今後最も注目されるIoT技術は“セキュリティ”:米ガートナーがレポートを発表
米ガートナーは、2018年までに企業に大きな影響を与えるとみられるIoT技術のトップ10を発表した。
米ガートナーは、2018年までに企業に大きな影響を与えるとみられるIoT(Internet of Things)技術のトップ10を発表した。
ガートナーでは、IoTの技術は今後、幅広い企業に、ビジネス戦略やリスク管理、アーキテクチャやネットワーク設計といった広範な技術領域にわたって影響を及ぼすとしている。IoT関連技術のうちでも同社が最も注目しているのが、「IoTセキュリティ」だという。ここでは、上位に上がったものを中心に紹介する。
1位:IoTセキュリティ
IoTが普及することで、IoTデバイス自体に限らず、IoT向けのOSや通信、接続先システムといった広範囲にわたって、新しいセキュリティリスクが出現する。今後は通信の暗号化に加え、「モノ」のなりすましや、意図的にデバイスのバッテリーを消耗させる「Denial-of-Sleep攻撃」などの新しい脅威への対応が必要だとしている。
2位:IoTアナリティクス
IoTデータを活用するビジネスモデルは、「モノ」が収集した情報を分析することで成り立つ。ただし、その分析は従来よく用いられてきた構造化データ以外の画像や映像、音声なども含まれるようになり、データ量そのものも増加すると考えられている。こうしたことから、ガートナーではIoTアナリティクスには、「新たなアプローチが必要」としており、新しい分析ツールやアルゴリズムが求められていくだろうと予測している。
3位:IoTデバイスの管理
IoTデバイスは長期にわたって使用し、場合によっては数百万個単位で扱うことになる。そのため、利用には相応の費用負担が伴うことになる。また、それらのデバイス全てを管理・監視する必要もある。このため、ガートナーでは、今後、デバイスモニタリングやファームウェア/ソフトウェアのアップデート、診断、クラッシュ分析、物理的な管理、セキュリティ管理などの技術が注目を集めることになるとしている。
4位以降では、近距離無線通信や、IoT機器向けの広域WAN、電力消費量の少ない機器/OSの開発などが挙げられている。
この他、IoTデータを迅速に処理するための「イベントストリーム処理」技術や、複数の標準化団体や規格が乱立することからIoT技術の標準化やエコシステム形成なども今後の注目すべき技術動向だとしている。
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