顔認証や音声アシスタント、ペン描画を活用したUniversal Windows Platformアプリ開発の魅力に迫る:Surface Pro 4とWindows 10 Mobileがついに登場
日本マイクロソフトは11月20日に都内で「1日でWindows 10に対応したアプリ開発手法が習得できるハンズオン〜 Windows 10 UWP Workshop」を開催。4つのWindows 10 Mobile端末やSurface Pro 4、カメラの顔認識や指紋認証による生体認証機能「Windows Hello」、音声認識アシスタント「Cortana」とアプリの連携など、Windows 10の特長を生かしたアプリ開発の魅力を紹介する。
UWPとWindows 10 Mobileデバイスでアプリ開発の機運高まる
2015年7月29日に公開されたWindows 10と共に登場した「Universal Windows Platform」(UWP)は、Windows 10対応のアプリを開発すればデスクトップやモバイル、Xbox、ヘッドマウントディスプレー「HoloLens」まで横断的に展開できるプラットフォームとして、開発者から大きな注目を集めている。
また、10月14日にはVAIO、日本エイサー、トリニティに加えてマウスコンピューター、プラスワン・マーケティング(FREETEL)、サードウェーブデジノスの計6社が「Windows 10 Mobile」デバイスの開発を表明。続く10月28日には、ジェネシスホールディングスが「geanee」ブランドのWindows 10 Mobile搭載スマートフォンを発表し、今か今かと待ち望まれたWindows 10 Mobile市場がにわかに活気付いている。
そして、11月12日には「Surface Pro 4」が販売開始。Surface Pro 3よりもさらに薄く(Intel Core m3モデルの場合、薄さが約8.4mm、重さ約766g)、軽量になりながらも、高精細2736 x 1824(267ppi)の12.3インチPixelSenseディスプレーの大型画面を搭載。バッテリ駆動時間は最長約9時間を実現し、静音設計や排熱処理も改善され、より高性能なモバイルデバイスに生まれ変わった。その高スペックな仕様も開発者の意欲に火を付けている。
そんな中で11月20日に都内で「1日でWindows 10に対応したアプリ開発手法が習得できるハンズオン〜 Windows 10 UWP Workshop」が開催された。公式発表もメディアを介した宣伝もなく、SNS上で申し込みを告知しただけにもかかわらず、わずか1週間足らずで200名の定員に到達した。
このハンズオンセミナーでは、UWPの基礎やUWPを意識したUI設計の方法、Windows 10ならではの機能の実装方法、さらにWindowsストアでのマネタイズの手法など、アプリの開発から公開までに必要な全ての内容を1日で学ぶことができる。トピックごとに、「エバンジェリストによるレクチャー」「開発環境とサンプルコードを使った実習」を織り交ぜ、UWPアプリ開発の初心者やすでに開発を行っている人でも技術習得しやすい形式となっていた。
また、セミナー会場の後方で展示されていたWindows 10 Mobileデバイスを手に取る参加者からは、「本当にWindowsが小さい画面でそのまま動いてすごい」「PCアプリの開発には5〜6年ほど携わっていますが、モバイルアプリを開発したことがないんです。こうしたモバイルデバイスがもっと普及してくれれば、開発のモチベーションはさらに高まると思います」「デバイスが出るのを待っていました。UWPで開発がどんどん進むのではないかと感じています」など、UWPアプリ開発への期待の声が聞こえてきた。
セミナー会場で展示されていたWindows 10 Mobile端末。左から「MADOSMA」(マウスコンピューター)、「Diginnos Mobile DG-W10M」(サードウェーブデジノス)、「geanee WPJ40-10」(サードウェーブデジノス)、「KATANA 02」(FREETEL)
日本マイクロソフト デベロッパー エバンジェリズム統括本部 プラットフォーム エバンジェリストの高橋忍氏は、こうした声やセミナーへの反響を見ながら、「B to CやB to Bアプリ開発の可能性を見据えた期待感がうかがえます」と述べ、今後バリエーションに富んだアプリがWindowsストアに充実していくのではないかと笑顔を見せる。
Windows 10ならではの機能で注目なのが、顔認識による認証機能「Windows Hello」、音声認識アシスタント「Cortana」とアプリの連携だろう。セミナーでは、「More Personal Computing - Cortana, Windows Hello etc,」というセッションで、これらの機能の実装方法を分かりやすく解説していた。
写真は無効! 顔認識による認証機能「Windows Hello」
Windows Helloは、デバイスに搭載されたカメラや指紋認証などを使った生体認証機能だ。奥行きも測定可能な3Dカメラを使って顔を認識、登録するだけで、次のログインから有効になる。
セミナー会場の後方にはSurface Pro 4も展示されており、実際に「Windows Hello」を試してみたが、Windowsを起動してカメラに顔を近づけた瞬間、認証が完了してログインできるのは快感だ。「凹凸を識別するので、写真をかざしても認識されません」と展示担当者は説明する。
Surface Pro 4では、内部処理で3D認識を実現しているが、顔認識は反応が早過ぎるほどの感知力でログインできた。展示担当者は、「これに慣れてしまうと、もうパスワードを入力するのが面倒になります」と述べる。今後、IDフェデレーションなどを含めた他アプリとの連携が実現されれば、パスワード入力のいらない、安全性と利便性を両立した世界が来るのかもしれない。
音声認識アシスタントCortanaのAPIで既存アプリが生まれ変わる
CortanaはiOSのSiriやGoogle Nowと同様の音声認識型アシスタント機能だ。Cortanaを起動して話し掛けると、コンテキストを理解して回答を返す。Cortanaの日本語版は、2015年11月にリリースされたWindows 10初のメジャーアップデートである「November Update」から実装されており、これから多くのユーザーからのフィードバックと共に成長が期待されている。
このCortanaはAPIが提供されており、独自開発のアプリと連携させることも可能だ。セッション「More Personal Computing - Cortana, Windows Hello etc,」を担当した、日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリズム統括本部 ISVテクニカルエバンジェリズム部 エバンジェリスト 佐藤直樹氏は、「例えば路線検索アプリとAPI連携させれば、『どこ駅からどこ駅まで行きたい』と質問すると、アプリを起動して検索結果を返す仕掛けも作れます。もちろん、Cortanaに経路を答えさせることも可能です」と説明する。
これ以外にも、セッションではWindowsランタイムアプリ内でコマンドや制御の発話を認識させる方法や「Digital Ink」の実装方法など、Windows 10の特長を生かしたアプリ開発に役立つヒントが多く紹介された。
ペン描画・文字認識機能「Digital Ink」とSurface Pro 4のタッチペン
「Digital Ink」の機能を最大限に生かすのが、タッチペンとディスプレーの性能だろう。Surface Pro 4は、Surface Pro 3と比べて筆圧感知機能が1024段階に向上し、PixelSenseディスプレーと組み合わせれば、より滑らかでリアルなペンに近い書き心地が実現する。ペンの後部には消しゴム機能が搭載されたので、「ワコムのペンに慣れている人には、いつもの作業をそのままSurface Pro 4上で行える」(高橋氏)
1024段階の筆圧について、「普通の人には分からないレベル」と笑う高橋氏だが、ペンをディスプレーに押し付けるときの強弱を若干変えて書いてみたところ、まるで毛筆のような太さの変化を再現できた。
ハンズオン参加者は、「Digital Ink」の描画機能をアプリに実装し、そしてSurface Pro 4で付属ペンを試用することで、新たなアプリ開発のアイデアを練っているようにも見えた。
サンプルコードでUWPアプリ開発を始めてみよう
Windows HelloやCortanaといったWindows 10の特長的な機能、UWPによる統合アプリ開発環境の実現、Surface Pro 4やWindows 10 Mobileの実機の登場など、2015年はマイクロソフトにとって「種まき」の時期のように感じる。その種から芽が出て大きな果実を実らせるには、Windowsアプリ市場の活性化が鍵となる。
ハンズオンで提供されていたサンプルアプリのソースコードはGitHubで公開されているので、本稿でUWPアプリ開発に興味を持った読者は、覗いてみてはいかがだろうか。
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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年12月31日