検索
連載

技術を深めるには開発が一番? Apache CloudStack開発のいまを知ろうCloudStackによるプライベートクラウド構築術(9)(2/2 ページ)

今回はオープンソース版「Apache CloudStack」の開発動向や情報源を紹介していきます。自身で開発にコミットできるOSS版を理解して、より技術的知識を深めよう。

PC用表示
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

メンバーのコミュニケーション

 開発プロジェクトのメンバーのコミュニケーションツールは多岐にわたります。他のオープンソース系開発プロジェクトと同様、メーリングリストやWikiなどを活用して意見交換や議論を行っています。英語コミュニティの他に日本のユーザー会が運営するものもあります。

 Apache CloudStackでは下記の3つのメーリングリストがあります。Apache CloudStackのメーリングリストの詳細ガイドラインについては、下記サイトを参照ください。

 情報を得たり議論に参加するには、下記4つのメーリングリストに必要に応じて参加しておくとよいでしょう。

開発者用ML:cloudstack-dev@incubator.apache.org

登録方法:cloudstack-dev-subscribe@incubator.apache.orgに空メールを送った後、返信されてくるメールに返信

 開発者用MLは最もメールトラフィックの多いMLです。場合によっては1日100〜200通以上のメールがやりとりされます。ここでは、開発そのものに関わるもの以外にもさまざまな種類のメールが流れるため、自然発生的にSubjectには[タグ]が付けられることがあります。代表的なものを挙げておきます。

主なタグ 内容
[DISCUSS] 何か議論したい場合に使用されます
[PROPOSAL] 新しい機能などを提案したい時に使われます
[VOTE] 投票を行う際に使われます。例えば新しいバージョンをリリースする際に品質がリリースレベルに達し、リリース可能かどうかを決める時に使われます
[DOCS] ドキュメンテーション関連の内容をやりとりする際に使われます
[ASFCS41]/[ASFCS40] 特定のバージョンに関する内容のやりとりをする際に使われます
[EVENT] イベントの紹介を行うときに使われます
[jira] このタグは他のタグと違い特別です。Apache CloudStackでは、JIRAベースのチケット管理システムを採用しています。Apache CloudStackプロジェクトに関するチケットのステータスがアップデートされた場合、[jira]タグが付き、cloudstack-dev@incubator.apache.orgにメールが送信されます。[jira]タグ付きのメール量はかなり多いので、別途フィルタしておくことをお勧めします。

ユーザー用ML:cloudstack-users@incubator.apache.org

登録方法: cloudstack-users-subscribe@incubator.apache.orgに空メールを送った後、返信されてくるメールに返信

 このMLは主にユーザーが使い方などを聞いたりする際に使われます。


コミット通知用ML:cloudstack-commits@incubator.apache.org

登録方法:cloudstack-commits-subscribe@incubator.apache.orgに空メールを送った後、返信されてくるメールに返信

 コミッタがソースコードをコミットした際に、このMLにコミットした内容が通知されます。

日本CloudStackユーザー会用ML:users@cloudstack.jp

登録方法:users-join@cloudstack.jp に空メールを送った後に返信されてくるメールに返信

 日本語によるCloudStackに関するメーリングリストです。質問から、ユーザー会の運営、イベントなど、さまざまな内容についてやりとりされます。日本CloudStackユーザー会に参加するには、こちらのメーリングリストに参加してください。

IRC(チャット)

 この他、Apache CloudStack開発コミュニティではIRCでのミーティングが毎週水曜日17:00ごろ(UTC、日本時間の毎週木曜日深夜2時ごろに相当)から開催されます。開始時間はよく変更されますのでご注意ください。常にIRCにログインしている人が多いので、開始時間が変更しても分かるようになっているようです。IRCはミーティングだけでなく、ライブコミュニケーションにも使用されます。

 過去のミーティングのログはこちらから参照可能です。日本時間では深夜になりますので、参加が難しいという方は、ぜひミーティングのサマリーを参照してみてください。

  • cloudstack-meeting-DD-month-yyyy-log.html:IRCでの会話のログ
  • cloudstack-meeting-DD-month-yyyy-minutes.html:IRCでの会話のログを整形したミーティングのサマリ

 IRCに参加するには、Web経由で参加するか、IRCクライアント(XChat、mIRC、LeafChat、LimeChatなど)経由で参加するかになります。

  • サイト名:webchat.freenode.net
  • チャネル名:#cloudstack

Weekly News

 最近になって、Weekly Newsを配信しているようです。よくまとまっていますので、少なくともWeekly Newsは参照するといいでしょう。過去のWeekly Newsは下記ULから参照できます。

Webサイト

 本家英語サイトの他、日本の有志によるWebサイトもあります。また、Wikiも日英サイトが用意されていますのでチェックしておくとよいでしょう。

英語(総本山)

 Apache CloudStackに関する全てのリソースがこのWebに登録されています。まずは、このWebサイトをブックマークしておく必要があります。実際情報は、後述するWikiでアップデートされることが多いです。

日本語

 日本CloudStackユーザー会のWebサイトです。全ての日本語リソースがこのWebに登録されています。こちらのWebサイトもブックマークしておくとよいでしょう。

Wikiサイト

英語(総本山)

 頻繁に変更されない静的な情報は、先に紹介したWebサイトで管理されますが、日々更新される動的な情報はWikiで管理されます。WikiはASFで管理しています。このWikiはConfluenceで作成されており、非常に書きやすいので、積極的にアップデートしましょう。Wikiでの情報発信もコントリビューションの1つです。

日本語

 日本語版Wikiも、上記英語版Wiki内に置かれています。日本語版のWikiはできたばかりで、情報量的はまだ少ない状況です。Wikiでの情報発信もコントリビューションの1つですから、皆さんの積極的な更新を期待してます。英語の情報の翻訳するといった作業から始めるとよいでしょう。

Apache CloudStackの開発状況は?

 Apache CloudStackの開発の父、Sheng Liangは、元サン・マイクロシステムズでJVMのリードデベロッパを務めていた人物です。こうした経緯もあってか、Apache CloudStackは主にJava、Pythonといった言語で開発が進められています。また、Apache CloudStackが提供するWebインターフェイスではJavaScriptが使われています。

 これらの開発言語について、腕に覚えのある方は積極的にコントリビューションしていきましょう。

 まずは、Apache CloudStackを使うことから初め、検証時に見つけた不具合などを、JIRAベースのチケット管理システムに報告することから始めるといいかもしれません。

 慣れてきたら、報告した問題の原因を突き止め、JIRAにコメントしたり、さらに余裕があればソースコードにコメントを入れたりしながらデバッグしていくと、Apache CloudStackのソースコードやビルドに慣れてくると思います。

 問題の原因が分かればパッチを作成し、レビュー依頼を出してみるとよいでしょう。

 自分が作成したパッチがリポジトリにコミットされるのは嬉しいものです。良質のパッチをたくさん送ったり、メーリングリストでのQAをたくさん行うと、PMCからコミッタに推薦されるチャンスもあります。ぜひ、日本人初のコミッタを目指していただければと思います。

筆者紹介

執筆者

クリエーションライン株式会社

本連載執筆は、以下の方々の共同執筆となっております。

共同執筆者

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社 マーケティング本部 北瀬公彦

クリエーションライン株式会社 シニアエンジニア 輿水万友美

一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) 荒井康宏


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る