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ロンドンは「過去最大のデジタル五輪」だったクラウド、Wi-Fi、モバイル……BTが明かす舞台裏

ロンドン五輪は「過去最大のデジタルオリンピック」だった――公式コミュニケーションサービスプロバイダーとして通信環境の整備を一手に引き受けたBTが、その舞台裏を説明した。

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 英ブリティッシュ・テレコミュニケーションズ(BT)は、今夏のロンドン五輪で、通信環境の整備を一手に引き受けた「公式コミュニケーションサービスプロバイダー」だ。固定・モバイル通信回線、音声・データサービスなどをトータルで提供。責任者を務めた同社のハワード・ディッケル氏がこのほど初来日し、10月18日、メディア向けに五輪の経験を語った。

 ロンドン五輪は、「過去最大のデジタルオリンピック」だったと語る同氏。テレビやWebでHD画質の映像配信が行われ、会場内で多数のWi-Fi機器が利用され、公式サイトに世界からアクセスが集まるなど、「デマンドやピークという点で、大きなチャレンジだった」と振り返る。会場内のトラフィックは北京五輪の4〜7倍。同社はシスコシステムズと協力し、夏の五輪として初めて、すべてのトラフィックを1つのIPネットワーク上で配信したという。

ディッケル氏
ディッケル氏。今回の来日では東京五輪招致委員会も訪れ、ロンドン五輪の経験を説明してきたという

 五輪のネットワークで重要なのはスケーラビリティだ。会場に集まる観客は合計で約1100万人、アスリートは1万5000人近く、スタッフやメディア関係者は約3万人に上るが、大会前後には人が激減するため、ピーク時と閑散期の差が大きい。同社は「サービスをできるだけクラウドに搭載する」ことで柔軟性を確保。例えば固定回線は、シスコシステムズが提供するクラウドベースのIP電話システムを活用することで、必要回線数の急増減に柔軟に対応できたという。

 Wi-Fi接続に対応したスマートフォンやタブレット、PCなど持ち込み機器が増え、会場でTwitterやFacebookなどソーシャルメディアに投稿する人も急増したロンドン五輪。Wi-Fi接続需要に応えるため同社は、「標準的なWi-Fiネットワークに比べ、4〜5倍のパフォーマンスがある」という高密度なWi-Fi環境を構築した。ネットワークの利用状況をクラウド上のツールでモニターし、状況によってアクセスポイントをオン/オフするなど、クラウドによる制御も行ったことで、安定的に通信環境を提供できたという。

 公式Webサイト「www.london2012.com」の訪問数は、パラリンピック期間を合わせて4億5000万で、北京五輪の3倍以上に上ったという。ページビューは396億(うちパラリンピックが13億)、送信したデータ量は1451Tバイト。ぼう大なトラフィックをさばくために「複数のクラウドで取り組んだ」といい、「ダウンタイムは一切発生しなかった」と胸を張る。アクセスの6割がモバイルからだったのも新しい傾向だ。

 公式サイトは世界中から攻撃ターゲットにされる傾向があり、毎日少なくとも1件以上のハッカーによる攻撃を受け、毎秒1万1000件もの不正リクエストからサーバを防御したという。会場内でも、持ち込み機器の不正接続から回線を防御。「2億1200万件の不正接続からブロックした」としている。

 BTのネットワークは、五輪の映像配信も支えた。北京大会では全体の20%程度がHD映像だったが、ロンドン五輪では100%HD化。3Dの映像配信も行われた。BTは5000時間にわたって放送局向けに競技映像ライブ配信を行い、データ量は1150Tバイトに上ったという。

 大会全体を通して大きなトラブルやシステムダウンもなく、成功裏に終えられたと話す同氏。テストラボを用意し、回線をシミュレーションするなど、「開催2年前から、何度もテストを繰り返してきた」成果が出たとみる。

 今後の五輪では、(1)クラウド利用がますます増えていく、(2)ソーシャルメディアの使用が増える、(3)セキュリティの重要性が増す、(4)映像のネット配信が増える――と同氏は指摘していた。

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