BGPアトリビュートとは:CCNP対策講座 ROUTE編(8)(1/2 ページ)
本連載では、シスコシステムズ(以下、シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNP(Cisco Certified Network Professional)のうち、【642-902 ROUTE】を解説します。
今回はBGPアトリビュートを学習します。パスアトリビュートは最適経路を判断するための値で、IGPのメトリックに相当するものです。しかしBGPには、そのメトリックに相当するものがたくさんあります。特に重要なアトリビュートについて学習しましょう。
パスアトリビュートの分類
パスアトリビュートは、最適ルートを判断するために経路情報に付けられる値です。状況に応じて追加、変更、削除が可能です。パスアトリビュートには、経路情報に必ず付けられているものと、そうでないものがあります。パスアトリビュートはカテゴリに分けられています。各アトリビュートの詳細は、後述します。
カテゴリ | 説明 | アトリビュートの例 |
---|---|---|
well-known mandatory |
すべてのBGPルータが解釈し、アップデートに必ず付加しなくてはならない | ORIGIN AS_PATH NEXT_HOP |
well-known discretionary |
すべてのBGPルータが解釈するが、アップデートには必ず付加しなくてもよい | LOCAL_PREFERENCE |
optional transitive |
すべてのBGPルータが解釈できるとは限らないが、その場合でも他のBGPネイバーに伝搬 | COMMUNITY |
optional nontransitive |
すべてのBGPルータが解釈できるとは限らないが、その場合は他のBGPネイバーに伝搬しない。パスアトリビュートが解釈できない場合には削除される | MED |
表1 パスアトリビュートのカテゴリ |
確認問題1
- 問題
well-known mandatoryに該当するアトリビュートを、次の選択肢の中から3つ選択しなさい。
a.MED
b.AS_PATH
c.ORIGIN
d.NEXT_HOP
e.COMMUNITY
- 正解
b、c、d
- 解説
正解はb、c、dです。選択肢aのMEDはoptional nontransitiveのカテゴリに該当し、選択肢eのCOMMUNITYはoptional transitiveのカテゴリに該当します。
アトリビュートの詳細
アトリビュートの詳細について説明します。特に、AS_PATH、LOCAL_PREFERENCE、MEDを詳しく紹介します。
●ORIGIN
BGPルートの生成方法を示します。
コード | 生成元 | 意味 |
---|---|---|
0 | IGP(i) | networkコマンドで生成したルート |
1 | EGP(e) | EGPという古いプロトコルで生成したルート |
2 | IMCOMPLETE(?) | IGPsからBGPに再配送したルート |
表2 BGPルートの生成方法 |
コードが小さい方が優先されます。「再配送したBGPルートはBGPテーブル上では?」と表示されます。しかし「?」のまま他のASにアドバタイズするのはマナーが良くないと言われているため、通常はroute-mapを用いて「i」に変更するのが一般的です。従って、ORIGINコードはほとんどiと考えて問題ありません。
●NEXT_HOP
経路に対するネクストホップアドレスです。IGPsのネクストホップは宛先ネットワークへ到達するための次のルータのIPアドレスを表します。BGPはAS単位で考えているため、BGPのネクストホップはデフォルトでは、次のASのIPアドレスとなります。ネクストホップへの到達性がないと、ベストパスの選択が行われません。
●COMMUNITY
コミュニティ値を付けてルートをグループ化します。コミュニティ値を付けるASと、コミュニティ値を基に処理するASの両方が必要です。あらかじめ、どのルートに対してどのような処理をさせたいのかAS間で協議しておきます。
●weight
Cisco独自のアトリビュートです。設定されたルータ内だけで有効な値です。他のルータへのアップデートには含まれません。値が大きい方が優先されます。
●AS_PATH
経由したASのリストです。経由したAS数が少ないほどベストな経路です。ループの防止にも使用されます。ASからEBGPネイバーへ経路が送信されるとき、自ASの番号がリストの左側に付加されます。
AS200から10.0.0.0/8の経路情報が送信されます。AS100では、自分のAS番号をリストの左側に付加して送信します。AS300では、自分のAS番号をさらに左側に付加して送信します。それを受信したAS200は、ASパスリストの中に自分のAS番号が含まれているため、ループしていると判断し、このルート情報を破棄します。
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