OpenStackは結局、どう使われていくのか:「AWSは称賛に値する」
結局のところ、OpenStackはどう使われるようになっていくのか。OpenStack Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、ジョナサン・ブライス氏に聞いた。
「Amazon Web Services(AWS)は称賛に値する」と、OpenStackプロジェクトをとりまとめているOpenStack Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、ジョナサン・ブライス(Jonathan Bryce)氏は話す。「サーバを起動したり、停止したりすることが『セクシー』に感じられるようになったのはいつからだろう? AWSがセクシーにした。人々は、『ああ、自分自身のサーバを直接立ち上げ、止めることもできるんだ、これで自分のビジネスのやり方を変えられる』と気付いた。多くの人々にこうした気付きを与え、これを助ける機能をどんどん追加してきた」。
OpenStackの大きな原動力の1つがAWSへの対抗にあるということは、広く知られている。だが、AWSの利用組織や用途が広がってきていることは、逆にOpenStackにとって力強い追い風だともいえる。
以前、「OpenStackはVMware vSphereに代わるものなのか」という記事でもお伝えしたように、OpenStackのアーキテクチャはVMware vSphere/vCloud Directorとは異なる。だが、AWSとは非常に似ている。
最近、一般企業が社内業務アプリケーションを動かすために、AWSを採用するケースが増えてきた。セキュリティやガバナンスをはじめとした、さまざまな取り組みがあってこそではあるが、AWSのアーキテクチャが企業の社内システム用にも受け入れられつつあることを示している。
AWSのようなアーキテクチャのクラウドが、一般企業ユーザーを巻き込んで今後大きな市場に育っていくのであれば、OpenStackは同様なアーキテクチャのクラウドを構築できる基盤技術として、受け入れられていかないはずはない、というのがブライス氏の考えだ。
IT INSIDER No.30「非エンジニアのためのOpenStack(2):ディレクターが答える、OpenStack Q&A」では、さまざまな素朴な疑問を、OpenStack Foundationのエグゼクティブ・ディレクターにぶつけました
「クラウドへの移行プロセスは始まったばかりだと考えている。AWSは今後もずっと、存在感を発揮し続けるだろう。しかし、他の選択肢も育ってくる。クラウドは、1社によって牛耳られるには大きすぎる市場だ。これほど大きな市場には、多様性が生まれざるを得ない。そして多様性は、さまざまな人々が活躍できる場を提供する」。
「クラウドの最終的な価値は、サーバやデータセンターを仮想化することではない。世界のあらゆるITキャパシティを仮想化し、巨大な1つのリソースプールを作り上げることだ」(ブライス氏)。
IT INSIDER No.30「非エンジニアのためのOpenStack(2):ディレクターが答える、OpenStack Q&A」では、読者の方々を代表して、OpenStack Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、ジョナサン・ブライス氏に素朴な疑問をぶつけてみました。OpenStackは一般的な企業が導入できるほど成熟したといえるのか、まだ開発・テスト環境でしか使われていないのではないか、多数の「ディストリビューション」が生まれていることで分断の可能性も出てくるのではないか、OpenStack導入が企業の情報システム部門からの反発を受ける場合もあることをどう考えるか、などについて聞いています。ご一読いただければ幸いです。
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