日本企業の約8割が「VPN利用を継続」。一方、ゼロトラスト導入済み企業は2割を超える NRIセキュア:日本、米国、オーストラリアのセキュリティ実態調査
NRIセキュアは、「企業における情報セキュリティ実態調査2024」の結果を発表した。それによると「ゼロトラストセキュリティを実装するかどうか」を検討する段階から、次の段階に進む企業が増えているという。
NRIセキュアテクノロジーズ(以下、NRIセキュア)は2025年2月27日、日本、米国、オーストラリアの3カ国で実施した「企業における情報セキュリティ実態調査2024」の結果を発表した。
ゼロトラストセキュリティは「検討」の次の段階へ
ゼロトラストセキュリティの実施状況について聞くと、「ゼロトラストを全面的に実装している」または「ゼロトラストを一部実装している」と回答した日本企業の割合は、2022年の同調査と比べて7.8ポイント増の21.1%。「ゼロトラストを検討したが実装しなかった」は、同4ポイント増の9.1%だった。この結果からNRIセキュアは「ゼロトラストを実装するかどうかを検討する段階を終えて、実装の有無を決めた企業が増えている」と推測している。
VPNの利用状況については、日本企業の78.5%が「今後も使用を継続予定」と回答した。残りの約2割のうち、6.8%の企業は「使用停止を検討している」と回答し、2.9%は直近1年間(または1年以上前)に「使用を停止した」と答えた。
米国、オーストラリアはほぼ全ての企業が生成AIを活用
調査では生成AI(人工知能)の業務利用についても聞いている。それによると、米国は99.2%、オーストラリアは100%の企業が、「何らかの形で生成AIを活用している」と回答した。それに対し、日本は65.3%と低かった。用途では、米国とオーストラリアは「社内向け業務」が最も高く、それぞれ74.4%と81.7%だった。日本では、最も多かったのは「社内の個人利用」で51.4%だった。
生成AIを顧客向けサービスに活用するに当たっての懸念点や課題について尋ねると、日本企業で多かったのは「入力可能なデータの判断」や「ルールを策定する人材の不足」という回答で、それぞれ45.7%だった。一方、米国で最も高かったのは「利用コストの予測」(47.6%)、オーストラリアでは「ルールを策定する人材の不足」(44.4%)だった。
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