コードネーム「Helios」=ギリシャ神話の太陽神
2010年6月23日、オープンソースの統合開発環境「Eclipse」の最新バージョン3.6、コードネーム「Helios」がリリースされました。
今回のリリースでは、Windows 7の登場により本格化したWindows 64ビット版、Ubuntuを発端としたデスクトップLinuxによる開発者の増加、Java EEの最新版であるJava EE 6のリリース、分散バージョン管理システムの普及など、開発者の最新事情に対応したバージョンアップとなっています。さぁ、待望のHeliosの新機能を紹介していきましょう!!
Windows 64ビット版の全面的な採用
前バージョンであるGallileo(Eclipse 3.5)からWindows 64ビット版をサポートしていましたが、Windows 64ビット版に対応したパッケージはEclipseのベーシックな機能のみ提供する「Eclipse Classic」のみの配布に限定されていました。HeliosからすべてのパッケージでWindows 64ビット版が配布されます。
64ビット版のパッケージを動作させるには、JDKも64ビット版のものが必要となります。OSがWindows 64ビット版であっても、32ビット版のJDKを利用している場合は、32ビット版のパッケージが必要となるので、注意してください。
Eclipse IDE for C/C++ Linux Developers
Eclipse Foundationが行った開発者調査によると、デスクトップ利用者が32.7%に達し、急増しているという調査結果が得られています(参考:Eclipseの年次開発者調査、デスクトップLinuxの利用が3割超えという結果に)。
以前から、「Eclipse IDE for C/C++」としてC/C++には対応していましたが、Eclipseでは新たに、「Linux Tools Project」としてLinux上でのソフトウェア開発を支援するツールを開発しています。
Heliosでは、このLinux Tools Projectの成果を同梱したC/C++ Linux Developersパッケージが提供されるようになりました。これにより、ビルド支援ツール「GNU Autotools」、C/C++の実行ファイルの動的解析ツール「Valgrind」、システムのプロファイリングを行う「OProfile」、トレーサの「LTTng」、RPMのSPECファイルの編集(図1)などのLinux上でのソフトウェア開発に便利なツール群をサポートします。
Java EE 6/Tomcat 7/Java SE 6への対応
Heliosでは、Webアプリケーションを扱うWTP(Web Tools Platform)で、Java EEの最新版であるJava EE 6に対応しました。また、JAXB(Java Architecture for XML Binding)のサポートなど、Java SE 6への対応も強化されています。
EJB 3.1/JPA 2.0への対応
プロジェクト生成時にJPA(Java Persistence API) 2.0やEJB 3.1を選択でき、おのおののバージョンに対応した設定ファイルの編集や、ひな型コードの作成が可能になりました。以前は、JPAのランタイム設定機能としては、Eclipseに添付された「EclipseLink 1.1」しか対応していませんでしたが、ネットワークから最新のEclipseLinkをダウンロードして設定できるようになり、使い勝手が向上しています。
動的Webプロジェクトの対応
動的Webプロジェクト(Dynamic Web Project)作成時にServlet 3.0(web.xml 3.0)とJSF(JavaServer Faces) 2.0のサポートを指定できるようになりました。また、JSF 2.0からデフォルトのビューになったFaceletsのXHTMLファイルの編集もサポートされます。
次ページでは引き続き、Tomcat 7対応やGit対応など残りの新機能を紹介し、日本語化についても説明します。
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