中堅・中小企業の間で人気が高まるサーバー「Cisco UCS Mini」とは
中堅・中小企業がCisco UCSを採用する例が急速に増えてきた。その背景には、中堅・中小企業向けにシステムサイズをチューニングし、価格を最適化した新製品「Cisco UCS Mini」の存在がある。UCS Miniはなぜ人気が高まっているのだろうか?
シスコシステムズが、サーバーベンダーとしての存在感をますます高めつつある。同社が開発・提供するサーバー製品「Cisco UCS」は、その斬新なアーキテクチャや優れた管理性が多くのユーザーを惹き付けた結果、販売当初からシェアを伸ばし続け、米国のX86 ブレードサーバー市場においては約46%の、シェアNo.1を獲得している。(※)。
※ IDC Worldwide Quarterly Server Tracker, 2015Q2, August 2015, Vender Revenue Share
これまでは、データセンター事業者や大企業など多数のサーバーを保有するユーザーが、多くのサーバーやネットワーク機器、ストレージ接続を単一の管理ソフトから 一元管理でき、物理的な配線なども極めてシンプルに済むCisco UCSのメリットを高く評価し、積極的に導入してきた。しかしここに来て、中堅・中小企業がCisco UCSを採用する例が急速に増えてきた。
その背景には、中堅・中小企業向けにシステムサイズをチューニングし、価格を最適化した新製品「Cisco UCS Mini」の存在がある。「Mini」と名前は付いているものの、その基本コンポーネントは上位機種の「Cisco UCS Bシリーズ」と共通のものを採用している。その上で、ネットワークスイッチ、結線と管理機能を担う「ファブリックインターコネクト」を、従来のように物理的にユニットとして独立させてトップオブラックに配置する構造ではなく、小型化した上でブレードシャーシの中に組み込んでしまったのだ。
これにより、もともとCisco UCSが持つ優れた管理性のメリット――サーバーもネットワークもすべて管理者1人で、リモートで設定変更管理できる――が、小型ブレードシャーシ1台だけでも活用できるようになったのだ。しかも、インテルXeon®プロセッサーを搭載したサーバーブレード1台構成でも始められる。もしシャーシ1台でキャパシティが足りなくなってきたら、シャーシを足す(カスケード)ことで拡張できるほか(※)、ラックマウントサーバー「Cisco UCS Cシリーズ」を接続して全体で20台まで拡張することも可能だ。
※シャーシカスケードの対応は 2016年2月より対応予定
Cisco UCS Miniにはこの他にもさまざまな機能・特徴があるが、それらについては別途「Cisco UCSの『これでどうだ』、3連発」で紹介しているので、ぜひ参照されたい。ここでは、なぜ同製品が今、中堅・中小企業の間で売れているのか。その理由を探るため、幾つかのユースケースを挙げながら、中堅・中小企業におけるCisco UCS Miniの活用シナリオを紹介してみたい。
CASE1:これまでばらばらに導入してきたサーバーのお守りがもう限界!
中堅製造業のA社では、これまで、社内システムを稼働させるサーバーを、必要に応じて導入してきた。工場内に併設したマシンルーム内にハーフラックが置かれ、ラックマウントサーバーを買い足すごとにこのラック内に追加していった。当初サーバーの台数が少なかったころは問題なく管理できていたものの、次第にさまざまなメーカー、機種、OSのサーバーが入り乱れるにつれ、管理の手間が無視できなくなってきた。
もともと、A社ではサーバー管理の専任者は置いておらず、総務部門の中で多少ITに詳しい人員が、本業のかたわらサーバーの管理を行っていた。しか し、その数が5台を越えたあたりから、一台一台を個別に管理する手間を無視できなくなってきた。折りしもそのころ、さらなるサーバー増強と、遠隔地にある支店でもファイルサーバーを置きたいという要望があがってきた。
そこで、複数のサーバーを束ねて一括管理できる製品はないか、各ベンダーに問い合わせてみたものの、大規模な垂直統合型製品は自社の身の丈に合わず、かといって仮想化技術を使ったコンパクトな製品だと現行システムを仮想化環境に移行させなければいけない。どこかに、ちょうど自社のニーズに合致する サーバー製品はないものか……。
そんなとき、偶然耳にしたのが「Cisco UCS Mini」だった。8台のサーバーをコンパクトに集約でき、そして何より全てのサーバーとネットワークを単一のコンソールから一元管理できる点が魅力だった。これまで、サーバーやネットワーク機器を個別に管理していたのに比べ、はるかに運用管理が楽になると思われた。また、今後台数を増強する際も、ブレードシャーシにサーバーブレードを挿し込むだけで済む。追加サーバーの設定は、ほぼ事前の設定を送り込むだけでよく、面倒なネットワーク配線の変更や追加も必要ない。さらに、一般的なデータセンター向けサーバー製品では200V電源が主流なのに対して、Cisco UCS Miniは100V電源にも対応していた。「これなら、自社内のサーバールームにも設置できる」。
こうして、既存のサーバー環境を丸ごとCisco UCS Miniに入れ替えたA社では、システム運用管理に掛かる手間を劇的に削減できたと同時に、今後10年間で見込まれるシステム拡張にも十分耐え得るITインフラを手に入れることができた。
CASE2:サーバーのクラウド移行は大いに魅力的だがリスクも高い……
従業員数150人の中堅商社B社は、企業規模は小さいものの取引先や扱う商品の数は極めて多く、ITの活用に早くから取り組んできた。ただし、自社内でITを構築・運用できる人員は確保できないため、長年付き合いのあるSIerにこれまで完全に任せきりでいた。しかし、次回のシステム更改時期 が近付くにつれ、こんな声が社内で上がるようになってきた。「クラウドというやつを使ってみてはどうか?」。
聞けば、クラウドを使えばサーバーやネットワーク機器を購入する必要がなく、運用もすべて事業者側でやってくれるという。これまでSIerに任せきりで、そのために掛かるコストの検証もろくにしてこなかったが、ここで思い切ってメスを入れてみてはどうか……。
こんな声が、経営陣を中心に上がった。確かに、これまでのIT活用の在り方を見直す、いいきっかけにはなるかもしれない。しかし一方で業務の現場では、これまでのITの使い方をがらりと変えることに不安を覚える向きも少なくなかった。「クラウドはいいが、これまで長年使ってきた業務システムは、きちんと動くのか?」「もしシステム障害で損害が出た場合、誰が責任を取ってくれるのか?」。
そんなB社が新たなインフラとして最終的に採用したのが、Cisco UCS Miniだった。Cisco UCS Managerという極めて優れた管理フレームワークを持ち、すべてのサーバーとネットワーク機器を一元的に管理できるため、クラウドとまではいかないものの、運用はかなりシンプルになる。さらにこれを機に、UCS Miniと合わせて 設定の自動化機能(UCS Director)を利用することで、仮想サーバーの作成・割り当てなどを自社で運用することに決めた。つまり、これまでSIerに丸投げしていたシステム運用管理の一部を、自社でやることにした。
一方で、サーバー自体はこれまでと同様オンプレミス環境に置かれ、ベアメタル環境であれ仮想環境であれ、これまで通り自分たちが望む環境を数分から数時間で設定できる。それまで運用してきた環境を、そっくりそのまま新たな環境でも再現できるわけだ。こうしてB社は、クラウド移行という大きなリスクを 伴う施策の代わりに、UCS Miniと 設定・運用の自動化ソフトUCS Directorを採用することで、クラウドとオンプレミスそれぞれのメリットを享受できるITインフラを手に入れることができた。
スモールスタートと高い拡張性を兼ね備えたサーバーインフラ
新興ゲーム会社C社は、まだ創業2年目のITベンチャー企業。半年前にリリースしたゲームタイトルが大ヒットとなり、現在急速な勢いでビジネスを 伸ばしている。それに伴い、同社の業務とサービスを支えるITシステムも、近々キャパシティ不足になることが予想された。早急にITインフラを増強する必要があったが、ビジネスの性格上、将来の事業規模を正確に見積もるのは難しい。
直近のインフラ拡張は必須だったが、長期的に見た場合にはビジネスの伸びが鈍化することもあり得る。いや、逆にこれまで以上の勢いで伸びる可能性だってある。このように先が見通せないだけに、ITインフラにも手軽にスモールスタートしつつ、将来を見据えて拡張性も担保しておく必要があった。「そんな都合のいい製品が果たしてあるものか……」、そんなC社の担当者の目に止まったのが、中堅・中小企業の間で急速にシェアを伸ばしつつある Cisco UCS Miniだった。
最も惹かれたのは、その拡張性の高さだった。少ない台数のサーバーで運用を始めることができ、かつサーバーを後から追加する場合も、シャーシに サーバーブレードを差し込み、自社で設定できるというシンプルさが決め手となった。一般的にサーバーを追加する際に必要となるネットワーク結線やネットワークのポート割り当て変更といった煩雑な作業は、ほぼ不要だ。また、サーバー追加では追いつかないほどビジネスが急成長した場合であっても、シャーシを追加すればさらに多くのサーバーを足すことができる。
またラックマウント型サーバーともシステム統合できるため、例えば数百Tバイトの大容量ストレージを搭載可能なラックマウントサーバーとも接続・システム統合し、Cisco UCS Miniの各サーバーからアクセスするといった使い方もできる。さらに、サービス規模が増えた場合は、UCS Miniを上位の UCS Bシリーズへのアップグレードや、サービスごとに UCS Miniを立ち上げて複数システム化するといったことも可能だ。その際の複数システムの統合管理ソフトウエアも用意されている。スモールスタートが可能でありながら、柔軟な拡張性も兼ね備えたCisco UCS Miniの採用で、C社は将来のビジネス成長に迅速に追随できるITインフラを低コストで手に入れることができた。
今ならCisco UCS Miniを安価に手に入れられる期間限定キャンペーンも
以上で紹介してきたのは典型的な例だが、Cisco UCS Miniは国内外の、多くの企業によって採用されている。例えばソフトバンクが提供するマルチメディアコンテンツ総合配信管理サービス「ビジュアモール」 のインフラには、Cisco UCS Miniが採用されている。同社がCisco UCS Miniを採用した主な理由には、すでに挙げたような「優れた管理性」「100V電源対応」といった特徴の他に、「サーバー集積度の高さがもたらす省スペース効果」もあったという。
このように、Cisco UCS Miniは、大企業はもちろん、中堅・中小企業が抱えるさまざまなIT課題に解決する上で極めてバランスが取れたソリューションだと言える。しかし、同製品が中堅・中小企業に売れている理由は、それだけではない。コストパフォーマンスに極めて優れる点も、多くの中堅・中小企業から高い評価を受けている。
例えば、ラックサーバー8台と10Gスイッチを個別に購入したとしよう。これにかかる費用と、内部に10Gスイッチ機能を内蔵したCisco UCS Miniのサーバー8台構成の価格を比較すると、ちょうどラックサーバー1台分ほどCisco UCS Miniの方が安くなる。こうしたコストメリットに加え、これまで紹介してきたようなさまざまなメリットが享受できるのだから、多くの中堅・中小企業が 挙って導入するのもうなずける。
ちなみに現在シスコシステムズでは、「Smart Play Select」と呼ばれるキャンペーンを行っている。これは、同社が開発・提供するサーバー製品をより安価にユーザーに届けることを目的に行われている価格割引キャンペーンで、Cisco UCS Miniに関しては期間限定で20〜30%ほど安く手に入れることができるという。詳しくは「もはやサーバーの新標準、Cisco UCSがさらに買いやすくなってどうしよう?」で紹介されているので、興味を持たれた方はぜひ参照されたい。
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提供:シスコシステムズ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年12月23日