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ミドクラとCumulus、共通の目標はネットワーク運用の「神話」からの脱却サーバーのように管理する

ミドクラとCumulus Networksは、両社の技術の統合的な利用を可能にすべく、連携を深めている。その狙いを、2社のキーマンに聞いた。

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 ネットワーク仮想化(エッジ・オーバーレイ)とデータセンタースイッチ(のOS)は、それぞれを独立して利用できる存在だ。だが、ミドクラとCumulus Networksは、両社の技術の統合的な利用を可能にすべく、連携を深めている。その狙いを、2社のキーマンに聞いた。

 ミドクラのMidoNetは、エッジオーバーレイによるネットワーク仮想化製品。2014年11月にオープンソース化して以来、毎月2000を超えるダウンロードがあり、試用した企業からの問い合わせが増えているという。

 「(例えば)OpenStackでは、デフォルトのネットワーク機能は本格運用に適していない。一方、サードパーティ製品で気軽に試せるものは今までなかった」と、ミドクラのCEO、ダン・ドミトリウ(Dan Dumitriu)氏は話す。MidoNetのオープンソース化が、この状況を変えたという。

 ミドクラは、約1年前から、Cumulusとの技術的な統合を進めている。その内容については、「仮想・物理を融合したSDNへ踏み出すミドクラ」という記事をお読みいただきたい。この記事で紹介した、Cumulus Linux搭載スイッチ上のMidoNetエージェントによるQoS制御やネットワークデバッグの機能については、2015年末のリリースを目指して開発を進めているという。

 「エッジで収集する情報と、スイッチで取得する情報を統合して、ネットワークを可視化できるというのは、非常に強力なことだ。シスコシステムズやジュニパーネットワークスも、同様なことができるというが、ユーザーは一社のソリューションの全てを受け入れなければならない。一方、Cumulus Linuxは、各種のハードウエアに対応している。また、Linuxであるため、当社の開発作業は容易だ。当社は、シスコなどより素早く、機能を進化させていくことができる」(ドミトリウ氏)

データセンターのネットワーク運用は変わらざるを得ない

 もとより、ネットワーク仮想化とスイッチのOSは連携しなければならない関係ではない。ネットワーク仮想化の良さの1つは、導入しているスイッチを入れ替えずに、柔軟なネットワーク構成が可能になることだ。


左より、ミドクラの加藤氏、ドミトリウ氏、Cumulusのマレクサデ氏

 一方、Cumulusのビジネス担当バイスプレジデント、レザ・マレクサデ(Reza Malekzadeh)氏は、同社が最重要視しているのは「disaggregation」(分解、解離)だと強調する。スイッチハードウエア、スイッチOS、SDNソリューションといったネットワークの構成要素それぞれについて、エコシステムが広がることが、顧客の選択肢を広げる結果になると主張する。Cumulusは狭義のSDNに関し、OpenFlow陣営とは組まず、ネットワーク仮想化ベンダーとの協業を選んでいるが、ミドクラが唯一のパートナーというわけではない。

 だが、2社は共通のテーマを持っているという。それは、従来型のネットワークエンジニアではないサーバーエンジニア/アプリケーションエンジニアが、サーバーを設定して利用するのと同じように、ネットワークについても操作できるような、新しい環境を提供することだ。従来型のネットワークエンジニアの間でも、この新しいやり方に未来があることを理解する人が増えているとする。

 マレクサデ氏は次のように、サーバーの担当者が、同様なツールを使ってネットワークを運用できるのが、Cumulus Linuxの積極的な価値だと訴える。

 「ネットワークの運用を、CCIE(シスコのネットワーク技術者資格)取得者が100%行っているような企業は、当社の顧客として適切ではない。だが、そうでない企業もたくさんいる。IT運用を1つのチームで担当している場合、エンジニアはサーバーやストレージの運用を通じて、Linuxに親しんでいる。当社にとって、こちらの方が無理のないビジネスチャンスだ。社内にCCIEがいる場合でも、インフラの一部としてサーバー/アプリケーション担当者がOpenStack環境構築プロジェクトを進めるところは多い。こうした社内の新規プロジェクトにも、Cumulus Linuxはフィットする」

 ミドクラ会長の加藤隆哉氏は、同氏のサイバード時代の経験から、大規模Web企業はネットワークエンジニアの確保に頭を痛めている、有能なネットワークエンジニアが辞めると、途端に身動きが取れなくなる状況も発生する、と指摘する。

 Cumulusのマレクサデ氏は、サーバーエンジニアやアプリケーションのエンジニアが、ホワイトボックススイッチを使って、データセンターのネットワークを自ら構築することを怖がるのは、迷信に近いと話す。米国では、グーグルなどの事例から始まったが、その後、Dreamhostなどのより小規模な企業が採用するようになり、「あそこができるのなら、うちにもできる」と考える企業が増えているという。

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