検索
ニュース

「BIND 9」をはじめとする複数のDNSソフトにDoSの脆弱性DNSの基本仕様のあいまいさに根本原因、対策は修正版へのアップデート

BIND 9やUnbound、PowerDNS Recursorといった複数のDNSソフトウェアの全てのバージョンに、DoS攻撃につながる恐れのある脆弱性が存在する。対策は最新版へのアップデートだ。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 日本レジストリサービス(JPRS)は2014年12月9日、BIND 9やUnbound、PowerDNS Recursorといった複数のDNSソフトウェアの全てのバージョンに、DoS攻撃につながる恐れのある脆弱性が存在することを明らかにし、注意を呼び掛けた。JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)も同日、BIND 9に関する注意喚起文書を公表している。

 JPRSによるとこの脆弱性は、少なくとも全てのバージョンのBIND 9とUnbound、PowerDNS Recursorに存在する。他にも フルリゾルバーの機能を持つDNSソフトウェアは、同じく影響を受ける恐れがあるという。

 脆弱性は、キャッシュDNSサーバーの機能に存在する。DNSでは、同メイン名の階層を「ゾーン」と呼ばれる単位に分割することで分散管理を実現しているが、親から子にゾーンの管理を委任(delegation)する際の設定内容に適切な制限値が設定されていない。この仕組みを悪用し、外部から悪意を持つ委任を設定し、その委任を参照するような名前解決を実行させることにより、攻撃対象となったキャッシュDNSサーバーのCPUやメモリなどを過度に消費させ、DoS状態に陥らせることが可能だ。なお、権威DNSサーバーとして運用している場合でも、BIND 9に含まれるキャッシュDNSサーバーの機能を有効にしている場合は影響を受けるため、注意が必要という。

 JPRSはこの問題を、「DNSの基本仕様における定義の不明確さ、および各実装における不備の双方に起因している」と説明している。

 対策は、脆弱性を修正した「BIND 9.10.1-P1、BIND 9.9.6-P1」「Unbound 1.5.1」「PowerDNS Recursor 3.6.2」にアップグレードすることだ。なおBIND 9の開発元であるISCは、一時的な回避策は存在しないとしており、早急な更新を呼び掛けている。

 ISCによれば、今のところこの脆弱性を悪用した攻撃は確認されていないという。しかし、ひとたびDNSに関連するサービスに対してDoS攻撃が発生すれば、影響はサーバー運用者のみならず、それを利用する多数のユーザーに及ぶ。この脆弱性とは異なるが、12月初めには「DNSimple」がDDoS攻撃を受けて数時間に渡ってダウンし、それを利用していたWebサービスにも影響が波及する事件が発生している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Security & Trust 記事ランキング

  1. 「SMSは認証に使わないで」 米CISA、モバイル通信を保護する8つのベストプラクティスを公開
  2. 2025年に押さえるべきセキュリティの重要論点をガートナーが発表 新しいリスク、脅威、環境の変化、法規制などの動きを把握する指標に使える
  3. 経営層の約7割が「セキュリティ対策は十分」一方で6割以上がインシデントを経験、1位の要因は?
  4. “ゼロトラスト”とトラスト(信頼性)ゼロを分かつものとは――情報セキュリティ啓発アニメ「こうしす!」監督が中小企業目線で語る
  5. よく聞く「複雑化するサイバー攻撃」は具体的にどう複雑なのか? 一例を医療系企業のランサム事例とともに解説
  6. 終わらせましょう。複雑過ぎるKubernetes/クラウドネイティブが生む心理的安全性の低下を――無料でクラウドセキュリティの勘所が分かる130ページの電子書籍
  7. 3割程度のSaaS事業者が標準的なセキュリティ対策をしていない アシュアードがSaaS事業者を調査
  8. 中小企業の20%の経営層は「自社はサイバー攻撃に遭わない」と信じている バラクーダネットワークス調査
  9. 「このままゼロトラストへ進んでいいの?」と迷う企業やこれから入門する企業も必見、ゼロトラストの本質、始め方/進め方が分かる無料の電子書籍
  10. 増える標的型ランサムウェア被害、現場支援から見えてきた実態と、脆弱性対応が「限界」の理由
ページトップに戻る