ビジネス拡大と人生を変えるほどのインパクトを体感せよ――前回優勝者に聞く、イノベーションコンテスト応募メリットとは:Microsoft Innovation AwardとImagine Cup日本予選登壇者を3月末まで募集中
日本マイクロソフトが「Microsoft Innovation Award 2016」「Imagine Cup 2016 日本予選大会」の最終選考会を4月23日に同会場で開催する。これらに参加するメリットは何なのか、2015年度優勝者に聞いた。
日本マイクロソフトは、学生や教育者、スタートアップ、エンジニア、投資家、アクセラレーター、ビジネスリーダーなどを対象として、新たなイノベーションの創造を促すイベント「Microsoft Innovation Day」を4月23日に開催する。同イベントでは、マイクロソフトの2大イノベーションイベントである「Microsoft Innovation Award 2016」と「Imagine Cup 2016 日本予選大会」の最終選考会を実施するとともに、両イベントをハブとして各種セッションやソリューション展示などを行う。「Microsoft Innovation Award」と「Imagine Cup」の最終選考会を同日・同会場で実施するのは、今回が初の試みだ。
テクノロジーによるイノベーションと学生の接近
「Microsoft Innovation Award」は、“テクノロジーによるイノベーション”をキーワードに、革新的なアイデアを形にしたソフトウェア、ハードウェア、IoTやアプリなどのソリューションを表彰するアワード。今回が第9回目の開催となる。マイクロソフト関連の技術を活用して先進的なソリューションを創造しているエンジニアやスタートアップ、アントレプレナー、学生などを応募対象にしている。応募条件は「マイクロソフトテクノロジーを活用していること」となっているが、最近はMicrosoft Azureをはじめ、オープンソースソフトウェアの活用がマイクロソフトの技術でも当たり前となっているので、カバー範囲は広い。
「Imagine Cup」は、応募対象を学生に限定した、世界最大の学生向けITコンテスト。マイクロソフト創設者であるビル・ゲイツ氏の発案で2003年からスタートし、今回で14回目を迎える。応募部門は、「ゲーム」「イノベーション」「ワールドシチズンシップ」の3部門で、マイクロソフトの技術を活用したアプリやサービス、ソリューションでITスキルやプレゼンテーション能力を競う。日本予選大会を勝ち抜き、日本代表に選ばれた学生は、7月下旬開催予定の世界大会にエントリーし、世界一を目指す。今回Imagine Cup応募の学生は、同時にMicrosoft Innovation Awardへのエントリーも可能となっている。
今まで、これら2つのイノベーションイベントは個別に実施され、最終選考会はそれぞれ別の日に行われていたが、今回初めて、「Microsoft Innovation Day」として、同日・同会場で実施することとなった。この背景について、日本マイクロソフト エバンジェリストの増渕大輔氏は、「Microsoft Innovation AwardとImagine Cupは、応募対象が異なるものの、先進的なITソリューションを創造するという意味で、開催趣旨は非常に近いものだった。そこで今回、企業、スタートアップ、アントレプレナー、学生といった枠を超えて、同じ思考回路を持つ者たちがつながり、日本のIT業界に新たなイノベーションを生み出すきっかけの場として、Microsoft Innovation Dayを開催する」と述べている。
イベント当日は、Microsoft Innovation Award 2016とImagine Cup 2016 日本予選大会の最終選考会がそれぞれ個別に開催されるが、2つのイベントをつなぐ展示スペースや各種セッションなどを会場内に併設し、双方の参加者や関係者の交流を促進していくという。
「このイベントを通じて、Imagine Cupに出場する学生や教育関係者が、Microsoft Innovation Awardのスタートアップやアントレプレナーの革新的なソリューションに触れることで、学校教育にイノベーティブな風を送っていきたい。また、スタートアップやアントレプレナーは、ITスキルの高い学生との接点を持つ機会にもなります」と、増渕氏は、2つのイノベーションイベントを同日に実施することの意義を訴えた。
前年度の優勝作品の決め手と、日本マイクロソフトからの支援の概要
ここで、前年度の「Microsoft Innovation Award」最優秀賞、および「Imagine Cup」日本代表について見てみよう。
「Microsoft Innovation Award 2015」の最優秀賞を受賞したのは、テレビの視聴の質を捉えるソリューション「VI-“Identifier”」を開発したTVISION INSIGHTS。VI-“Identifier”は、「Microsoft Kinect」の人体認識技術を活用して、視聴者がどのくらいテレビ番組に夢中になっていたかという視聴データを取得し、スポンサー企業などに提供するB2Bのソリューションだ。画像や映像の取得は一切行わず、デジタル信号のみで視聴データを取得するため、プライバシー問題を完全に排除することに成功している。
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受賞理由について増渕氏は、「昔から行われているテレビ視聴率調査の仕組みに着目し、単に既存データをデジタライズするだけではなく、調査項目そのものを抜本的に変えてしまったイノベーションだと思う。番組スポンサー企業は、このソリューションを通じて、より複雑な視聴状況を確認でき、テレビ局にとってもインサイトを入手できる」としている。
「Imagine Cup 2015」の日本代表に選ばれたのは、イノベーション部門賞を受賞した香川高等専門学校のチーム「すくえあ」。応募作品は、今までにはない「風」を入力媒体としたインタフェースをベースにしたシステム「すくえあ(SCREEN feels AIR.)」で、磁気センサーというユニークな方法で風の強さや方向を検出している。ゲームやアートなど多方面で、同システムの活用提案を行っている。
「風による入力の研究やシミュレーションに関する学術知識を用いて、しっかりとビジネスの課題を解決するプレゼンテーションができていた。また、プレゼンテーション後に、審査員から『ここに発展できる』とか『ここに応用したい』という意見やアイデアが出て、会場がとても盛り上がったことも高評価」と、増渕氏は選考のポイントについて説明した。
なお、日本マイクロソフトでは、Microsoft Innovation Awardの参加企業に対して、目的やビジネスフェーズに応じてベストマッチするイベントへの参加機会を提供するなど、各ソリューションの認知度拡大やマーケティング活動を支援している。なお、これらの支援は最終選考会に残った企業だけではなく、注目の作品を発表した企業だったら、受ける可能性があることも付け加えておきたい。
一方、Imagine Cupでは、日本代表に選ばれた学生チーム(最低2人から成り立つ)に、世界大会での優勝に向けたサポートを行う。具体的には、応募作品のさらなるブラッシュアップや、英語でのプレゼンテーションのトレーニング、エバンジェリストによるアドバイスなどを提供する。そのため、参加自体は日本語でも問題ない。
その支援の成果や受賞による効果は、どのようなものだったのか。ここからは、個別に優勝者に聞いているので、参考にしてほしい。
受賞によりクライアント数が5倍以上に。スタートアップに欠けている信用保証の部分を補ってくれる
TVISION INSIGHTSの中からインタビューに答えてくれたのは、取締役/営業責任者の河村嘉樹氏だ。
――日本マイクロソフトによるマーケティング支援やビジネス協業サポートは、どのようか効果をもたらしましたか?
河村氏 メディア掲載への支援を個別にして下さり、大変ありがたかったです。具体的にクライアントさんからの問い合わせが増えるようサポートを頂きました。結果としてインバウンドでの問い合わせが増えたことは言うまでもありません。その中から実際にクライアントになってくださる企業もあり、助けられました。
――現在のビジネスの状況について教えてください。
河村氏 受賞させていただいて以降、クライアントさまに会いに伺える機会が格段に増え、この受賞以降でクライアント数が5倍以上に増加し、それに伴い、従業員数も5倍に増加しました。1年が経過した現在でも、「Microsoft Innovation Awardで最優秀賞を取った会社ですね」とのお声掛けを頂く機会が多いです。
――受賞した結果起きた、ビジネスへの影響を教えてください。
河村氏 日本マイクロソフトさんが評価してくれたという事実が、弊社創業初期において、非常に有力な裏書きの役割を果たしてくれました。さまざまなクライアントさまに会いに伺う際にも、受賞の件を言及することで、信頼を得ることができました。
また金融機関より融資を頂く際にも、極めてポジティブに評価を頂くことができ、スタートアップに欠けている信用保証の部分を有効に補ってくれたことは今でもありがたく感じております。
――Microsoft Innovation Awardが他のコンテスト企画と比べて良かったところについて教えてください。
河村氏 技術中心でありながら、技術に寄り過ぎず、きちんと「ビジネスとしての評価」をフェアに審査に反映している点が新鮮に感じました。他のコンテスト企画では、技術評価もしくはアイデアの面白さが審査において先行していることが多いため、この賞がコンテスト企画の中でも差別化できているポイントの一つではないかと思います。
また規模も大規模過ぎず、参加者や聴衆との距離が適切に保たれておりました。大規模過ぎるコンテストでは、参加者とのコミュニケーションも十分に取れないものが多いです。それに比べて、懇親会でさまざまな方と深く話せたという点も非常に良かったです。
日本代表として海外の大会に出場することは学生でも大人でもめったにできない
Imagine Cup 2015 日本代表チーム「すくえあ」の中からインタビューに答えてくれたのは、香川高等専門学校 情報工学科の東山幸弘氏、同学科5年の金子高大氏、山下昂太氏、山崎啓太氏、専攻科 電子情報通信工学専攻2年の真鍋征也氏だ。
――日本マイクロソフトによる英語とプレゼンテーションのトレーニングはいかがでしたか? 発見があったことを具体的に教えてください。
山崎氏 海外に行くことも、英語のプレゼンテーションも初めてで、分からないことだらけでした。しかし、ネイティブスピーカーの方に、英語の発音や質問への対応を含め、多くの英語の立ち振る舞いの仕方を教えてもらい、不安を取り除けました。例えば、自分の意見を述べる際には、「In my(our) opinion ,」や「I think」を使うと良いなどです。この表現は、Imagine Cupの世界大会だけではなく、その後のホームステイなどでも、度々使えて本当に助かりました。
真鍋氏 私自身海外での学会発表で英語によるプレゼンテーションを行った経験は数回あり、その都度「この表現で正しいのだろうか」「発音は伝わるだろうか」などと不安に思うことが多くありました。しかし、マイクロソフトで働くネイティブスピーカーの方に、チェック、アドバイスを頂いたことで、自信を持つことができました。
また「人を楽しませるプレゼンテーション」という、学業におけるプレゼンテーションとの違いを肌で感じることができました。
金子氏 日本予選の発表では、身振り手振りをはっきりさせるなどそこまで気にしていませんでしたが、そういった点をしっかりと指摘していただけました。
山下氏 Skypeでの指導やネイティブの方のトレーニングを受けるたびに、メンバーのプレゼンテーションが上手になっているのが、英語が苦手な私自身でも実感しました。特に、ネイティブの方とのトレーニングは英語のみだったため、大変勉強になりました。
――世界大会に参加したときに最も良かったことを具体的に教えてください。何を得ることができたのでしょうか。
山崎氏 発売前に、Microsoft HoloLensを触れたことやRaspberry PiのCEOから直接褒めてもらったこと、世界中の学生と話す機会が得られたことなど多くの良い体験ができました。
そこから得られたのは、「専門性こそが一番重要だ」ということです。世界大会では、私の稚拙な英語より、実際に「ScreenAIR」を触ってもらう方が、魅力を伝えられました。つまり、それは、良い作品を創ることができれば、その作品自体がコミュニケーション能力を持つということです。もちろん、英語を話せることは良いことなのですが、一番重要なのは、その作品自体がコミュニケーション能力を持つような作品を創る専門性こそが重要だと感じました。
東山氏 日本の外を知ることができたことです。あまり英語が話せない自分でも身振り手振りで自分たちの作品が紹介できました。デバイスの構造や処理の数式を伝えるのに普段から手を使って表していたのが役に立ちました。
山下氏 他国のチームの技術力や英語力の高さを実感できたことが良かったです。最終ステージでは、英語が母国語ではない国々のチームが、まるで母国語かのように英語でプレゼンテーションし、ネイティブの方からの質問に回答していました。「海外では専門科目を英語で学習するからだ」と聞き、私たち日本人も英語力を上げていかないといけないと痛感しました。
金子氏 やはり国それぞれに根幹とする考え方や味付けに差異があり、新鮮なものに感じられました。例えば、私たちが参加したイノベーション部門について、日本では、ゲーム部門が別にあるのにゲーム風な作品が多かったのですが、世界大会ではそういうことはなく、入賞したのは物流のシステムなどの作品でした。こういった価値観のズレは人との交流によって修正できると知ることができました。
――Imagine Cupへの参加は「学生」にとって、どのようなメリットがありますか?
金子氏 自国の代表として海外の大会に出場することは学生でも大人でもめったにできない経験だと思います。日本の代表という責任感や緊張感を感じることは今まであまりありませんでしたが、やはり「世界に向けて」となると、そういった感情が強く出てきました。また、そのような場に立てたことによる気持ちの高揚もあり、誇らしいとも思えました。
東山氏 日本大会・世界大会どちらも共通して言えるのが、「刺激を与えられる」ことです。高専生としては、他の高専生だけではなく大学生のチームとも競い合えるのが大きな刺激の1つです。他のチームのプレゼンテーションを聞いて作ったものを知り意見を交換することは、単純でありながら大きな刺激を得られます。そして通常の学生生活では得ることのできないような刺激は、今後のやる気やモチベーションにもつながります。
自分は世界大会に向けて再び作品のブラッシュアップに力を入れました。英語の表示、見栄え、新しいデバイスの追加など多くのことに挑戦し、実装を行いました。世界大会に向けた実装を通して一回り成長できました。いつも、がむしゃらに開発をする癖がありますが、世界大会に関しては日本代表として恥じないよう、いつも以上にがむしゃらに開発していたと思います。
真鍋氏 このような大きな世界大会に出場する経験は今後、少ないでしょう。しかし、Imagine Cupでの経験を通して、大きな世界の舞台にまた立ちたいと感じています。また、今後自分の技術力や英語力などをもっともっと磨きたいと強く思うようになりました。このように感じさせてくれることがImagine Cupに参加するメリットです。
山崎氏 日常では知ることができない「大海」を知ることができるチャンスだと思います。海外の代表たちと競いあったり、マイクロソフトの社員さんたちと話し合うことができたり、海外のレベルというものを実感できたりなどImagine Cupでしかできない体験です。海外のレベルは日本以上です。「大海」を知るために大会に出場してはどうでしょうか。
ビジネス拡大と人生を変えるほどのインパクトを体感せよ
最後に増渕氏は、「Microsoft Innovation Awardは、エンジニアの活躍の場を広げ、その可能性を最大化するきっかけになるイベント。この賞を踏み台にして、新たなコンテストへの挑戦や、さらなるビジネス拡大を目指してほしい。また、Imagine Cupは、参加した学生の人生を変えるほどのインパクトを持っている。日本代表として、世界各国の学生とITスキルを競い合ったり、交流を深めたりすることで、グローバルな感性を磨き、自分が目指すべき新たな道を見つけてほしい」と、最終選考会に臨む参加者にエールを送った。
「そして、当社にとって新たなチャレンジとなるMicrosoft Innovation Dayを通じて、革新的なアイデアを持つエンジニアや学生、それを支援する関係者のコミュニケーションを活性化させることで、IT業界全体をさらに盛り上げていきたい」と、Microsoft Innovation Dayに意欲を見せた。
Microsoft Innovation Awardは3月31日まで、Imagine Cupは3月28日まで応募を受け付けている。現在開発中のソリューションやサービスで世界に挑戦してみてはどうだろうか。
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