Java資格にBronze、Silver、Goldが登場
日本オラクルが、Javaプログラマ向け資格制度の再編を進めている。
新制度では、最新のJavaテクノロジであるJava SE 7に対応。
そして、レベル分けが大きく変更した。Bronze、Silver、Goldと、ORACLE MASTER資格と同じような体系に再編。
新卒研修修了程度のスキルから、設計の意図を理解して実装できる開発者向けの資格まで、ステップアップしていけるようにした。SilverとGoldは、国際資格として扱う。
新資格の概要と、各レベルの内容について、日本オラクル オラクルユニバーシティ ビジネス推進部 シニアマネジャー 阿部憲三郎氏に話を聞いた。
難しかったOCJ-Pを、SilverとGoldに分割。合格率を上げる目的
新たな資格制度の構想は、2012年4月に同社が主催した「JavaOne Tokyo 2012」の場で発表された。同月、Oracle Certified Java Programmer(OCJ-P) Bronzeのベータ試験を開始している。
2012年7月12日には、従来資格(SJC-P、OCJ-P)の取得者を対象に新資格「Java SE 7 Gold」に移行するためのUpgrade to Java SE 7 Programmer試験を開始。今後も各種試験を続々と提供する計画だ。
これまで、Javaプログラマ向けの資格認定制度としては、旧サン・マイクロシステムズが実施していた「SJC-P」(Sun Certified Java Programmer)、米オラクルがサンを買収した後には「OCJ-P」(Oracle Certified Java Programmer)が存在していた。
従来の資格制度と、新たな資格制度の関係について、阿部氏は次のように語る。
「OCJ-Pは実は難しい試験で、合格率が高くありませんでした。新資格制度では範囲が広がり、一発で合格するのはさらに難しくなりました。そこで範囲を分け、前半がSilver、後半がGoldという2つの試験制度に分割したのです」(阿部氏)
Bronzeだけは日本の独自資格。新卒資格としてのニーズ
SilverとGoldはグローバルな資格で、日本で取得した資格は海外でも通用する。これは同社が実施するOracle Masterと同じ考え方である。一方、Bronzeは日本独自の資格だ。そのため、Bronzeを取得しても、上位資格のように海外で認められるわけではない。
なぜ日本は、Bronzeを用意したのだろうか。阿部氏は、「日本ならではの資格ニーズ」を挙げた。
「Silver試験は2〜3年の実務経験がある人が目指す試験です。実務レベルの知識がベースとなるので、新人には向きません。一方、日本ではIT初心者向けの資格の需要があります。特に新卒研修は日本独特です。そこで新卒研修を修了したレベルの資格としてBronzeを用意しました」(阿部氏)
各レベルの概要
●Bronze
Bronze資格は、Javaの初学者が理解するべき基礎項目を問う。
Javaの基本文法(変数宣言や制御文)と、オブジェクト指向プログラミングの基本を理解しているかどうかが、主な出題項目となる。新卒研修など、Javaに関する初級の研修制度の水準を定める試験という狙いがある。
●Silver
Silver資格は、Javaの基本文法と、オブジェクト指向プログラミングを理解しているかどうかが、主な出題項目である。プログラミングのために必要となる仕様を、詳細に理解しているかどうかが問われる。
Silver資格には前提となる資格はない。つまり、Bronze資格が必須となるわけではない。ただし、Silver資格の範囲はBronzeと重なっている部分があるので、予習としてBronzeを勉強する意味はあるだろう。
●Gold
Gold資格は設計から実装までの包括的なスキルを要求される。コレクションAPI、ファイルI/O、並行処理、JDBCなどJava API群を利用したプログラミングを理解しているかどうかが、主な出題項目となる。加えて、デザインパターンも範囲に含むことから、設計者の意図を理解し、総合的な実力を発揮できるかを問う試験といえる。
Gold資格の前提は、Silver資格を取得していることだ。現時点では試験制度を準備中のため、Gold資格を取得する方法は従来の資格であるSJC-PまたはOCJ-Pの資格取得者がUpgrade試験を受験することである。今後はSilver資格取得者のためのGold試験を整備していく。
「過去に取得したJava資格(SJC-PまたはOCJ-P)は今後どうなるのか、という質問は良く聞きます。すでに資格をお持ちの方のためのアップグレード試験のニーズは高いと感じています。また、Java SE 7に対応可能であることを証明したい個人や企業もあります」
今後、Java資格はどういう立ち位置になるか
同社は、受験者数などの詳細は公開していない。ただ、規模感としては「Java全資格を含めると、毎年1万人が受けるぐらい」だという。今回の改定による影響は大きそうだ。
試験の内容が段階的に整備されることにより、新人研修などにおいては「研修の目安」として資格を利用するケースが出てくるかもしれない。また、Java SE 7の普及促進につながる可能性もあるだろう。
筆者紹介
星暁雄(ほしあきお)
Tジャーナリスト。1986年から2006年まで日経BP社に勤務。1997年から2002年までオンラインメディア『日経Javaレビュー』編集長を務める。
イノベーティブなソフトウェア分野全般に関心を持つ。今はAndroidが特に興味深い分野だと感じている。
もう1つの関心事は、ITの時代のメディアのアーキテクチャ。2008年、次世代メディアの探求の1つとして、ソーシャルアノテーションサービス『コモンズ・マーカー』を公開。
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