技術を深めるには開発が一番? Apache CloudStack開発のいまを知ろう:CloudStackによるプライベートクラウド構築術(9)(1/2 ページ)
今回はオープンソース版「Apache CloudStack」の開発動向や情報源を紹介していきます。自身で開発にコミットできるOSS版を理解して、より技術的知識を深めよう。
2011年8月から続いているこの連載ですが、CloudStackの開発スピードは非常に早く、この1年半で多くのアップデートがありました。今回はCloudStackの最新情報、環境構築方法などを紹介していきます。
ASF版CloudStackと商用版の違いとは?
CloudStackは2012年4月にApache Software Foundation(以降ASF)に寄贈され、ライセンスもGPL v3から、Apache License 2.0に変更されました。
その後、ASFプロジェクトとして最初のリリースApache CloudStack 4.0.0が、2012年11月6日にリリースされ、さらに2013年2月12日に4.0.1がリリースされました。現在、同バージョンが最新版となっています(関連記事1、関連記事2)。
現在Apache CloudStackは、ASFのインキュベーションプロジェクトとして扱われています。新規にASFに参加したプロジェクトは必ずこのインキュベーション段階を経て、ASFでの開発手法やコミュニケーション、意思決定プロセスなどを学びます。ASFでの「作法」が十分適用された後に、ASFの正式な開発プロジェクトとして承認される流れです。
一方、シトリックス・システムズ(以下、シトリックス)は、Apache CloudStackをベースに開発した商用ディストリビューション「Citrix CloudPlatform powered by Apache CloudStack」を発表しました。最新版は2012年12月27日にリリースされた3.0.6です。
Apache CloudStack | Citrix CloudPlatform | |
---|---|---|
プロジェクト運営 | Apache Software Foundation Apache CloudStack プロジェクトチーム | シトリックスシステムズ(シトリックス) |
ライセンス | Apache License 2.0 | 商用ディストリビューション |
最新バージョン(2013年2月現在) | 4.0.1 | 3.0.6 |
次期バージョン | 4.0.2(マイナーバージョンアップ) 4.1.0(メジャーバージョンアップ) |
Campo(メジャーバージョンアップ) |
ユーザー会 | 日本CloudStackユーザー会 | 日本CloudStackユーザー会 |
ダウンロード | http://incubator.apache.org/ cloudstack/downloads.html |
http://www.citrix.com/products/ cloudplatform/try.html |
公式ツイッター | @CloudStack | |
http://www.facebook.com/CloudStack http://www.facebook.com/cloudstackjapan |
http://www.facebook.com/CitrixCloudPlatform | |
機能 | 基本機能は同じですが、サードパーティー製品(Nicira NVP、Ceph RBD、Caringo CAStorなど)との連携が比較的早く対応される傾向にあります | 基本機能は同じですが、シトリックスの他製品との連携でメリットがあります(例:XenServer有償エディションのライセンスが同梱、NetScalerとの組み合わせでオートスケールが利用可など) |
サポート | 自社、その他Apache CloudStackのサポートサービスを提供するSIer | シトリックスおよびその販売代理店。その他、シトリックスはコンサルティングサービスも提供しています |
その他 | エコシステム参加ベンダが自社製品連携機能を最初に実装するケースが多いため、多くの機能が実装されますが、まだドキュメントが整備されていなかったり、安定してなかったりする場合がります | シトリックスの品質保証により安定したコードを採用しています。管理者ガイド、インストールガイドなどのドキュメンテーションも整備されています |
Apache CloudStackの開発コミュニティの体制を知る
ASFのプロジェクトコミュニティではさまざま役割があります。ここではその役割について説明していきます。
詳細はCloudStack Project Incubation Statusを参照ください。
8人のメンター
2013年2月現在、メンターは8人で構成されています。インキュベーション段階にあるプロジェクトに、ASFでの「作法」を教えるために、メンターといわれるトレーナーがアサインされます。
11人のPodling Project Management Committee(PPMC)
PMCは、ASFのプロジェクトの方向性を決める1人以上のメンバーで構成された委員会です。このうち、Podling PMCは、インキュベーション段階にあるプロジェクトのPMCを指します。2013年2月現在、Apache CloudStackのPPMCは11人で構成されています。
29人のコミッタ
コミッタとは、実際にソースコードをリポジトリに書き込む(コミットする)権限を持つ人です。
コントリビュータは、ドキュメントやソースコードの修正をコミッタにレビューしてもらい、その修正をコミッタがリポジトリに反映します。2013年2月現在、コミッタは29人で構成されています。
専門知識を生かせるメンテナ
ハイパーバイザとのコミュニケーションプラグイン、ネットワーク機器用のプラグイン、ビルド環境について、専門知識を持つ人のことを指します。メンテナは、自分が担当しているコンポーネントに、コントリビュータがコントリビューションなどを行う際に、その変更が妥当か確認したりします。
詳細は、メンテナガイドを参照ください。
コミュニティメンバとしてプロジェクトに貢献するコントリビュータ
開発者だけでなく、ドキュメントの作成や修正をする人、各国語に英語のドキュメントを翻訳する人、利用し問題を報告する人を含め、Apache CloudStackプロジェクトに、何らかの形で貢献する人のことを指します。
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