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米HPも製品発表、OCP準拠のベアメタルスイッチでSDNに新展開単なる低価格スイッチではない

米HPが2月19日に対応製品を発表したが、Open Compute Project(OCP)のエコシステムが、データセンターネットワーキングの世界で拡大を続けている。これは、スイッチの価格だけの話ではなく、広義および狭義のSoftware Defined Networking(SDN)に新局面をもたらす動きだ。

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 米ヒューレット・パッカード(HP)は2015年2月19日、大規模なWebデータセンター向けに、フェイスブックの主導するOpen Compute Project(OCP)のデータセンタースイッチ設計に準拠する、新たなデータセンタースイッチシリーズを発表した。3月中に出荷開始するという。

 OCPでは、データセンタースイッチをハードウェア(本記事では「ベアメタルスイッチ」と呼ぶ)とスイッチOSに分離し、この2つを別ベンダーから調達して組み合わせられるようにすることを要件としている。OCPは、ベアメタルスイッチベンダー間での純粋なハードウェアのコストパフォーマンス競争を促進し、一方でスイッチOS提供ベンダーの広がりにより、ソフトウェア機能の選択肢を広げることを意図している。

 このエコシステムにビジネスチャンスを見出すスタートアップ企業のみならず、大手ITベンダーの間でも、これを製品化するケースが相次いでいる。HP以前に、デル、ジュニパーネットワークスがOCP準拠のスイッチを「オープンネットワーキングスイッチ」という形容詞をつけて発表している。3社は皆、ハードウェアについては汎用部品を用いた低価格なスイッチをデータセンター向けに提供し、自社・他社を問わずスイッチOSを選択できるということをアピールしている。デルは自社スイッチOSおよび他社スイッチOS

を提供中。HPは、自社製品の選択肢を提供しない。他社の製品のみを採用している。

 こうした「ベアメタルスイッチ+スイッチOS」は、スイッチの低価格化を促すだけではない。広義、狭義のSDNを促進するものだといえる。

Infrastructure as Codeをネットワークの世界でも

 デルとHPが自社製品でスイッチOSとして提供する、米Cumulus Networksの「Cumulus Linux」は、広義のSDNにつながるいい例だ。これはスイッチに搭載のPower PCあるいはx86 CPUで動くLinux。「LinuxベースのスイッチOS」ではなく、「Linuxそのもの」だ。これを使うと、ネットワークをLinuxサーバーのように運用できる。Chef、Puppetなどにより、スイッチの構成管理を自動化でき、軽量なLinuxアプリケーションを動作させることもできる。

 こうした機能を、Webサービス提供企業の運用担当者に向けた「ライフスタイル商品」のようなものだと矮小化してとらえるべきではない。筆者は2012年12月以来、「SDNとは、利用者がやりたいことを実現するのに最短距離の方法で、ネットワークの構成や活用ができること」だと主張してきた。Cumulus Linuxにより、ネットワークをクラウドの統合運用に組み込めることは、まさに「利用者(この場合Webサービス事業者)が、やりたいこと(高速なサービス展開)を実現するのに最短距離の方法で、ネットワークの構成や活用ができる」という観点で、重要な選択肢の1つだと考える(筆者は、Cumulus Linuxを宣伝したいわけではない。そのうち、この製品に対抗するネットワークLinuxは増えてくるだろう)。

 筆者のSDN定義を受け入れない人でも、OpenFlow陣営が初期の段階で出していた、「ネットワークをプログラマブルにする」というメッセージに共感した人なら、「Infrastructure as Code」にネットワークを組み込めるこうした動きのほうが、現実的なプログラマビリティだと認めるだろう。


IT INSIDER No.40では、ベアメタルスイッチがSDNに新局面をもたらそうとしていることを解説しています

 さらに、Cumulus Networksのブログポストは、sFlowを提供するInMonの社長が、Cumulus LinuxにsFlowを実装したのに加え、Cumulus Linux上にsFlow分析のためのRESTful APIを開発、sFlowの情報に基づいて、大サイズのネットワークフローが小サイズのフローに悪影響を与えるのを防ぐ動的なフロー制御機能を開発したと紹介している。この社長は、Cumulus Linux におけるネットワークACLの確認や変更をリモートで行える機能もつくったという。

 一方、スイッチOSが狭義のSDNを促進するという観点では、Big Switch NetworksのスイッチOS「Switch Light」がいい例の1つだ。デルはCumulus Linuxに加え、Switch LightをスイッチOSの選択肢として提供している。HPは当初Cumulus Linuxのみを提供するが、今後Switch Lightをサポートする可能性もあるという。

 このスイッチOSが狭義のSDNを促進する理由は、ユーザー企業が、OpenFlowの利用に関する面倒を感じることなく、グーグルやフェイスブックのようなデータセンターネットワークを、少ない技術リソースで運用・構築することを手助けするからだ。

 「ベアメタルスイッチ+スイッチOS」は、SDNの進展に大きな影響を与える要素の1つでしかない。だが、データセンターにおけるSDNの活用を考えるユーザー組織にとって、一度は検討せざるを得ない選択肢になってきていることは間違いない。

 IT INSIDER No.40 「SDN製品最新事情(1):SDN、ベアメタルスイッチ、そしてOpenStack」では、ベアメタルスイッチとSDN、OpenStackの関係について考察しています。お読みいただければ幸いです。

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