フィルタリングからファイル保護まで、デジタルアーツの戦略:パートナー総会で製品戦略や今後のロードマップなど発表
デジタルアーツは10月17日、「デジタルアーツ パートナー総会」を開催し、同社の製品戦略や今後のロードマップなどを説明。メールセキュリティ製品の次バージョンの特徴も一足早く紹介した。
デジタルアーツは10月17日、東京・汐留のコンラッド東京で「デジタルアーツ パートナー総会」を開催し、同社の製品戦略や今後のロードマップなどを説明した。また、11月21日の発売に先駆け、メールセキュリティ製品の次バージョン「m-FILTER Ver.3.5+FinalCode Express」について、主な特徴を紹介した。
パートナー総会では、まず代表取締役社長の道具登志夫氏が挨拶。「当社は、今までコンシューマ向けのWebフィルタリングソフト『i-FILTER』の販売展開に力を注いできた。その結果、高い市場シェアを確保できたものの、収益向上にはつなげることができなかった。そこで、当社の柱となる製品第2弾として、今年7月に法人・公共向けのファイル暗号化ソリューション『FinalCode』をリリース。組織面でも、法人・公共向けの案件を強化するためにエンタープライズマーケティング部を新設した」と、同社の製品戦略が新しい方向にシフトしつつあることを強調した。
また、グローバル展開も順調に進んでおり、「昨年度、シリコンバレーとロンドンに子会社を設立した。現在、英語と欧州言語への対応を準備しており、来年度中には各国で製品提供を行う予定だ。さらに今年度は、海外企業とのM&Aや共同事業を推進することを目的に、シリコンバレーに新たな子会社を設立した。すでに十数件の案件が動いている」(道具氏)という。
「昨年度の売り上げは前年比で約120%を達成したが、引き続き、今年度上期も順調に成長している。これを受け、下期については今まで以上に高い目標を掲げた。そして、この目標を達成するべく、次世代メールセキュリティの新バージョン『m-FILTER Ver.3.5+FinalCode Express』をはじめとする新製品を、10月以降に続々と投入する。さらに新製品のリリースに合わせて、法人・公共向けのプロモーションも積極的に展開していく」と、道具氏は、今年度下期でのさらなる事業拡大に向けて意欲を見せた。
クラウドサービスを見据えた機能強化に注力
続いて、取締役 研究開発部 部長の高橋則行氏が、同社の技術ビジョンについて説明した。「クラウド市場が急速に成長する中で、今後、クラウドサービスの安心・安全を担保するセキュリティツールのニーズはさらに高まると見ている。その中でも、Webフィルタリングおよびメールセキュリティの市場は着実に拡大していくと予測される。当社は、これにともない総合的なセキュリティソリューションを扱えるように製品ラインアップを強化していく。また、クラウドサービスやスマートデバイスの浸透に対応するため、サーバー技術力の伸長やWebアプリケーションへの対応といった技術強化を進めていく」と述べた。
具体的な技術強化ポイントとしては、「フィルタリング」ではアプリケーション分類/Webセキュリティ/特許、「Proxy/MTA」では統合認証/プラットフォームAPI、「レポート」では分散レポート/ダッシュボード、「アーカイブ」ではフォレンジック、「暗号化」では強制暗号化/特許/クラウド、「キャッシュ」ではストレージILM/機械学習を挙げ、それぞれの技術を今後強化していく予定だという。
こうした技術強化を踏まえたうえで、今後の機能強化方針について、第1開発部 部長の井原康博氏は、「当社では、クラウドサービスの普及を見据えた商品開発を推進するとともに、統合アプライアンスの研究開発に取り組んでいる。その中で、各製品の機能強化としては、今後、セキュリティの強化やプロキシ性能の向上を図っていく。さらに、製品ラインアップ全体でクラウド対応を進めていく」とし、2012年から2014年にかけての製品ロードマップを明らかにした。
下期の各製品のリリーススケジュールは、「i-FILTER」は次々期バージョン「E3」に向けて、2013年2月上旬に「v8.5」をリリースする予定。「D-SPA」は、10月11日に出口対策などを搭載した「v1.1」、2013年1月下旬には冗長化機能などに対応した「v2.0」と、下期に2つのバージョンアップを実施する。「m-FILTER」は、11月21日に新バージョン「v3.5」をリリースし、「FinalCode」との連携を実現する。併せて「FinalCode」も11月21日に新バージョン「v3.1」をリリースする。「i-FILTER ブラウザー」については、12月上旬にAndroid版(Galaxy、Arrows)をリリースする予定となっている。
m-FILTERにファイルセキュリティオプションを追加
今回のパートナー総会では、これら新バージョンの中から、同社が最も重視する製品として「m-FILTER Ver.3.5+FinalCode Express」にフォーカスを当て、その特徴について紹介した。
「間接的な情報漏えいが問題になっているが、それを防止するには現在のファイルパスワードロックでは限界がある。そこで、当社では今年7月に、新たなファイル暗号化ソリューション『FinalCode』をリリースした。『FinalCode』は、あらゆるファイル形式に対応したパスワードレスの暗号化ソリューションで、送信後のファイルまで管理できる究極のファイルセキュリティを実現する」というのは、エンタープライズ・マーケティング部 プロダクト・マーケティング課 課長補佐の渡邊大隆氏。
「『m-FILTER』の最新バージョンでは、この『FinalCode』の機能を有償オプション『FinalCode Express』として提供するのが大きな特徴。『m-FILTER Ver.3.5』と『FinalCode Express』が連携することで、業界初となる送信ファイルの削除機能を実現する。メールの添付ファイルをパスワードレスで暗号化し、閲覧者を限定、利用状況を把握するだけでなく、送信後に添付ファイルを削除することが可能となる」(渡邊氏)としている。
このほか、「m-FILTER Ver.3.5」の機能強化としては、メールの保存・管理機能「m-FILTER Archive」においてExchangeジャーナルに対応。また、スパムメール対策機能「m-FILTER Anti-Spam」では、スパムブロックの精度を大幅に向上した。これによって、メール運用のあらゆる切り口から、『m-FILTER』を提案できる環境が整った。最新バージョンをリリースする下期では、大幅な売上UPをめざすと渡邊氏はさらなる拡販に意欲を見せた。
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