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IT資産管理、ツールとベンダーの正しい選び方〜推奨機能の詳細資料も無償ダウンロード提供〜実践! IT資産管理の秘訣(7)(3/3 ページ)

一定規模以上の企業では必要不可欠となるIT資産管理ツール。複数のベンダーがツールを提供している中で、自社の目的に合うツールはどのように選べばいいのか? ツール選び、ベンダー選びの失敗しないチェックポイントを徹底解説する。

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海外のインベントリツールと日本のインベントリツールの違い

 最近は海外のツールも日本に少しずつ入ってきつつあります。これらのツールにも、運用管理ツールやインベントリツール、台帳システムなどの分類がありますが、特にインベントリツールと台帳システムにおいて、日本のツールとは次のような違いがありますので、お伝えしておきたいと思います。

  1. ライセンスコンプライアンス対応に特化したツールが多いこと
  2. 独自のソフトウエア辞書を備えたツールが多いこと

1.ライセンスコンプライアンス対応に特化したツールが多いこと

 日本のインベントリツールが、インベントリ収集という機能から複合的な機能を実装していき、運用管理ツールに近いものになってきたということをお伝えしましたが、海外のツールでは逆に、ライセンスコンプライアンスやライセンス管理に特化したツールが多数提供されています。ソフトウエアベンダーの中には、そのツールで管理している情報を提供することで、監査の際の提出情報に代えることができるようなツールを提供しているところもいくつか存在します。

 残念ながら、日本のインベントリツールの場合、2015年7月現在、その管理データをもって、監査データに代えるお墨付きをもらえているツールがないことを考えれば、これは大きなアドバンテージになります。

 また、米国のとあるツールベンダーに聞いたところでは、「仮想化しているサーバーやパソコンでも、全ての環境の情報を収集することが可能(実際のツールの動きは未確認)」としているなど、ライセンス管理をするためにユーザーが必要とする機能を実装しているものが多くあります。

2.独自のソフトウエア辞書を備えたツールが多いこと

 また、「インベントリデータから、インストールされているソフトウエアを識別するための仕組み」も、日本より実装が進んでいるベンダーが多くあります。近年は日本でもソフトウエア辞書の重要性がようやく認識され始め、ソフトウエア辞書を実装するツールが一般的になってきました。

 これに対し欧米のツールベンダーは、「ソフトウエアカタログ」というものを独自に用意しているベンダーが多くあり、それに収められているソフトウエアの種類は50万種類とも100万種類とも言われています(※)。

※日本の場合のソフトウエア辞書は8万〜10万種類程度となっており、数に大幅な差があるように見えますが、日本の場合には一般的にはWindowsの「プログラムと機能」に表記されているソフトウエア名称ベースであるのに対し、欧米の場合にはexeやdllファイルベースですので、一概に日本の辞書の数が少ないとは言えません。

 これら独自の調査で集めた情報を元に、「どのようなライセンスが必要なソフトウエアがインストールされているか」を独自で判別し、登録されている該当ライセンスと自動的にひも付けるような仕組みを持っているものが多くあります。

 「どのようなソフトウエアがインストールされているのかを識別する」ことについては、どの国でもツールベンダーが悩みながら対応努力を続けているわけですが、欧米のツールベンダーでは、これを効率的に把握する方法を規定した「ISO/IEC19770-2」というソフトウエアタグに関するISOの要求事項にも早くから対応しています(※)。

※最近は、SAMACの中でも、ISO/IEC19770シリーズのタグについて検討するワーキングが発足し、IPA(情報処理推進機構)、エムオーテックス、クオリティソフト、クロスビート、Sky、日本マイクロソフト、富士通をメンバーとして研究が始まっています。

 こう書いてくると、海外のツールは“いいことづくめ”のように思えてしまうかもしれませんが、残念ながら、マニュアルが英語しかなかったり、辞書が英語版のソフトウエアにしか対応していなかったりするツールも多く、日本における機能性は欧米に比べてまだそれほど高くはないのが実情です。

 また、海外の企業ではシンプルな集中管理体制が多いのですが、日本の場合、集中管理と分散管理のハイブリッドの管理体制が多く、ツール機能が分散機能に対応できていない場合もあります。

 日本企業が大好きなログ収集についても、実装されていない例が多いことも海外のツールの特徴です。ログ収集を管理目的の一つとしている場合には、その機能だけ別のツールを導入する必要があります(欧米のベンダーでは、例えば「ログ収集に特化したツール」など、機能分野ごとに製品をラインアップしている例が一般的です)。

 どのようなツールを選ぶにせよ、先に書かせていただいたように、管理目的に合ったツールを選ぶことが大切です。紹介された機能によって目的をぶらさないこと、ツールが信頼に足るものであることを十分に確認することを意識してください。

 参考までに、弊社がお客さまにご提供しているシステム調達時の参考資料「SAM BIBLE SAM支援システム構築推奨機能Ver.2.10」無償ダウンロード提供させていただきます。

 次回は、「SAM BIBLE SAM支援システム構築推奨機能Ver.2.10」で紹介しているSAMシステムの要求事項の重要項目について解説したいと思います。

著者プロフィール

篠田 仁太郎(しのだ じんたろう)

日本におけるIT資産管理、ソフトウエア資産管理のトップコンサルタント。株式会社クロスビート代表取締役/(財)日本情報経済社会推進協会 IT資産管理評価検討委員会 委員長/(社)ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)事務局長/情報規格調査会 SC7 Class Cリエゾン SAMAC代表

株式会社クロスビート

一般社団法人 ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)

一般財団法人 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)


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