富士通とマイクロソフトの「ワールドワイドでも特殊」な関係:ユーザーニーズに則して最大限に「クラウドOS」を活用(1/2 ページ)
富士通がCloud Initiativeを強化。Hyper-Vの利点、マイクロソフトの統一アーキテクチャの利点を生かした、ハイブリッドクラウド環境運用のためのサービス・プロダクトを発表した。
2013年11月20日、富士通はFUJITSU Cloud Initiativeビジョン強化を発表した。具体的には、以前から提供してきた、マイクロソフトプラットフォームユーザー向けのクラウドサービスの利便性を高める内容になっている。全体像は下記画像で示す通り、多岐にわたるため、以下個別に紹介する。
具体的には、以下の項目。
(1)パブリッククラウド領域:同社サービスの1つである「A5 for Windows Azure」のサービスを一新して強化
富士通が所有するデータセンターで提供してきたパブリッククラウドサービスである「FUJITSU Cloud PaaS A5」を、マイクロソフトが新設予定の国内データセンターに統合、サービス強化を行う。従来、Windows Azure(以下、Azure)同等の機能を提供してきたA5だが、国内データセンターを指定した上で、Azureそのものの機能アップデートなどを、タイムラグなく利用できる。加えて、富士通が持つデータセンターとAzureのデータセンターを専用線で接続、富士通データセンターのプライベートクラウド環境とパブリッククラウド環境との連携を強化する。プライベートクラウドに置く必要がある基幹システムなどとAzure環境の連携などでの利用が考えられる。
(2)ホステッドプライベートクラウド領域:FUJITSU Cloud IaaS Private Hosted A5+ for Windows Server(A5+ for Windows Server)
A5+ for Windows Serverにおいて、Windows Server 2012 R2に対応し、A5/Azure間の連携を強化、併せてVMインスタンス単位からサーバ全体までのシステムリソースを月額定額で提供する(2014年2月〜)。Hyper-V環境のシステムバックアップでA5環境を利用しやすくなる。
(3)プライベートクラウド領域:Cloud Ready Blocksのアップデート
Cloud Ready Blocks製品で、Windows Server 2012 R2に対応、Hyper-Vを活用してA5 for Windows AzureやA5とのVM単位での互換性を強化する。
(4)運用管理領域:マルチクラウド/ハイブリッド環境の統合管理サービスである「マルチクラウド統合監視サービス」の提供
マルチクラウド統合監視サービスの監視対象は、OSやネットワーク、ミドルウェアやアプリケーションを含め、150種以上。サービスデスクツールでは、企業情報システム管理で要求されるインシデント管理、サービスレベル管理や稼働状況管理、問題・変更管理、構成管理などの機能を提供する。ユーザー側管理者が自社のIT環境を一括管理できるだけでなく、富士通側のサービスマネジャーも稼働状況を分析し、都度の最適化提案を進める。
(5)業務アプリケーション類の社内実践を基にしたエンタープライズコミュニケーションサービスの提供を開始
具体的にはExchange ServerやSharePoint Server、Lyncといったマイクロソフトが提供するオフィス向けアプリケーション製品をグループ全体で採用、運用上の課題などを精査して、独自の付加機能を提供する。ワークフローを含め、企業で必要とされる機能を盛り込んだサービスだ。独自の付加機能には、アカウント連携ツールやOutlookの独自拡張検索機能、スマートデバイス管理などへの対応が挙げられる。
(6)多様なVMが混在するマルチクラウド/ハイブリッド環境を前提とした一元管理ソフトウェアの強化
富士通では従来、統合運用管理ツールとして「SystemWarker」「ServerView」を持ち、マイクロソフトは「System Center」を持つが、新たにServerView側で他社クラウド環境を含めた統合管理が可能になるよう、製品強化を図る。こちらは2014年上半期の提供開始を予定している。
具体的には、Cloud Ready Blocks、A5 for Windows Azure、A5+ for Windows Azureの間でのHyper-Vイメージの互換性を高め、その他、クラウドサービスを加えた、ハイブリッド/マルチクラウド環境を統合管理できるようにするという。
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