アイティメディアは10月30日、IT業界就職ラボ登録者限定イベント「IT企業 新卒採用の裏側 『わが社はこんな学生を採用したい!』」を開催した。企業の採用担当者は、採用プロセスで学生のどんなところを見ているのか。また、どんな人材を採用したいと考えているのか。IT企業の採用担当者が語った。
自己分析から始めてはいけない
イベントは2部構成で行われた。前半では、アイティメディア 人事担当部長の浦野平也氏が「就職活動を始める前に押さえておくべきポイント」について講演した。
「例えば、皆さんが船に乗る場面を想像してください。大きさや行き先、知名度や新しさなど、それぞれ違う様子の船が港に停泊しています。さて、あなたはどのようにして乗る船を選ぶべきでしょうか」。
浦野氏はこう問い掛けた。
「就職活動を始める前に押さえておくべきステップ」は3つある。第1ステップは「思考の順番を間違えないこと」だ。「乗る船を選ぶとき、皆さんがまず考えるのは行き先だと思います。目的地に向かう船に乗るのであって、船が格好いいから乗るわけではないでしょう」。就職活動に置き換えると、船の「行き先」は会社の「理念」に相当する。つまり、自分の目的と会社の理念が一致しているかどうかを、就職活動の最初に考えなくてはならない。行き先の一致を確認しなければ、ただの思い込みで就職活動をしてしまう、と浦野氏は忠告した。
第2ステップは「『ユーザーの立場』から『ビジネスの立場』への変換」である。基本的なことであるにもかかわらず、ほとんどの学生がこの部分で失敗している、と浦野氏は経験を踏まえて語る。
「採用担当者は、学生に『消費者の感想』を求めているわけではありません。『提供する立場、ビジネスの立場』から見て、その人が何をすることができるのかを聞きたい」。「相手のニーズに対して自分がどのように行動できるか」を考えられるかどうかが、合否の鍵になるという。就職活動を成功させるために、学生は「提供する立場として自分に何ができるか」を考えるべきだ、と浦野氏はアドバイスした。
採用担当者が聞きたい唯一のポイント
第3ステップ、ここでようやく「自己分析」が登場する。ここまでのステップを踏まないで自己分析を始めてしまうと、ただの自己中心的な分析になって、ずれた自己アピールや志望動機をしてしまうという。では、自己分析は何から考え始めれば良いのだろうか。浦野氏は「当事者意識を持ってきたかどうか」を挙げた。
「活動の衝動は何か。どんなことであれば責任感を持ってできるか。これが、採用担当者が一番聞きたいほぼ唯一のポイントです」と浦野氏。「いまは、作ればものが売れた時代ではありません。不況やマーケットの変化など、海の様子は刻一刻と変化している。そんなときに必要なのは、いわれたことをやる人材ではなく、新しいものを作ろうとするマインドと危機意識を持った人材です」と、企業が求める人材について言及した。
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