EMC、プライバシーと利便性に関する消費者意識を調査:懸念する意識と自衛策の間に「矛盾」も
EMCジャパンは、世界15カ国の消費者を対象に実施したオンラインプライバシーに関する調査「EMC Privacy Index」の結果を公表した。「利便性と使いやすさの向上の代償として若干のプライバシーを犠牲にしても良いと思いますか?」という質問に対し、「はい」と答えたのは15カ国平均で27%にとどまった。
EMCジャパンは2014年7月2日、世界15カ国の消費者を対象に実施したオンラインプライバシーに関する調査、「EMC Privacy Index」の結果を公表した。「便利で使いやすいオンラインサービスを利用する代わりにプライバシーを犠牲にしてもよい」と考える消費者が27%にとどまった一方で、プライバシー保護のために必要な対策を自ら講じている消費者が少なからず存在するなど、プライバシーをめぐる「矛盾」した考え方が浮き彫りになったという。
EMCジャパン マーケティング本部 フィールド マーケティング部長の渡辺浩二氏は、「データの量が爆発的に増加する中、企業には、プライバシーやセキュリティ、コンプライアンスといった要素を含んだデータガバナンスの定義が求められる。今回の調査はそれを考える際の基礎データとなるもの」と述べている。
EMC Privacy Indexは、2013年8月1日から19日にかけて、日本を含む世界15の国と地域で行われた。各国1000人ずつ、計1万5000人の消費者が対象となった。
「利便性と使いやすさの向上の代償として若干のプライバシーを犠牲にしても良いと思いますか?」という質問に対し、「はい」と答えたのは15カ国平均で27%。一方「いいえ」は51%に達した。国別に見ると、「はい」が最も多かったのはインドで48%、続いてメキシコ(43%)、ロシア(38%)となった。逆に「いいえ」が最も多かったのはドイツの71%で、フランス(63%)、カナダ(61%)が続いた。日本は、「はい」という回答が35%、「いいえ」は33%と、どちらもほぼ拮抗する結果となった。
ただ、どのような利便性やメリットが得られるかによって、消費者の反応は異なるようだ。例えば、「テロリストや犯罪活動からの保護」など命に関わるメリットであれば、プライバシーを犠牲にしても良いとする回答は54%に上った。
アンケートでは、「公共サービス」「医療関連サービス」「金融サービス」「会社の従業員」「(オンラインショッピングなどの)一般の消費者」「ソーシャルユーザー」という6つの立場を想定して質問に回答してもらう試みも行った。このうち「公共サービス」、あるいは「医療関連サービス」の利用者ならば若干のプライバシーを犠牲にしてもよいとする回答が、それぞれ50%、47%となった。
逆に、ソーシャルメディアのユーザーという立場で考えた場合、プライバシーを犠牲にしてもよいとする回答は27%にまで減っている。「今後5年間で自分のプライバシーを維持することは今より難しくなると思うか」という質問に対しても、「はい」と回答した割合はソーシャルメディアユーザーの立場が最も多く、78%に上った。さらに、ソーシャルメディアのプライバシー/データ保護に対する信頼度は全体よりも低く、「組織の倫理観と透明性を信頼している」とする回答はわずか39%にとどまった。
興味深いのは、このようにソーシャルメディアのプライバシー確保に懸念が示されているにもかかわらず、「ソーシャルネットワークのプライバシー設定をカスタマイズする」といった、自分なりに講じられる対策を取っていないユーザーが33%いたことだ。特に日本のユーザーはその傾向が高く、50%が設定のカスタマイズを行っていなかった。
EMCジャパン RSA事業本部 マーケティング部 部長の水村明博氏は、こうした結果を踏まえ、「まず、自分のプライバシーは自分で守るべく、『SNSでどういった情報をアップロードし、どのような情報は公開しないか』といった境界線を決め、行動していくことが必要だ」と述べた。同時に、企業や組織のプライバシー保護に関するスキルや倫理観への信頼度が低いことを受け、「プライバシーに関してより高い柔軟性と透明性を顧客に示せるかどうかがポイントになる」とし、そのためにもまずは、「どこまでプライバシーを犠牲にすることを許容できるのか、落としどころについて対話していくことが重要だ」と述べた。
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