ついにJavaがRaspberry Piとフラットデザインでタブレット市場に参入!?〜JavaOne 2013まとめレポート(中編)(5/5 ページ)
Java開発者の年次カンファレンス、JavaOne 2013のテクニカルキーノートを中心に、Java 8で導入されるLambdaの革新性、HTML5/JavaScriptサポート、Raspberry Piベースのタブレット「DukePad」などについてお伝えする。
JavaScriptで盛り上がるJavaOne?
AngularJSをはじめとするJavaSctiptのMVCフレームワーク、CoffeeScriptやTypeScriptといった上位言語(altJS)の登場、そしてNode.jsの隆盛などJavaScriptは、ここ数年話題が尽きない。しかしJavaScriptの人気に伴いJavaが失速しているということはなく、今年のJavaOneでは、むしろ共に盛り上がっていることをうかがわせた。
理由としては、フロントエンドJavaScriptがサーバと対話するのに良く使われるWebSocketやJSONがJava EE 7でサポートされたこと、そしてJVMで動作するハイパフォーマンスなJavaScript実行環境であるNashornがJava 8で同梱されることが挙げられる。
普及期に入ったJavaFX
JavaFXは、すでに2012年のJavaOneでも導入事例の紹介があったが、今年はJavaのGUIツールキットとしてデファクトスタンダードの位置を確保していた。
とはいえ「Swingは使ったことはあるがJavaFXはまだこれから」という開発者も多い。SwingにJavaFXを埋め込めるJFXPanel(Java 7より利用可)、JavaFXアプリケーションにSwingコンポーネントを埋め込めるSwingNode(Java 8より利用可)の解説などを織り込んだ、SwingからJavaFXへのマイグレーションに関するセッションなどは人気があった。
また年内にリリースを予定しているというScene Builderは、すでに成熟していて、完成度をより高め、カスタムコンポーネントの埋め込みの簡易化や、IDE内へのScene Builderの埋め込み用APIの提供などが予定されているという。
Scene Builderという独立ツールを提供することでGUIのデザイン方法を標準化させることに成功したJavaFXだが、IDEへの埋め込みが可能になることで一層開発効率が向上するのは間違いない。オラクルのNetBeansだけではなく、EclipseやIntelliJ IDEAなどの人気IDEもScene Builderの埋め込みには積極的だという。
テクニカルセッションで活躍する日本人スピーカー
本場のJavaOneは「外国」で開催されるカンファレンスだが、今年は日本人の活躍も目立った。楽天の橋山牧人氏による大規模なGlassFishの適用事例紹介やAcroquest Technologyの谷本心氏、勝本秀之氏によるトラブルシューティングにまつわるセッション、そして日本オラクルのJavaエバンジェリストである寺田佳夫氏によるJava EE 7の非同期処理/スケジューリング処理のセッションなど、どれも好評を博していた。
レポートの後編では、コミュニティキーノートなどの模様をお届けする予定だ。
著者プロフィール
山本裕介
Twitter APIのJava向けライブラリ「Twitter4J」やトラブルシューティングツール「侍」などを開発するオープンソースソフトウェアデベロッパ。
株式会社サムライズム代表。
Twitterアカウント:@yusuke
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- オラクル、JavaプラットフォームのARM最適化を推進
ARMサーバ向けのJavaプラットフォーム最適化を強化する動きが進む。Javaベースのエンタープライズアプリケーションの最適化を推進する。組み込み機器向けのJavaプラットフォームも同様に強化する。 - WebSocketが一番速いアプリケーションサーバはどれだ?
双方向通信を実現するHTML5関連技術WebSocketを実装した3つのアプリケーションサーバの実装の違い・性能などを徹底検証する - APIへの著作権適用に反対する意見書、科学者が連名で提出
米OracleがJava APIに関する著作権をGoogleに侵害されたと訴えている裁判の控訴審で、32人の科学者が連名で5月30日、一審判決を支持してAPIに対する著作権適用の主張を退けるよう求める意見書を米連邦高裁に提出した。 - 日本オラクル、Java SE 7の最新ドキュメントを日本語版で公開
日本オラクルは5月14日、「Java Platform, Standard Edition 7(Java SE 7)」の最新情報を記載したドキュメント類の日本語版を公開した。 - Java SE 8、Java EE 7、JavaFX、Java Embeddedはどうなる?〜Java Day Tokyo 2013まとめレポート
OpenJDKで使えるJava 8の新機能、3Dの表現力が段違いで採用企業が増加しているJavaFX、センサデータを企業で活用するJava Embedded、HTML5、WebSockets、JSON、バッチ処理機能を備え、6月13日にリリース予定のJava EE 7、世界に広がるJava Communityなどの最新情報をお届け。 - WebSocket、組み込み、並列処理で進化するJava、そして最強のIDEはどれだ?〜Java Day Tokyo 2013まとめレポート
Java EEにおけるWebSocket、並列処理の過去・現在・未来、Raspberry Piとの連携、Eclipse、NetBeans、IntelliJ IDEAの中から最強のIDEを決める座談会、ミニ四駆の発表もあったLT大会などの模様をお届け - Red Hat、OpenJDK 6プロジェクト主導を表明
OracleがJDK 6のサポート打ち切りを表明したことを受け、米Red Hatは3月7日、OpenJDK 6プロジェクトを主導する役割を担うことになったと発表した。 - HTML5やWebSockets対応が進むJavaの今後〜JavaOne 2012基調講演まとめレポート
HTML5やWebSockets対応が進むJava EE 7、シェアを伸ばすJava 7、そしてJava 8とOpenJDK、JavaFXの最新情報をお伝えする - JavaOne 2012まとめレポート:JavaによるマルチOSスマホアプリ開発「Codename One」登場、Javaの父GoslingがTシャツを投げた!
AMDによるヘテロジニアスコンピューティング、Java EE 7でのWebSocket、JSON、NoSQL対応の最新情報や、HadoopのClouderaやTwitterも参加したコミュニティによるパネルディスカッション、Javaの父James Gosling氏のサプライズ登壇の模様などをお届けする - JavaOne Tokyo 2012まとめレポート(前編):7年ぶりのJavaOne Tokyoで見たJavaの未来
iOSやHTML5、クラウドに接近しつつ、自身も進化を続けるJava。前進する鍵は開発者やコミュニティにある - JavaOne Tokyo 2012まとめレポート(後編):ラムダ式、JAR脱獄、JavaScript/Node.jsへの接近
JDK 8の新機能のうち、Lambda、Jigsaw、Nashornについて解説した講演を詳細にレポートする。そしてJava SE 9はどうなる? - JavaOne 2011まとめレポート:JavaはクラウドやHTML5、iOS/Androidも取り込む?
Java SE 8/9、マルチクラウドに進むJava EE 7、JavaFXと融合しAndroid/iOS対応を目指すJava ME、HTML5を取り込むProject Avatarなど - JJUG Cross Community Conference 2011 Spring レポート:オラクル買収後のJava 7と8、JavaFXはどうなるのか
Java SE/EEの今後やJRockitとHotSpotの統合など最新情報をお伝えする。そして今後のJavaOneは?