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「AIは言語化が得意な人しか勝たん」ではつまんない――「答え」よりも「問い」を考えさせよう仕事が「つまんない」ままでいいの?(134)(1/2 ページ)

「言語化が得意な人だけがAIで得をする」――そう感じていませんか? 実は、AIを使いこなしている人は、AIに「答え」を求めるばかりではありません。言語化の苦手意識を払拭し、未完成な「モヤモヤ」を構造化するAIとの対話術とは。その「逆転の思考法」を明らかにします。

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 エンジニアにとって大切な能力として、要件定義や設計、顧客とのヒアリングなど、「言語化能力」の重要性がかねてうたわれていました。しかし、生成AI(人工知能)が登場してからというもの、これまで以上に言語化能力の重要性を見聞きします。「どのように指示をするか」によってアウトプットが変わるのがAIです。「結局、言語化能力がある人しかAIを使いこなせないんじゃないか」といった声もあります。

 ネットを見れば「○○を劇的に効率化するプロンプト(AIに対する指示)」「〇〇を知らないなんてAIを使いこなしていないのも同然」といった投稿も多くあります。自分の考えをうまく言葉にできないエンジニアの中には、「そんなプロンプト、考えられないしな」「このままではAIを使いこなす層に置いていかれるんじゃないか」という不安を抱いている人もいるかもしれません。

 でも、安心してください。言語化は決して、一部の人にだけ与えられた「先天的な才能」ではありません。それは、後からいくらでも身に付け、磨いていける「スキル」です。

 では、どのように言語化能力を磨いていけばいいのか? 実は、いま私たちの目の前にある生成AIこそが、言語化を助け、あなたの思考を加速させてくれる最高の「伴走者」なのです。そのポイントは、AIに「答えを考えさせる」のではなく、「問いを投げてもらう」ことにあります。

なぜAI時代は「言語化ができる人が有利」と言われるのか?

 まず、言語化が苦手な人が感じている「言語化ができる人だけがAIで得をしている」という感覚を整理してみましょう。

 現時点において、生成AIが「言語化ができる人」にとって極めてメリットが大きい道具であることは間違いない事実でしょう。

 その理由は、LLM(大規模言語モデル)のベースとなっている情報が「言語そのもの」であることにあります。LLMはその名の通り「言語モデル」であり、インターネット上の膨大な言語情報を蓄積しています。AIは、膨大に蓄積された言語情報の中から、与えられた指示(プロンプト)に見合ったアウトプットを返します。

 そのため、AIに対して「要件定義書を書いて」「設計のレビューをして」といったあいまいな指示を出すと、僕たちがあまり望んでいない「ありきたりな一般論」が返ってきてしまいます。

 精度の高いアウトプットを得るためには、的確な指示が必要。そのために言語化が大切なのです。

言語化が得意な人にとって、AIは「自分を超える」拡張装置にもなる

 また、言語化が得意な人や、自分の意見がある人にとって、AIは「自分を超える」拡張装置にもなります。

 例えば、僕は文章を書く機会がとても多いのですが、かつての文章の書き方は「イチから自分で生み出す」方法でした。この方法も悪くはありませんが、自分の頭の中にある情報でしか文章は書けない。「自分以上」のアウトプットを出すことはできませんでした。

 でも、AIを使うようになったいまは、「最近、エンジニアが抱えている課題は何?」と問い掛ければテーマ探しができます。そのテーマで話したい内容をボイスレコーダーで吹き込んだ後、文字起こしをしてもらえば、ラフな原稿があっという間に出来上がります。

 さらに、「読者にとって、もう少し分かりやすくするために、加えた方がいい論点はある?」とAIに質問すれば、「○○を加えてみては?」といったアイデアをくれます。つまり、AIを使いながら原稿を書くと「自分の思考や能力の範囲を超える」わけです。

 こうしたやり方は、要件定義や設計、プログラミングでも同様ですよね。

 このように、言語化が得意な人がAIを使えば拡張装置になり、さらに先へ進んでいける。その事実を見れば、言語化が苦手な人が「自分は置いていかれる」と焦るのも、自然な反応だと思うのです。


「丸投げ」ではなく「対話」を

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