「ITインフラソリューションプロバイダー」がこのOSに注目する理由:プロが可能性を語る
「ベンダ中立な立場で見ても、この製品のポテンシャルは注目に値する」と評価する品田氏。企業のITインフラシステムのアセスメントや運用経験の豊富な同氏がこう断言する理由は? 本稿では「ITインフラのプロ」の経験に基づく評価を見ていく
「プライベートクラウド企画サービス」のねらい
アルファテック・ソリューションズは1971年、「ミニコンピュータ」のメーカーとして設立された歴史を持つ。その後、米Data Generalの子会社としてラップトップコンピュータやワークステーションを開発・生産。1995年には日本ヒューレット・パッカードと業務提携し、Windows系システムインテグレーション事業をスタートさせ、2006年からは仮想化技術によるサーバ統合集約サービスを手掛けている。現在は三菱ケミカルホールディングスのグループ企業として、グループ内外にITコンサルティングやシステム基盤を提供している。特定の製品に依存にせず、中立を保ちながら顧客に最適なソリューションを提案するポリシーを堅持している点で顧客からの信頼が厚いのも同社の特長の1つだ。
同社では2012年から「プライベートクラウド企画」サービスの提供を始めている。顧客の既存システムや運用の実態を調査、サーバ仮想化、クラウド環境への移行に向けた各種試算や計画を策定する。複数の仮想化製品の特性を検証・評価している同社の視点から、既存システムをどのような形でクラウド環境に移行するのが効果的かをアドバイスするというものだ。
本稿では、同サービスを展開するアルファテック・ソリューションズ ソリューション事業部 第1部 ソリューショングループ マネージャ 品田剛氏に話を聞いた。
最も効果的な仮想化を共に検討するサービス
サーバ仮想化サービスでよくあるのが、既存の複数システムを仮想サーバに集約するというものだが、「これではただ単に既存システムを仮想化した、というだけですから、システムを仮想環境化に移行したところで大きな変化は望めません。企業システムの多くは複雑に入り組んでいます。それらを解きほぐし、どこに無駄があるかを検証し、場合によっては再編してより投資効果を高めていただきたい、というのがアセスメントサービスを含む『企画サービス』を展開する理由の1つです」と品田氏。
同社が提供する企画サービスの資料は実に80ページ以上に及ぶ。既存のシステムから仮想環境へ移行することで、どれくらいのコスト削減効果が見込めるかといった分析も含まれており、お客さま側でこうした試算を意思決定に活用できる。システム構築や運用のプロである同社の持つノウハウを盛り込んだ形でプロジェクトを立ち上げられるのが、このサービスの特長の1つとなっている。
System Centerの使い勝手は注目に値する
この新サービスで、今、品田氏が期待しているのが「Windows Server 2012」の各種新機能だ。ベンダ中立の立場でシステム評価をする同社でも、この新しい製品の評価は高いという。
ポイントは大幅なスケールアップが可能になったことだ。従来のWindows Serverは、仮想化プラットフォーム「Hyper-V」を用いて中規模以下のシステムを構築するケースが多かった。機能や性能の制約上、企業の一部門のサーバ仮想化には適していたが、大企業の全社的なサーバ集約には力不足な面があったためだ。しかし「Windows Server 2012ではHyper-Vの大幅な進化、パフォーマンスの向上、システム管理ツール『System Center 2012 SP1』によるプライベートクラウド機能の拡張などにより、大規模環境でも他社の仮想化ツールに引けをとらないものになりました」(品田氏)。
OS単体で運用管理の要求を満たす
単にスペックの向上だけにとどまらず、マイクロソフト製品だけで、仮想化環境化の管理業務、障害対応、バックアップといった要求のほとんどを満たせるのがWindows Server 2012の大きな強みだという。
「例えば障害復旧をしたい場合、他社製品ではオプションや別の製品を組み合わせることになりますが、Windows Server 2012なら標準で『Hyper-Vレプリカ』の機能も組み込まれています。全てのシステムを障害復旧可能な状態にしておくのは難しいにしても、顧客のコア・コンピタンス(にかかわる仮想マシン)に絞って対策する上ではHyper-Vレプリカは有効です」(品田氏)
Windows Server 2012が提供する機能で仮想化しておけば、顧客企業はライセンス・コストの低減、運用・保守サポートの一本化といったメリットを享受できる。
システムインテグレーターとしても、複数社のさまざまな製品を組み合わせる場合に比べ、構築・運用も提案しやすい。「システムインテグレーターはメーカーのサポートのもとで運用・保守サービスを展開しています。1つのシステムに多くのメーカーがかかわると、サポートの切り分けが難しくなりますが、Windows Server 2012を中心とした仮想環境を構築しておけば、万一トラブルが発生した際にも窓口が一本化できる体制は安心です」(品田氏)
個々の機能では、「ストレージ機能の改善を実感しています」(品田氏)という。特に、ストレージ間で仮想マシンを移動できる点、SMB(server message block)の強化で共有ストレージが使えるようになった点を高く評価している。
「ストレージの垣根を取り払ったことで、安価なストレージを使えるようになったことも評価できます。また、余ったストレージを仮想的に集約し、1つの仮想化ディスクとして使えるのもリソースの有効活用につながります。従来、ハードウェア側の機能としては提供されてきましたが、OSに標準でストレージの仮想化機能を組み込んだ点は顧客に大きなメリットをもたらします」(品田氏)
「安定感が増したOS」
従来は主に稼働・パフォーマンスの監視を担ってきたSystem Centerについては、新機能「Orchestrator」により、プロセスやタスクの自動化もできるようになった点を「プライベートクラウドの機能が強化されたと感じる」と評価。OSに関しては「『Windows Server 2008』の時点で成熟していた。今回も安定感は抜群」と太鼓判を押す。
顧客企業からはリリース以前から問い合わせが多く、市場が早期にWindows Server 2012を意識していたことがうかがわれるという。「これまでは新しい製品が出ると、SPやR2といった改良版がリリースされるまで様子見をする傾向がありましたが、今回は待たなくていいという感触を持たれているようです。それほど信頼性もあり、機能も充実しているということです」(品田氏)。既に実サービスへの導入を具体的に検討している企業もあるという。
一方で、サードベンダのアプリケーションの対応が遅れていることで、これまでWindows Serverが得意にしてきた中規模以下のシステムへの早期導入に支障が出ることを懸念する。
「Windows Server 2012は当初、2012年末ごろのリリースと予想されていました。業界の予想よりも評価版から量産版の期間が短かったため、比較的規模が小さなシステムに組み合わせやすい、サードベンダのアプリケーションの対応が間に合っていません」(品田氏)
とはいえ、今後はサードベンダの対応が続々と予定されている。そうなれば、「小・中規模システム向けにもWindows Server 2012は「最も積極的に進めたい製品の1つになる」(品田氏)としている。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2012年11月21日