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CAT秘伝、バランスド・システムの考え方真・Dr. K's SQL Serverチューニング研修(2)(3/3 ページ)

SQL Server特A級エンジニアの集まり、CAT(Customer Advisory Team)。パフォーマンスを最大限に引き出すハードウェアの組み方を、Dr.Kが伝授します(編集部)

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ストレージ:RAID1+0を効果的に使え!

 ストレージサブシステムにはSSD、SAN、iSCSI、DASなどが挙げられます。ストレージも一時期に比べ大変安価なものが増えました。私が推奨したいのは、RAID1+0の構成です。

 バランスド・システムでは、RAIDコントローラを複数用意し、HBA(ファイバーチャネル用ホスト・バス・アダプター)を複数搭載し、MPIO(マルチパス・I/O)構成にすることで、I/Oの負荷分散を行うことを推奨しています。トランザクションログ、データ領域、tempdb領域、インデックス領域はそれぞれ個別の独立した物理ディスク上のRAID領域を用意します。SSDも安価になりました。これはデータ領域のようなランダムアクセスには大変効果的ですが、tempdb領域やトランザクションログには効果が少ないでしょう。

 この部分は作り替えがしづらいところです。そのため、将来を見越した設計が重要です。分けられるところはあらかじめ分け、いま手に入れられる最高の製品を取り入れましょう。

 領域の分け方についても触れておきましょう。下記の表が、CATのリファレンスアーキテクチャの考え方の一例です。参考にしてみてください。

領域名 RAID構成 構成 必要ドライブ数
(1ドライブあたり300GB)
領域サイズ(GB)
ユーザーDBデータ領域 RAID1+0 6+6 12 1800
ユーザーDBインデックス領域 RAID1+0 3+3 6 900
小計 18 2700
ユーザーDBトランザクションログ領域 RAID1+0 3+3 6 900
システム用tempdb領域 RAID1+0 3+3 6 900
小計 12 1800
ユーザーDBトランザクションログ
アーカイブ領域
RAID6 3+2 5 900
ユーザーDB(データ・インデックス)
バックアップ領域
RAID6 5+2 7 1500
小計 12 2400
ユーザーDBレプリケーション領域 RAID6 9+2 11 2700
表1 ストレージにおけるCATのリファレンスアーキテクチャの例

バランスド・システムの実現はハードウェアの設計から

 今回はCATが提唱する「バランスド・システム」の基本的な考え方について解説しました。このようなハードウェアを設計することが、システム構築、そしてチューニングの第1歩であることがお分かりいただけたでしょうか。いま抱えているボトルネックがどこにあるのかを分析することが、チューニングの極意の1つです。そのためにはまずハードウェアの特性も知っておいてほしいと思います。

 次回以降、最新版である2008 R2の特徴を中心に、パフォーマンスチューニングをより深く語っていきたいと思います。

著者紹介

株式会社 CSK Winテクノロジ

熊澤 幸生(くまざわ ゆきお)

技術フェロー特別役員

メインフレーム環境で20年近くデータベース関連のITプロジェクトを数多く経験。また1979年から1983年まで米国に駐在し、データ主導型システム設計を実プロジェクトで学ぶ。1994年、アスキー・ネットワーク・テクノロジー(現、CSK Winテクノロジ)設立に参加し、SQL Server Ver 4.2からSQL Server 2000までシステム構築、教育にかかわってきた。

マイクロソフトMVP Data & Storage SQL Server(2007年4月から)。

2008年7月より、兼務形式で、マイクロソフト?SQL Server 技術顧問に就任中。



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