検索
連載

Redshiftがもたらすデータ分析環境の新時代/私的2012年の業界まとめDatabase Watch(2013年1月版)(3/3 ページ)

2012年末に発表されたAmazon Redshift。ついにデータウェアハウスも格安のWebサービスの1つとして選択できるようになった。今月はRedshiftをウォッチ!

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

ビッグデータで飛躍した2012年、今年はどうなる?

2012年は前半からリリースラッシュ

 新年を迎えたのでざっと2012年を振り返ってみましょう。商用データベースでは4月に、前から予告していたMicrosoft SQL Server 2012が提供開始となり、追ってIBM DB2 V10も提供開始となりました。さらに、同じ4月には3年ぶりの東京開催となるOracle Open World Tokyoもあり、かなりにぎやかだったと記憶しています。

 SQL ServerもDB2も、またほかの製品でもビッグデータを意識して必要な機能を盛り込んだものが目立ちました。これまでは手を付けることのなかった雑多で膨大なデータから、なんらかの兆候を発見することが現実的になってきました。例えば都内のICカード乗車券の購買履歴から自動販売機の品そろえに反映したり、アメリカでは治安維持にツイッターのデータなどが使われるなど。今後さらにビッグデータ分析が日常的になればどんなことが見えてきて、どのような形でビジネスや生活に変化がもたらされるでしょうか。

発表済み製品の出荷は目前か?

 9月にはオラクルが年次イベントで次期データベース製品「Oracle Database 12c」を発表しました。2013年中には正式リリースとなる見込みです。特徴は「コンテナ」という管理上の概念とそのコンテナの上に乗る「プラガブル・データベース」という考え方にあります。マルチテナントで複数のデータベースを統合的に管理しつつ、柔軟性も併せ持つような仕組みになっています。オラクルにとってOracle Databaseは原点であり、根幹であり、主力製品です。またExadataなどのエンジニアドシステムや、2013年のサービス開始を予定しているOracle Cloudでも使われています。12cが出ればオラクルの中心的な製品やビジネスが一気に12cへとバージョンアップすることになります。どんなインパクトがあるか、いまから楽しみですね。

次期SQL Server「Hekaton」の情報開示はあるか?

 Microsoft SQL Serverについては、もう次の話題が出てきています。11月の専門家向けカンファレンスでマイクロソフトは次期版の情報を少しだけ発表しています。開発コード名は「Hekaton」。SQL Serverにインメモリデータベース機能が組み込まれることになるようです。リリースの周期を考えると提供開始はもう少し先になりそうですが、恐らく2013年中により詳細な情報が出てくることでしょう。

DBパフォーマンスへの見方は変わるか?

 商用データベースのパフォーマンスでよく耳にしするようになったのがインメモリデータベースやSSDです。根底には「HDDのI/Oは遅い」という問題があります。2012年8月版に掲載したDB2のユーザーコミュニティによるイベント「ClubDB2」ではこれを端的に表現した名言がありました。

ディスクに触ったら負けかなと思っている

 近年ではSSDの価格が下がったこともあり、SSDの利用でパフォーマンス向上させるのは身近なソリューションとなってきました(これまでのチューニングはなんだったのかと思えるほどです)。

 ハードウェアと統合した新製品も目立ちました。ハードウェアとソフトウェアが一体化した製品といえば、OracleのExadataやExalogicなどのエンジニアド・システムズが有名です。オラクルは10月末からExadataの4代目となるX3シリーズを国内提供開始としました。ほかにも2012年は10月にIBMがPureData System、マイクロソフトは12月に日本HPや日本ユニシスほか6社と協業してSQL Serverを搭載した専用機をそれぞれ新たに出しました。今後は各製品の違いや各社の狙いなども探っていきたいです。

OSS、NoSQL界隈は?

 一方、オープンソースのほうは9月にPostgreSQL 9.2がリリースされ、MySQLは現時点ではRCなのでもうすぐGA(正式版)となりそうです。MySQLはオラクルとの統合後、先にオラクル子会社となっていたInnoDBとも連携が取りやすくなり、開発のスピードが増したそうです。新しく出る5.6はパフォーマンス面などで飛躍的に改善されているのだとか。正式版が楽しみですね。

 ところで一時盛り上がった「NoSQL」。2012年はかつてに比べたら静かだったような気がします。どうしたのでしょうか。いまNoSQLは新鮮味はなくなったかもしれませんが、着実に定着したという印象です。NoSQLというとオープンソースのイメージが強いですが、今やAWSのAmazon DynamoDBやOracle NoSQL Databaseなど、商用サービスや製品として提供されており、しっかり商用のエリアに根ざすようになりました。なおオラクルは2012年12月にOracle NoSQL Database 2.0のリリースを発表しています。

 2013年もいろいろと業界を探っていく予定ですので、どうぞよろしくお願いします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る