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OpenSSLの「Heartbleed」脆弱性は2年前から存在、「最悪のケースを想定して対処を」と専門家チェック方法まとめ

オープンソースのSSL/TLS実装「OpenSSL」に見つかった情報漏えいにつながる脆弱性の影響が拡大。専門家は「最悪のケース、つまり秘密鍵の漏えいを想定して対処すべき」と述べている。

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 オープンソースのSSL/TLS実装「OpenSSL」に見つかった情報漏えいにつながる脆弱性の影響が拡大している。OSやクラウドサービス、ネットワーク機器の中には、脆弱性のあるOpenSSLを利用しているものが多数あり、ベンダー各社が確認・対応を進めている。国内でもこの脆弱性の影響を受けるサイトが確認されており、中には一時的にサービスを停止し、対処を優先したサービスもある。

 この脆弱性は、OpenSSL バージョン1.0.1/1.0.2系に存在する。Heartbeat拡張の実装に見つかった致命的なバグであることから、「Heartbleed」バグと称されている。

 細工を施したパケットによって脆弱性を悪用されると、SSLで通信している相手側から、メモリ上のデータをリモートから読み取られてしまう。つまり、暗号化通信に利用している秘密鍵やユーザーの情報など、サーバーのプロセス内の情報が全て読み取られてしまう可能性がある。もし盗みられた情報を悪用されれば、暗号化されているはずの通信(時にはクレジットカード情報などが含まれている)を復号されたり、セッション情報を悪用されてなりすましに使われる恐れもある。

 ソフトバンク・テクノロジーの辻伸弘氏によると、「既に実証コードがリリースされているため攻撃を行うハードルはとても低い」。そのため、「悪意の有無までは分からないものの、数多くのサイトをチェックして周り、その結果をインターネットに公開している人物もいる」(同氏)という。

脆弱性の有無の確認方法

 OpenSSLは、SSL/TLSによる暗号化通信を行うために、多くのWebサーバーで使われている他、VPN通信のためにさまざまなOSやソフトウェア、ネットワーク機器に利用されている。システム管理者としては、自分の管理するネットワークのどこで脆弱なOpenSSLが利用されているか即座に把握するのが難しいことも、問題の対応を困難なものにしている。

 US-CERTやJVNには、影響が及ぶOSや機器に関する情報が集約されている。また、Amazon Web Services(AWS)はじめ幾つかのクラウドサービス事業者は、この脆弱性に関する情報を公開し、問題の有無や対応状況を明らかにしている(詳細は記事末尾)。

 辻氏によると、自社が公開しているWebサーバーでOpenSSLを利用している場合は、以下のようなサービスやツールによってチェックが可能ということだ。

SSL Labs Server Test

 米クォリスが提供している、SSLに関する総合的なチェックが行えるWebサービスで、HeartBleed脆弱性の有無だけでなく包括的なチェックができる。ただ「1つ注意事項がある。テストした結果がデフォルトで掲載されるため、脆弱だった場合はそのことを公にさらしてしまうことになる」(辻氏)。もし結果を掲載されたくない場合は「『Do not show the results on the boards』にチェックを入れることをお忘れなく!」と同氏はコメントしている。

Heartbleed test

 同じくWebサービス。今回の件に関する情報もまとまっている。


国内の幾つかのサイトでは「脆弱」という結果が出ている

OpenSSL 1.0.1f TLS Heartbeat Extension - Memory Disclosure (Multiple SSL/TLS versions)

 Pythonで書かれた実証コードで、インターネットに接続されていなくても自身のコンピューターから検査が可能だ。

ssl-heartbleed.nse

 ポートスキャンツール「nmap」で使える調査スクリプト(関連記事)。「IPアドレスを複数指定してスキャンが行えるため、数が多いときは便利」(辻氏)。

 他、Metasploit用のモジュールもリリースされている。

 この脆弱性に対して、エンドユーザー側で講じることのできる対策はあまりない。一方、もしWebサーバーの管理者だった場合は、「OpenSSLを脆弱性の影響を受けないものにアップグレードするともに、SSL証明書を失効させて、新しいものを再発行する必要がある」(辻氏)という。

 辻氏によると、「この脆弱性は、さかのぼると2年前から存在していたことが確認されている。そして、この攻撃では攻撃の痕跡が残らないため、最悪のケース――つまり、秘密鍵の漏えいを想定して対処すべき」。もし、脆弱なバージョンのOpenSSLを運用していたことが判明した場合は、アップグレードや証明書の再発行といった対策を講じた後にその旨を公表し、ユーザーにパスワードの変更などを呼びかけるとなおベターだという。

■影響を受けるOS、ソフトウェア

ベンダー名など 影響を受ける製品名、ディストリビューション名など
VMware 「ESXi 5.5」「vCenter Server 5.5」「VMware Fusion 6.0.x」など
Cisco 「Cisco UCS B-Series」「Cisco UCS C-Series」「Cisco IOS XE」など
Fortinet 「FortiGate (FortiOS) 5.x」など
Juniper Networks 「Junos OS 13.3R1」など
F5 Networks 「BIG-IP LTM 11.5.0 - 11.5.1」「BIG-IP GTM 11.5.0 - 11.5.1」など
Aruba Networks 「ArubaOS 6.3.x、6.4.x」など
Watchguard Technologies 「WatchGuard XTM 11.8.x」など
FreeBSD FreeBSD 10.0
NetBSD NetBSD 6
RedHat Red Hat Enterprise Linux 6
Ubuntu Ubuntu 13.10、12.10、12.04 LTS
Android Android 4.1.1

■クラウドサービス事業者の情報

事業者名 情報
AWS AWSからOpenSSLの脆弱性について AWS のサービスアップデート。Amazon EC2については顧客側でパッケージのアップデートを行う必要あり
Google Google Services Updated to Address OpenSSL CVE-2014-0160 (the Heartbleed bug)。Google Compute Engineについては手動でOpenSSLをアップデートするか、OpenSSLを更新した新しいイメージに入れ替える必要あり
Microsoft(Windows Azure) 影響なしとの情報を公開

■SSLサーバー証明書、再発行に関する情報

ベンダー名 情報
シマンテック Security Advisory - 脆弱性:OpenSSL Heartbleed Bug (CVE-2014-0160/CVE-2014-0346) について
グローバルサイン OpenSSL 1.0.1に含まれる脆弱性への対応のお願い
クロストラスト OpenSSL 1.0.1に含まれる脆弱性(The Heartbleed Bug)への対応に関するお知らせ
セコムトラストシステムズ OpenSSL (1.0.1〜1.0.1fおよび1.0.2-betaシリーズ)に含まれる脆弱性に関する重要なお知らせ

Vulnerability Note VU#720951およびSANSなどの情報を基にしました


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