背景から読み解く、あなたがハンティングされた理由:ヘッドハンター丸山の「いつか、あなたに逢いにいく」(2)(1/2 ページ)
「お時間のあるときにランチでもいかがですか」―― ヘッドハンターから声が掛かるのは、どういうときなのだろうか。ヘッドハンター歴20年のトップハンターが、ハンティングパターンとその背景を詳しく解説する
ヘッドハンターが声を掛ける3つのパターン
ヘッドハンターはどうやって人材を探し、アプローチしスカウトしているのか。この仕事をしているとよく聞かれる質問です。私たちが声を掛けるパターンは、大きく3つに分類できます。
1つ目のパターンは「評判」です。例えば、最近急成長しているベンチャー企業があるとしましょう。経営陣は企画マンの社長とマーケティングが専門の副社長、そしてシステムを担当する専務の3人が中心。専務はITエンジニアとして非常に優れた力の持ち主で、会社の急成長に貢献しています。
ITエンジニアに限らず、こういう力のある人は「○○社の××さんはすごい!」と、いろいろなところで名前が聞かれるようになります。そうした情報をキャッチすると、ヘッドハンターは「一度お会いしませんか」と動き始めます。
今すぐ転職うんぬんという話ではなく、長い目で見てぜひお会いしたいと思っています。お時間のあるときにランチでもいかがですか
ある分野で名前が売れてきた人に対しヘッドハンターは会いに行き、今すぐ案件がなくても人間関係の構築に取り掛かるわけです。現在はとても便利になってFacebookやLinkedInでパパッと名前を検索し、簡単に連絡を取れます。そしてヘッドハンターの人材リストに名前が載った後、案件とその人の意志とタイミングが合致するときが来たら、ハンティングが成立することになります。
ハンティングにはトンデモ案件も存在する
2つ目のパターンは「ご指名」です。クライアント企業から「丸山さん、○○社の××さんに声を掛けてください」と特定の人物を指定して依頼されるケースです。一見、楽に思えるかもしれませんが、私は「ご指名」の依頼は半分以上お断りしています。
その理由は、クライアント企業に詳しい話を聞いてみると「その条件で候補者が動くわけがない」という依頼が多いからです。例えば業界5位の会社が「業界トップ企業の○○さんが欲しい」と言いながら、「お給料はどのくらい出せるんですか」と確認すると、「社内規定に従います」と答えるようなケースです。これでは誰も動きません。
ご指名によるスカウトは、業界順位が下の企業が上の企業から人を引っ張ろうとするケースが多く、その逆はあまりありません。そうしたケースで私が依頼をお引き受けする条件は、いま課長の人なら部長へ、部長なら執行役員へというように、まずポジションを上げること。加えて最低10%以上は給料を上げてもらうことです。
しかし、そうした条件を出せないのに良い人材をスカウトしたがる企業は意外と多く、そうした依頼でも引き受けるヘッドハンターもいます。従って、ヘッドハンターから連絡があったからといって単純に喜んではいけません。これについては次回で詳しく説明しましょう。
3つ目のパターンは「サーチ活動」です。これは「こんな要件の人をスカウトしてほしい」とクライアント企業から依頼され、ヘッドハンターが候補者を探し始めるところからスタートするパターンです。
われわれはさまざまな方法を使って候補者をリストアップし、20〜30人のロングリストを作って、一気にアポイントを取って会っていきます。そして「転職の意思あり」「転職の意思なし」を確認するとともに、要件に合致するかジャッジして5人程度に絞り込みます。
その上でクライアント企業と相談し、最終的に誰と会う、会わないを決めて、ようやくクライアント企業と面談していただく、という流れです。
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