プログラマーは本当に料理が得意なのか――クックパッドで「C丼」作って検証してみた:15周年のC#とVisual Studioの現在(1/3 ページ)
3月中旬、東京・恵比寿のクックパッドにおいて、少し変わった試みが行われた。日本マイクロソフトとクックパッドの6人のエンジニアが力を合わせて「料理」に挑むというものだ。果たして、この試みの目的は何なのか。そして、出来上がった料理はどんなものだったのか。その過程とともにリポートする。
よく「プログラムと料理は、そのプロセスが似ている。だから、優れたプログラマーは料理も得意」などと聞く。果たして、このウワサは本当なのだろうか。確かめたければ、実証してみるのが一番だ。3月中旬、このウワサの真相を確かめるべく(……かどうかは微妙だが)、東京・恵比寿にある「クックパッド」のキッチンにおいて、クックパッドと日本マイクロソフトの6人のエンジニアが、力を合わせて「料理」に挑んだ。テーマメニューは「C丼」である。
そもそも「C丼」とは何なのか?
「C丼」とは、日本マイクロソフトが「C#15周年」を記念して展開する「Powered by C#」キャンペーンの一環として生まれたコンセプト上の「どんぶり」である。
誕生から15年を経て、Windows上の業務アプリだけではなく、ゲーム開発やAndroid、iOS向けアプリのクロスプラットフォーム開発など、さまざまな分野で利用される言語へと成長したC#。あらゆるテクノロジやコンテンツを結び付け、フレームワーク上で作品として完成させるシステム開発の姿は、「米や具材を器の中で一つのメニューとしてまとめあげる」丼と似ているのではないかというのが「C丼」の発想の原点である。ついでに言うと、「#」の真ん中に点を打つと「丼」になるというのも大切なポイントだ。
ちなみにC丼のレシピは、「開発者のイマジネーション」(=米)、高い表現力でスパイスを利かせる「XAML」(=ザーサイ+ナムル)、そしてそれらを一つにまとめる「C#」で成り立っており、全てを盛る「器」の役割は開発ツールの「Visual Studio」が果たす。日本マイクロソフトでは、キャンペーンの中で「C丼」のストラップを制作し、プレゼントもしていた。C丼の詳細については、Project C-DONサイトを参照してほしい。
今回、レシピサイトとして高い人気を誇る「クックパッド」とのコラボレーションで行われたのは、実際に食べられる「リアルC丼」を作ってみようという試みだ。扱っているテーマが料理ということもあり、クックパッドのエンジニアには自らも料理や食事が大好きな人が多いという。
クックパッドからは3人のエンジニア、日本マイクロソフトからは3人のエバンジェリストが、この「リアルC丼」作りに参戦した。果たして、スムーズに試食会をカットオーバーできるのか。はたまた、先の見えない味覚のデスマーチへと突入してしまうのか。その行方を占うためにも、まずは、各参加者の自己紹介からのぞいてみよう。
クックパッド×マイクロソフト、まずは自己紹介
高橋 マイクロソフトの高橋です。クライアント系アプリの技術サポートなどを経て、現在はエバンジェリストをやっています。担当はWindows Phoneです。これまで、日本だと端末がなかったので、活動が縮小していたのですが、2月にマウスコンピュータさんがWindows Phoneベースのデバイス開発を発表されたように、また活動再開の見通しが出てきています。日本でのWindowsスマホの復活を目指します。
物江 同じく、物江です。いきなり言っちゃっていいのか分かりませんが、私はあんまり「C#」とは関係ないんですよ(笑)。Internet Explorerや、HTML+JavaScriptよるWindowsアプリ開発など、主にWebに関連した技術を担当しています。もともとはクライアントWindowsから始まり、その後はWeb開発、Webサーバー開発などを担当して今日に至ります。
田中 田中です。料理は土日に残り物を集めて作るのが得意です。仕事としては、クライアントWindowsのマーケティングをやっています。エバンジェリストは4年ほどやっているのですが、以前は開発ツールのマーケティングも担当していまして、その時にC#の担当として「ドーン」と売り込みをかけていたこともあります。当時から「Cドーン」だったわけですね(笑)。(高橋氏に当日の服装である「和服」について突っ込まれて)……和服を着るようになったのはこの3年くらいですね。以前はイベントの時を中心に着ていたのですが、ある日会社に着ていったら、それほど問題がなかったので、徐々に回数を増やしまして。今、会社にはほぼ毎日和服で通っています。
庄司 クックパッドの庄司と申します。現在は動画配信周りの担当をしています。髪を赤くしてからは10年くらいです(笑)。キャリアのスタートは、Linuxによる組み込みエンジニアで、テレビのセットトップボックスなんかを作っていました。また、当時は携帯向けのJavaプラットフォームとしてNTTドコモの「iアプリ」や、KDDIの「EZアプリ」などが出始めたころでしたので、ドコモJava(DoJa)やBREWなどもやりました。
ただ、正直なところ、組み込み系はフットプリントを小さくするためにいろいろと面倒なこと、無駄なことをやらなければならなくなることが多いんですね。私としては「きちんとオブジェクト指向でコードを書きたい!」と常々思っていました。ちょうど、そのころJavaの世界ではServletなども出てきていましたので、それを機にJavaでWebの世界に移りました。その後、いろいろ転々として、今はクックパッドでRubyを書いているという状況です。
高橋 組み込み系をやられていたとき、言語系は何を使っていたのですか?
庄司 CかJavaですね。あと、大変言いにくいのですが、Windowsは「2000」までしか使っていないんです(笑)。というのは、組み込み系を始めたときに、Linuxを覚えるためには、自分の環境を全部それにしてしまわないと、なかなか覚えないだろうと思って、デスクトップ環境もLinuxにしてしまったんですよ。当時、VAIO PにVine Linuxを入れて使うという、なかなか面倒なことをやっていました。それ以来、ずっとデスクトップはLinuxです。で、最近では「きちんとサスペンドができるUNIX系デスクトップOS」ということでMacを使うようになりました。
小室 クックパッドの小室です。Ruby on Railsでサーバーサイドの開発をやったり、Androidアプリを書いたりしています。クックパッドは管理コストの問題などもあって、開発者の環境はMacに統一されています。ですので、Windowsに日常的に触れてはいないのですが、個人的にはWindowsも好きですよ。特に、Windows Phoneには興味があります。次のWindows Phoneは、他のスマホ向けOSと比較しても、いろいろと整理されている部分が多い印象があります。アプリ提供のプラットフォームとしても関心を持って見ています。
井上 井上です。私は、2014年の新卒でクックパッドに入社しました。現在は「たべみる」という、クックパッドの検索ログデータを活用した企業向けのデータサービスを担当しています。C#への思い入れは深いです。プログラミングは最初C#で始めましたし、学生時代の研究にも使っていました。ただ、進化が速いので、最近の新しい機能までは十分に追えていないんですけれど。
高橋 ええ、速過ぎて、僕たちも追いつくのが大変です(笑)。
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