

 以上が新試験の実施形式の概要です。次のページで、試験区分ごとに旧試験と変わった点、レベル感の差異などを簡単にまとめておきましょう。

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